12月28日(土) 恐怖のニセシャムロック

06:30、何故か目が覚める。
もそもそとガイドブックなどを見ながらSちゃんが目覚めるのを待つ。今日はとてもチープな買い物をしたい 気分になってきた。女人街だ、女人街。

09:00、目覚めたSちゃんと共に、ホテルの朝食。
まずかったら明日は行かぬ!と思っていたら、めちゃめちゃゴージャスな朝食だった。バイキングだけど。
デニッシュは山ほどあるし、果物もふんだんにあるし、ちゃんとお粥から餃子からあるし。隅っこには係のシェフが控えていて、オムレツなんかも作ってくれる。しかし、後のことを考えて、あくまで軽く済ませてみた。これがアッパークラスのたしなみというやつだ。なんちゃって。

10:15、一旦チェックアウト。
同じホテルにまたチェックインするというのもおかしな話だけれども、予約手段が別だったので仕方が無い。今日の部屋が素晴らしいものであることに期待。

私の提案が通って、今日はチープなお買い物。地下鉄に乗って旺角-モンコク-(Mong Kok)へ。女人街の方面だけど、果たして午前中からやっているものなのか。

地下鉄トラベラーズチケット HK$ 25 *2

この辺は「なんちゃらストリート」という具合に、同じ系列のお店がたむろしているらしい。とりあえず、興味を惹かれた私達は「金魚ストリート」に向かう。
それは本当に「金魚ストリート」だった。少しの料理屋とお店の他は金魚屋ばかりがずらずらと並んでいて、風船のようにぱんぱんになったビニールに金魚が入れられ店先に山と積まれていた。なんかすごい。中でぴちぴちと綺麗な魚が泳いでいる。5匹で20ドル位で、とても欲しくなってしまう。が、結局止める。同じホテルに7泊滞在というのだったら目の保養に良いかもとか思うけれども。

次はバードストリート。金魚ストリートは一般道の普通の店だったが、これは路地の両側に出店のように鳥屋が並んでいる。ひやかしの観光客がやはり多いらしい。一見商売しているようには見えない人々が鳥籠を持ってたたずんでいる(客寄せするわけでもなく、ただ持って隣の人とくっちゃべってる)のは、一体何なんだ。「我が家の鳥」の自慢なのか。鳥の餌を売っているのも何だか凄い。あわだとか、ひえだとかが壷に入って売られているのはまだしも、生きているバッタを金魚ストリートの金魚の如く袋に入れて売っているのが凄い。ビニールにみっしりと、30匹程のバッタで15ドル位。背中がぞわぞわしてくる。
鳥籠がぶら下がって薄暗い路地は、ちょっと不思議な空間だ。

そして、女人街。5m位の高さのテントを建設途中の皆様、多し。店はほとんどやっておらず、ちょっと残念。道端のジュース屋でココナッツジュースを飲む。Sちゃんはパパイヤジュース。あああー!日本のジュースよか、めちゃめちゃ美味しい!

女人街のジュース屋で
ココナッツジュース HK$ 5
パパイヤジュース HK$ 5

露店はやっていなくても、普通の店はやっている。安いという噂の化粧品屋を発見。スヴェルト165ドルは確かに安い。色々物色。店員さんが、Sちゃんに一生懸命デモンストレーションをおこなっている。クレンジングを紹介しているらしい。手の甲にクリームを乗せて擦ること少し、あかがポロポロと出てくる。なんか面白い、効果絶大のような気がしないでもない。ちょっと高いけど、小さなサイズのものを買ってみた。Sちゃんは600ドル位のでかいものを。効くといいねえ。

「天使美容集団有限会社(←凄い名前だ!)」でお買い物
CHARNTEEのマニキュア HK$ 18
LA ROCHELLEのリムーバー HK$ 18
LA ROCHELLEのクレンジング HK$ 298
CHANEL LES 4 OMBRES HK$ 306

更に歩くと、チープなアクセサリーショップ発見。上野のアメ横にもありそうなタイプである。けっこうお洒落なもの、多し。今日の目的を達するべく、お買い物。こういうチープなものに、今日の私は血が騒ぐ。銀の細い鎖のブレスレットが可愛くて良い。Sちゃんと1つずつ購入。

女人街のアクセサリー屋でお買い物
チョーカー3本 HK$ 100
銀製のブレスレット HK$ 62

そろそろ12時、歩き疲れたこともあって食事に行くことにした。
Sちゃんが本で良いと知ったらしい「シャムロック」という店に行くことに。
地図を見ると、「シャムロック」とは「新樂酒店」というホテルのことになるらしい。てくてく歩いてホテルに向かう。 ……で、迷わずホテルの中のレストランに行ったのだが、これが違っていたらしい。
場末のホテルの食堂然としたレストランは中華の雰囲気がほとんど無く、それでも客が6組程席についていた。あれー?と思いながらも取り敢えず席についてしまう。メニューは定食のみの数種類で、チャーハン系が多いようだった。適当に頼んでみる。私は海鮮チャーハン、Sちゃんは五目あんかけ御飯もどき。トマトスープやら食後にデザートとコーヒーやらが出てき、なんとなく洋食の体裁は整えてあったようだ。
味は大ハズレでは無かったけれども、少し塩気がきつくて悲しかった。でも異様に安かったから良いかもしれない。ああ、でもやっぱり悲しい。
これが旅行の最後まで私たちの話題にのぼってしまうことになる「偽シャムロック事件」である。(いや、別にニセじゃ無いんだけど……)

「新樂酒店-シャムロック-(Shamrock)」で食事
合計 HK$ 83.5

ホテルを出て右をみると、すぐ横に併設して中華料理屋があった。……これが噂の店だったようである。店は繁盛しているらしく、昼食をとろうとする人で並んでいる程である。悔しい。非常に悔しい。あさはかな自分が悔しい。先の店で「ここは違うみたいだから出よう」という行動に出なかった自分が悔しい。
あまり悔しいので、今日の夕食にと予約する。19時に予約。つたない英語と日本語でなんとかわかってくれたらしい。
午後も引き続きチープな買い物にいそしむ。中国資本のチープなデパート、「裕華國貨-ユウホア-(Yue Hwa Chinese Products)」へ。
茶器のセット150ドルなど、尋常じゃない安さのグッズがごろごろしていた。品質は、まぁ金額に準じているかなという感じである。うーん、チープだ。結局、痩せるお茶を購入。効果の程を期待したい。

「裕華國貨-ユウホア-(Yue Hwa Chinese Products)」でお買い物
寧紅 減肥茶 HK$ 60

ついでに、外の露店で思わずアニメ雑誌も購入。表紙がスラムダンクなんだもんよー、興味を引くなというほうが無理というものである。漫画も欲しいんだけどね、本当はね。スラムダンクとかガラスの仮面とかドラゴンボールとか、日本の翻訳版が異様に多し。

露店でお買い物
A CLUB HK$ 30 (結構高い)

この辺に、またも甘いもの屋さんがあるらしい。迷いながらも探しに行く。 私たちを動かすものは牛乳プリンと卵プリン。嗚呼、期待に溢れてしまうってものだ。
「地元のラーメン屋」という雰囲気を漂わせる、壁床総タイル張りの店は、やはり地元民で超満員だった。必死に「ふたり、ふたり、ツーピーポー(=Two People)」と言いながら、相席で座らせて貰う。メニューはテーブルのガラスの下にあるのだが……読めない……見当もつかない。
どれがそのブツかわからないし、わかったところでその読みかたも不明なのでここはガイドブックの写真を示してわかって頂く。牛乳プリンと、卵プリン。そしてついでに香港名物、コーヒーと紅茶のミックスドリンクも飲んでみたいと思ったが、正式名称がまたわからない。「コーヒーアンド、ティー」と言うも、店の人はなかなかわかってくれない。うろたえていたら、同席していた地元民のお姉ちゃんが英語で聞いてきてくれる。アイスとホット、ひとつずつ。……通じたらしい。

同席のお姉ちゃんたちは、昼食をとっていたようだ。本で見たのと同じ、シチュー皿に茹でたマカロニが満たしてあって、その上にハム1枚。定番の昼食らしいのだが、あまり美味しそうに見えないのは私だけであろうか。Sちゃんも同意してくれた。そーだよねぇ、美味しそうには見えないよねぇ……。
牛乳プリンはまさに牛乳プリン。うっすらとぬるくて、舌ざわりがぷるんぷるんとしていて非常に美味しいー。何故に香港の食物は舌ざわりがこのやうに素晴らしいのであらうか。と文語調で感嘆の意を示したくなる私である。卵プリンは、見た目真っ黄色の卵そのものなのだが、味はまさしく杏仁豆腐のそれだった。卵の風味の杏仁豆腐。不思議。こちらもうっすらとぬるくて、口に入れるとするすると溶けてめちゃめちゃ美味しい。こっちの方がサラサラと口の中で崩れていく感触。
噂の紅茶&コーヒードリンクは、ホットの方はカフェオレに紅茶の渋さが加わったような味で、確かに紅茶&コーヒーだった。アイスの方が若干アイスカフェオレじみているかなぁという感じ。まずいものではなく、却って美味しいもののように私には思えたのだが、ガイドブックには「奇妙な味」なんてあったりして。

「澳洲牛女乃公司-オウツァウンガウナイクンシー-(Australia Daily Company)」でお茶
杏汁燉蛋(卵プリン)
蛋燉鮮牛女乃(牛乳プリン)
鴛鴦茶
合計 HK$ 54

16:00、またそぞろ歩きし、1度ホテルに戻る。
戻る途中の電機屋さんで250V→110Vの変圧器を購入。端末専用の香港用ケーブルでも良かったのだけど、こっちの方が高くつくらしい。
これでつながれば良いのだけれど、やっぱり嫌な予感がする……。

ホテルそばの電機屋でお買い物
変圧器 HK$ 900

カオルーンホテルに再度チェックイン。今日の方が格が上の部屋だと聞いていたが、ベッドのサイズも部屋の広さも変わらなかった。ただ掛け布団がちょっと良くなったのと、シャワーカーテンが二重になっていた位。何故!?これでグレードアップしているの!?謎。
先に購入したアダプターでもやっぱりパソコンは起動しない。Sちゃんをホテルに残したまま、パソコンを担いで先の電機屋に向かう。色々話した結果、昨日ハウスキーパーに変圧器をつけずにコンセントに差し込まれてしまったのがいけなかったらしい。それでアダプターがいかれてしまったようである。「変圧器をつけなかったのか?」との英語の問いに、うなずくと、店中の店員に「アイヤー」と言われる。……どーせ私が悪いのよ、ええ。
それでも店の人は親切にIBMに電話してくれて、そこに持って行ってくれることになったらしい。「17時にまた来い」と言われ、パソコン本体を店に残したまま手ぶらでホテルに戻った。

ホテルに戻ったところで悲しみにくれながらKさんにメールを送る。メールが部屋から送れるホテルってなんて素晴らしいんだろ。このまま他のホテルからも送れるようならここまで焦ることは無いだろうに。……あ、でも旅行記が打てないか。これも結構痛恨。
電機屋に行くまで、今後の予定について検討する。とりあえず予約が必要なレストランでの食事は、極力予定をたてて予約をしてしまおうということに。
ペニンシュラホテル内のレストラン、「嘉麟樓-ガーロォンラウ-(Spring Moon)」を12月30日の11時半から、「福臨門魚翅海鮮酒家-フックラムムーン-(Fook Lam Moon)」の本店を1月1日の19時からで予約する。なんてマメな私たち。

17:00、また電機屋を訪問。
「10分待て」と言われ、椅子を勧められ、店員さんと無駄話に興じる。こちらが不安がっているのを察してか、色々と皆してかまってくれる。
英語と日本語と広東語のごたまぜのコミュニケーションはなかなか楽しかった。

「名前は?名前」
「ユキコ。ワイ・ユー……(漢字でも書く)」
「シャオチー、ヨーケイチー。アナタの名前、シャオチー、ヨーケイチー」
「ああ、広東語でそうなるんですかー、どもども」

「アーユー、チャイニーズ?」
「(見てわかんないのかしらん)え、ジャパニーズっすよ。アイアム・ジャパニーズ」
「アナタは中国人のヨウナ顔をシテイマスね(←別の店員、日本語で)。中国デ美人ノ顔デスね。ユーアービューチフル。」
「へ?そーなんですか?アムアイ・ビューティフル?へへへー嬉しいなぁ」

などして時間はすぎていき、それまで店に見掛けなかった店員さんが紙袋を抱えて戻ってきた。どうやらIBMの直営店まで行ってくれちゃったらしい。
「ダメ。直らない」
の答えに、店中がまた「アイヤー」。端末とケーブルをつなぐ口が違うらしく、スペアもそこにはなかったらしい。
「Your adapter is BOMB!」と言って皆が私を笑いながら苛めてくれる。ちくしょー、ちくしょー。
もう変圧器は必要ないので、出来れば返金してもらいたかったが、店の人は「代わりのものと交換してくれ」と言ってくる。サターンソフトがあるらしいので、それと交換してもらう。レーシンングもの2枚とボンバーマンの合計3枚。うち1枚は日本製の正規のものだけれど、残りはこちらのパクリ商品だった。動くのか?大丈夫なのか?
とっても不安。しかもなんか損した気が。……でも異様に世話になったので、まぁ良いだろう。仕方ない、仕方ない……。

18:40、ホテルを出て「新樂酒店-シャムロック-(Shamrock)」に向かう。地下鉄に乗ってすぐに着く。
19時に店につくと、まださほど込み合ってはいなかった。席について少しすると日本語入りのメニューが出てきた。日本語メニューの存在って嬉しいけどちょっと悲しい。食べたいものを適当にとってみた。

4種の豚の盛り合わせ:
何がどう4種なのかは不明だけど、とても興味を惹かれて私が選んだ。ペキンダックのよーにパリパリとした皮系と、皮つき肉が2種、肉のみが1種。とりたてて味の差はなかったけど、どれも香ばしくて非常に美味しい。杏ジャムのよーな甘いたれと、黒酢がついてきた。皮って美味しー。超美味しー。
蟹の野菜あんかけ:
Sちゃんのリクエストによる1品。白くてふわふわの蟹肉に、マッシュルームのようなキノコがごろごろ混ざっている。皿縁に沿ってブロッコリーもごろごろ。素材1つ1つの味がはっきりしていて美味しうございます。
魚介のスープ:
店員さんに「どれが美味い?」と聞いたら、「このへんだ」と言ってたので、これにした。白いスープで卵ふわふわ。魚介沢山。美味。
チャーハン:
以上の3品を同時につついていたら、店員さんが「ライスはいらないか、白米は」のようなことを聞いてきたので、「いらない、いらない」と主張したのだが、何故か店員が3人程寄ってきてこの応戦の様を観察している。何故だ。店員は尚もくい下がってくるのでつい「白米でなく、フライドライスの方が良いぞ」と言ってしまい、これを聞いた店員は満足そうに去っていった。……胸に敗北感が広がるのは何故だろう。しかし出てきたチャーハンはエビがころころ、野菜も結構入っていて、御飯にまざる青菜のシャキシャキ感がとても良かった。おなか一杯になっちゃったけ、注文して良かった。
Sun Miguel Beer:
某氏に「このビールは旨いぞ!」と聞いていたので飲んでみた。口にした感じは特に強い個性もなくて「あれ?」と思ったけど、後味が異常に良い。確かに美味しい。1つと言ったのに、何故か2つ出てきて、Sちゃんも飲むハメになってしまった。Sちゃん、酔っぱらう。……だいじょうぶかー。顔が赤いぞー。箸止まってるぞー。大丈夫かー……大丈夫で無かったらしい。Sちゃん、赤い顔しながら何度も化粧室に行ってしまう。ありゃりゃ〜……。
蛙のデザート:
正式名称忘れた。Sちゃんが食べたいと言った。蛙の皮下脂肪を氷砂糖で煮たものである。美容に大変良いらしい。想像した以上のものすごい量が器になみなみと盛られてやってきて、一瞬絶句する。ゼラチン状の蛙様は、ちょっと見た目グロかもしれない。白くて透明なゼラチンのここそこに内臓系の黒っぽいものが張り付いていたりするので。スープは甘いけど、蛙は無味無臭。全部食べきったが、臓腑が全面的に蛙状態になってしまった……。

ここは店員さんがお茶目で面白かった。最初無愛想に見えた担当(らしい)片言の日本語を解する店員さんは次に皿を持ってきた時から鼻歌まじりになり、最後は笑顔も見えるようになってきた。蛙を持ってきた時なんぞは「これでキミタチもビューチフル!」のような事を言って去っていくし……謎である。大変に楽しく、美味しい夕食でした。多謝。

「新樂酒店-シャムロック-(Shamrock)」で夕食
合計 HK$ 450

21:05、ホテルに戻る。
部屋でごろごろしていると、突然1箱のチョコレートが部屋に届けられる。 ウェルカムチョコレートというやつだろうか。嬉しいけど謎を含むチョコの宅配……。
夕方に出したメールのお返事が、Kさんから届いていた。日本とこうやって瞬時にやりとりというのが、メールの素晴らしさだ。アダプター、明日ペニンシュラで聞いてみるか……。旅行記が打てないのは辛すぎる。紙に書くのは疲れるからキライな私。
23:00、就寝。電気を消してから、結構長くSちゃんと語りを入れてしまい、目をつぶったのは24時をまわった頃だったようである……。

photo
街の夜景。キラキラのビカビカである。