1月13日(日) 買い物とタイ式トイレとワッフルと

朝食喰うぞビュッフェだぞ

ホテルの窓からの風景でござる 冷房を止めて寝た、プーケット初めての夜。汗びっしょりで午前7時の目覚めだ。太陽が出た途端に部屋の中はじりじりと暑くなっていく。
私たちの予約したホテルのプランでは、朝食はついていない。ホテル周囲の勝手もわからず、
「とりあえず、ホテル内のビュッフェでも行ってみましょうかー」
とぽてぽてとプールサイドの朝食専用レストランへ向かう。ジーンズ姿だと暑い。インド綿のワンピースは持ってきたけど、テレテレ素材の柔らかいパンツが買いたい今日この頃だ。

お一人様約1500円の朝御飯。とてもじゃないが安いとは言えない。でも、料理の充実ぶりはなかなかのものだった。3歳児の息子が無料なことがありがたい。
ジュースの種類は多くはないけど、シリアルたっぷりパンもたっぷりフルーツも山盛り。卵担当のお兄ちゃんがフライパンを持って中央コーナーにて待機している。好みの卵料理はそこで作ってもらえる。

「お粥がある〜」
「何故か焼売まである〜」
「でもでも、このバナナケーキはとても美味しそう〜」
などと、節操なくあちこちのワゴンを周遊しまくる。マンゴージュースにフレッシュオレンジジュース、牛乳に紅茶。カリカリベーコンにマッシュルームとチーズ入りのオムレツ。ペショッとしていて香ばしさのないハッシュドポテトは悲しいほどに今ひとつの味だったけど、他はどれも大概美味しいものだった。

バナナのパウンドケーキやハチミツを垂らしたパンケーキを息子と分け合いつつ、チョコデニッシュもつまむ。
タイ料理が並ぶコーナーにはチャーハンに海老の炒め、鶏肉入りのお粥などなど。切り干し大根に良く似た味がする、ちょっと珍妙な味の炒め物なんてのもあった。どれもマイルドな味の食べやすいものばかりだ。最後にはイチゴとパパイヤとパインとすいかとメロンを1皿に山盛り食べる。
……ちょっと食べ過ぎ。リゾート地の朝食ビュッフェは美味しいものが盛りだくさんでとてもとてもシアワセだ。

Laguna Beach Resort 「Similan Restaurant」にて
Breakfast
Coke
2 × 510.00 B
90.00 B

そして全力で遊ぶべし

国内であれ国外であれ、旅行に行って最初にしなきゃいけないことは「現地マーケットに赴いてのドリンク&食材調達」である。ホテル設置の冷蔵庫内の飲み物を飲む気にはあまりなれない。
「あれは"ぼったくり箱"だからね」
と、外で安いのを買ってきて勝手に詰めちゃう極道な私たちである。5割増しくらいなら我慢できるけど、3倍以上の値がするのってどうよ、といつも思ってしまうのだ。

この巨大リゾートエリアの中に、現地の人も利用するようなマーケットがあるとは今ひとつ思えない。ならばプーケットの中心街「Phuket Town」へ行ってみようじゃないかということに。幸い、ホテルから安価なシャトルバスが日に数本出ていた。午後は買い物、これで決まり。

午前中は、ホテル内のプール及び目の前のビーチにて全力で遊んでみた。
大きなプールは遊び甲斐がある。白い砂浜の先の海はうっとりするほど透き通った、緑がかった青色の海の水だった。私たちと同じく家族連れの欧米人客も多い。「お父さんサービスだよーん」とばかりに小さな子供を2人3人と抱えてばしゃばしゃと遊んでいる。本を片手に日焼けにいそしむカップルもいるし、皆さんそれぞれバカンスをお楽しみ中、といった様相だ。

で、「……なんじゃありゃ」と思うようなのって、悲しいことに大抵日本人だ。あ、同郷人だ、と変に意識して見てしまっているのかもしれないが、それにしても奇矯に映るふるまいをしているのは日本人に多いような気がする。
なぁ〜ぜ、日のさんさんと当たるプールサイドで長袖着込んだ挙げ句にバスタオルまで頭からひっかぶって本読んでいるのか、そこの女性(日焼けしたくないというのはわかるけど、だったら他にやりようが……)。
なぁ〜ぜ、上から下までバシッと着込んでプールサイドに来た挙げ句、もそもそと脱ぎ出すのか、そこの男性(上に何かはおるとしても、下は海水パンツ1枚で部屋から出てきても不自然じゃなかろうに、そもそもなぜ靴下まで履いているのか)。

日本人以外をとりたてて「ああ、なんてカッコイイの」と賛美しまくるつもりはないけど、他の旅行客を見ていて「なるほどなぁ」と思うことも多々、リゾートの過ごし方にはある。昼間はものすごくズルズルペタンな服装をしているのに、夜にはシャキッと身綺麗にしている旅行客を見習いたいなと素直に思う。

などとぼんやり考えつつもウォータースライダーを連続3回滑ってみたり。
スライダー用のマットを抱えてプールにたゆたっていたところ、プールサイドにグレーの小山が現れた。ホテルにいる子象だ。世話役の人もぴったりついて、でも子象の上には小さな女の子がキャッキャキャッキャとはしゃいだ声をあげながら乗っている。おー、可愛いぞ、象、可愛いぞ。

身体の高さは160cm弱くらいの、かわいらしい象だ。名前は「Puggy」。そばに近寄り、初めて象を撫でてみた。象肌だ(←どんなや)。
よく化粧品のCMで出てくるような人の皮膚の拡大図、あれがそのまま表皮になったようなきめの粗いざらりとした皮膚。2cm角につき1本ほど、太くごわっとした毛がひょろりと生えている。撫でた感触は犬猫みたいに気持ちのよいものではなかったけど、優しい目がとても可愛い、人なつこい象だった。ホテルにいればしょっちゅう会えるらしい。息子にとっては子象でも巨大に映るらしく、
「ぞうさん、こわい、こわいよー」
と遠巻きに眺めることしかできなかった。一度くらい乗ってみればいいのにねぇ。帰る日までに乗ることはできるだろうか。

タイのサテの味〜Cafe Loma

上品な盛りつけのサテミックスそうこうしているうちに昼御飯。午後2時出発のシャトルバスを前に、あまり余裕はなかった。
息子に「何が食べたい?」と聞いてみたところ、
「ポテトとコーラ!」
という、なんともアメリカ人的答えが返ってきてしまい、苦笑しながらそれが食べられるであろうプール沿いのカフェレストランに行ってみた。

私は6本セットのサテミックスプレートを注文。豚肉鶏肉牛肉から好みのものを組み合わせて作ってくれ、ジャスミンライスがついてくる。ソースはピーナッツ味の甘いものと、レモングラスの香りの甘酸っぱいものの2種類。
「アルコールは……後でだるくなるから止めよう。ジンジャーエールが飲みたいなぁ」
と、ジンジャーエールをかぱかぱ飲みながらの昼御飯。

どの肉にも、カレー風味の下味がこってりと染みていた。「全部2本ずつねー」とお願いして、牛豚鶏が2本ずつやってきたそれは、どれも香ばしく美味しかった。牛肉には甘酸っぱいソースが合うような気がする。鶏肉にはピーナッツの甘いやつが似合うような。バリ島で食べたサテとは、名前は同じでもかなり違った味がした。ピーナッツソースの味からしても、こちらの方が甘さもねっとり感も濃厚だ。辛さもちょっとばかりあったりして。「甘いか辛いか酸っぱいか」というタイ飯の基本の味が詰まったようなサテだった。

しかし、昨日も思ったけれどタイ米って、すごく美味しい。パラリとした食感も独特の香りも、私は大好きだ。味の濃いおかずには日本のモチモチした御飯じゃなく、このパラッとした米が最高に良く似合う。この気候にも素晴らしく良く合うし。
「辛い料理が続きそうだし、今度こそ日本から煎餅を持っていくべきかなぁ」
と出発前には言っていただんなは、目の前で美味しそうに「シンガポール風ミーゴレン」なるものをもしゃもしゃと食べていた。全然平気そうじゃないか、君。

Laguna Beach Resort 「Cafe Loma」にて
Satay 6 Stik
Mee Goreng
The Big Bun
Coffee / Tea
Ginger Ale
Coke
210.00 B
235.00 B
150.00 B
2 × 95.00 B
2 × 90.00 B
90.00 B

おっかいっものっ、おっかいっものっ

「さしみ」……午後2時。他に3人のお客を乗せて、ホテルから「Phuket Town」行きのミニバスが出発した。
途中には商店街があったり市場があったり。市場では野菜から果物から雑貨、服まで売られているのが車窓から見えた。屋台もたくさん運営中。
「あーステキー、あそこ、あそこ寄りたいぞ!あとで行くぞ!」
と思うものの、ここがどこであるのかはさっぱりわからない。ホテルの徒歩圏内にあったら毎日通うのに。

交差点で止まったミニバスの窓からは、とても怪しい看板も見えた。
非常にたどたどしい日本語で書かれた「さしみ」の文字。「JAPANESE RESTAURANT」の文字も「……ホントに?」と疑いたくなるような怪しい字面だ。思わず撮影。

20分ほど車に揺られて、無事に「Phuket Town」の中心地ロータリーに到着した。

Lagna Beach Resort Phuket Townへの送迎
ミニバス
300.00 B

お買物の最終目的地は「Robinson Ocean」なる巨大マーケットだ。生鮮品も揃っているらしい。缶ジュースや水、調味料などを見るにはここが最適と思われた。観光客も多く通る場所なので、道には様々な土産物屋が軒を連ねている。私の大好きなココナッツグッズをずらりと並べた小洒落た店も。
「あそこ!あそこ寄るのよー」
「あっち!あっちも見るのよー」
とだんなと息子を連れ回す。すまん。

まずは洒落た感じの雑貨屋さんでお買物。ここ数年、すっかり収集家と化してしまっているマンゴスチングッズを見つけて大はしゃぎ。我が家の玄関には石製のマンゴスチン容器が3つ(バリで買ってきた。ごっつぅ重かった……)と木製実物大のマンゴスチンのオブジェ、小指の先ほどの小さなミニチュアマンゴスチンオブジェが並んでいる。ここにはココナッツでできたマンゴスチン型容器が大小2種類売られていた。速攻、お買い求めに。更にココナッツ製大型スプーンは150円ほどで、「炊いたタイ米なんかをすくいやすそうだなー」とこれも1本購入。我が家の玄関は更にマンゴスチンで溢れる予定。

Phuket Townの雑貨屋さんにて
マンゴスチン型ココナッツ製容器・大
マンゴスチン型ココナッツ製容器・小
ココナッツ製スプーン
90.00 B
70.00 B
50.00 B

更にてくてくお買物。テレテレ素材のパンツを買いたいけれど、どの店も客引きがうっとうしくてなかなかのんびり見る気になれない。ふと覗いたある店は、店員さんが適度にやる気がなさそうで、それでも値段は他と変わらず良い感じだった。インド綿のテレテレパンツと、だんな用ムエタイTシャツ、息子用とかげオブジェつきTシャツを握りしめて値段交渉。あれこれ相談した結果、650Bになった。ぼったくられたのかそうではないのか。私たち的には「まぁ、こんなものかなー」という感じではある。何しろゲッコー(=とかげ)Tシャツがめちゃめちゃ愛らしかったのさ。

Phuket Town Tシャツ屋さんにて
パンツとTシャツ2枚購入 650.00 B

泣けたタイ式トイレット

さて、ここで私を襲ったのが猛烈な便意だったりした。腹が痛いというわけではないけど、とにかく「出したい」という感じ(ビロウな話でごめんなさい)。目の前には「Ocean Shopping Mall」なる大きな建物が。ここならトイレがあるはず、と急ぎ足で飛び込んで、1F奥にあるそこへティッシュ握って駆け込んだ。そこは思いきり「タイ式トイレット」、なのだった。せりあ由紀、この旅行中最大のピーンチ。

便器自体は日本で言うところの「和式」だ。その和式型便器は床から20cmほど高い位置にあり、便器の縁は平たく幅広く、足場のようになっている。だが、"ブツ"をヒットさせるべき場所は日本の便器に比べ、かなり狭く頼りないサイズだ。足場も必然的に肩幅よりも狭いくらいで、日本人にとっては非常にバランスの取りにくい形状になっているのだった。しかも、床は全体的にビショビショ。これだけでかなりビビる。しかも下腹部はかなり切羽詰まっている。

しかし、物事を成す前には紙の配置の確認が必須だ。……紙は……ない。それは予想していたことではあった。ポケットティッシュは持参している。が、致したいのは「小」ではなくて「大」だったりして、ちょっとばかりそれは心もとない装備ではある。一層切羽詰まる下腹部を抱えつつ、冷静に周囲の観察。

便器の斜め前には小さな籠が。その中には使用済みティッシュがたっぷり詰まっていた。どうやら紙で拭いた後にそれを流してはいけないらしい。紙を使うこと自体はOK、と。よし、理解した。
そして便器横には、空港などで何度か見かけてきていたスイッチつきのシャワー。先は細く、いかにも「これをヒットさせろ!その場所へ!」という形状だ。どうやらこれで「その場所」を洗うのがタイ式作法であるらしい。便意迫るこの状況でこのトイレ、これはもうそのシャワーをその部位へヒットさせろということなんでしょうか、神様。

個室に入ってから蝦蟇の如くに汗をかきつつ便器に睨むこと数分、やっと覚悟が定まった。なんとか"して"みるしかないのだろう、床びしょびしょだけど。シャワーをヒットさせたことなんてないけれど。下腹部は更に深刻な事態に陥っていた。

よっこらしょ、とバランスの取りにくい足場でなんとかその体勢に落ち着き1分後。最大にピンチな状況はとりあえず回避するに至った。あー、すっきり爽やか。気分爽快。しかし、更なるピンチが目前に迫っていた。……シャワーの使用法がいまひとつわからん。いや、スイッチを押せば水は出る、それはわかる。でも、シャーッと出るのかショボショボなのか、も一度押さないと止まらないのか、そのへんはさっぱりわからない。知らずしてケツにヒットさせるわけにはいかない。ジーパンをゲショゲショにするのは目に見えている。

「よ、よし、練習するぞ」
ふくらはぎがプルプルする状態で左手にシャワーを構え、びしょびしょの床の隅に向かってえいっとスイッチを押してみた。ピシュッと勢いよく一発飛んでいく水の塊。おおー、水鉄砲みたいだ。喜んでいる場合じゃない。これはますますヒットさせるのが難しそうだ。しかし、ふくらはぎのプルプルは絶好調。早くカタをつけなければ膝から便器に突っ込んでしまいそうだ。左手にわっしとシャワーをつかみ、いざいざスイッチを。「うひーっ」と心中冷や汗をかきつつもなんとかターゲットにヒット成功。何度かシャワーを駆使し、おそるおそる紙も使い、やっとの思いでトイレを抜けた。
なかなかディープなタイ式トイレ、でも良く考えたらこれってウォシュレット。馴れたらきっと心地良いものなのだろう。習熟が必要だ。何回か。

ワッフル食べよう〜Coffe Lovers

危機も去り、すっきり爽やか気分でお買物継続。服も安い、靴も安い、何から何までも安い。
「Ocean Shopping Mall」の脇には「Tyara」という小綺麗なお店があった。可愛いクッションやバッグ、ポーチなんかが並んでる。シンプルだけどしっかしした縫製に綺麗な色使い、すごく素敵だ。柔らかい籐を編んだような可愛いバッグは1000円弱。私も欲しいし、義妹へのお土産にも丁度良いもののように見えた。トートバッグとショルダーバッグ、2つの夏っぽいバッグを購入してみた。

Phuket Town 「Tyara」にて
籐バッグ2つ 850.00 B

最終目的地のマーケットへ行く前に、
「なんかつかれたー」
「なんか飲むー」
「甘いの、飲むー」
と通りをさまよってみた。ケンタッキーがある。マクドナルドもある。ミスタードーナツすらある。日本と味が同じか違うのか、ちょっと入ってみたい気がなくもなかったけれど、「Coffee Lovers」なるスターバックスに良く似た感じの店に入ることにした。メニューは当然ながらコーヒー数種やエスプレッソ。ソフトドリンク、軽食などもメニューに載っていた。

だんながコーヒーを注文している背後から
「あ!ヨーグルトシェイク発見!」
「ライチ味って書いてあるぅ!」
「あー!ワッフルもあるぅ!」
とじたばた騒ぎ、ライチ味ヨーグルトシェイクとオリジナルワッフルを注文してもらった。シェイクは、日本で買えばLサイズだろうという巨大な容器にたっぷりと入り、温かいワッフルにはハチミツと粉砂糖がたっぷりかけられてやってきた。当然ながら、すごく安い。

あつあつワッフルぅ〜♪ 数多くの屋台があるあタイでは、ワッフル専門屋台なんてのもあると聞いた。
写真で見たそれはとてもとても美味しそうで、
「見つけたら絶対食べる!ワッフル食べる!」
と燃えていたんだけど、残念ながらPhuket Townの町並みでそれを見つけることは叶わなかった。で、ここで注文してみたワッフル。

そば粉か全粒粉かという感じのざっくりとした粉の味がする、素朴な素朴な風味のワッフルだった。表面はこんがりで中はモチモチ。何だかものすごく懐かしい味がした。"洗練"とはほど遠い味だったけど、ほの温かくて甘くてふわふわでもちもちで、めちゃめちゃ美味しかった。
「ん!んまいよ、これ、んまいよ〜」
と、私一人で食べるはずだったワッフル、結局家族全員でつつきまわすことになる。

容器にたっぷりにヨーグルトシェイクも、ライチ味が濃厚で甘さはさっぱり。シャリシャリしていて冷たくて濃厚で、これまた身体に浸みいる美味しさだった。疲れがじわじわと癒される。

Phuket Town 「Coffee Lovers」にて
オリジナルワッフル
ヨーグルトシェイク・ライチ味

そして買い物、そしてトゥクトゥク

そろそろ夕方、最終目的地たる「Robinson Ocean」にやってきた。プーケットのイトーヨーカドーというところだろうか。上階は衣料関係やおもちゃなどが売られ、1階が食料品売場。魚や肉、野菜なども売られた地元のスーパーという感じ。

やはり、輸入品以外はおしなべておそろしく安い。800mlほどの牛乳パックは50円程度、水1リットル30円、シンハービールも1缶75円くらいだ。
「スイートチリソース、やっすーい」
「ココナッツミルクも、やっすーい」
と食材漁りに余念のない私。ホテルで飲む牛乳やジュースなどのドリンク類も忘れない。

そして、買い物のキモはフルーツコーナーにあった。私にとってのフルーツ・オブ・フルーツ、大好物のマンゴスチンが1kgで180円ほど、山盛りになって売られている。そばにあるビニール袋に自分で詰めて、計量コーナーで値段のシールを貼ってもらうようになっていた。山盛りのマンゴスチン、夢のような光景だ。日本では現在、冷凍もののマンゴスチンしか輸入しちゃいけないことになっていて、美味しいものはあまり食べることができないのだ。

フルーツコーナーは、ものすごい匂いに占拠されていた。マンゴスチンのすぐ脇にあるのはドリアンの山。丸ごとの果実ならあまり匂わないものなのに、よりにもよって御丁寧に切り身にされたものがパック詰めにされて並んでいる。酔っぱらいそうな強烈なドリアン臭がそこかしこに漂っていた。そのただ中に私の愛するマンゴスチンが。「本日2番目のピーンチ……」心中で呟きつつ、ビニール袋に厳選したマンゴスチンをせっせと詰めていく。調子に乗って詰めていたら1.5kg以上になってしまった。だが、悔いはない。

日本で探して探して見つけられなかったハインツ社のモルトビネガーも発見し、食べ物類だけで異様な大荷物を抱えてしまい、よろよろになって店を後に。
そういう人が少なくないのか、建物を出た途端に「タクシー?」と聞いてくる白タクの皆様。えぇ、えぇ、乗りますとも。ただし値段は交渉で。

Phuket Town 「Robinson Ocean」にて
シンハービール
シンハービール ドラフト
カルピス
ダイエットコーク
ジンジャーエール

牛乳800mlボトル
M&M
ココナッツミルク250mlパック
スイートチリソース
モルトビネガー
トムヤムクンペースト
トムヤムクンラーメン
マンゴスチン約1.5kg
2 × 26.75 B
2 × 26.75 B
2 × 12.50 B
3 × 12.00 B
2 × 14.00 B
11.00 B
17.25 B
77.00 B
4 × 10.50 B
28.50 B
80.00 B
10.75 B
11.75 B
103.00 B

「トゥクトゥク」は、ワンボックスカーを改造したタクシーだ。向かい合わせにつけられた客席は吹き抜けになっている。窓枠はあるけれど窓はない。ドアもない。遊園地の汽車にでも乗るようにひょいっと乗って、そのまま時速100kmほどで突っ走られてしまう、なかなか恐怖な乗り物だ。
仕入れた情報によると、このエリアからホテルへは300Bほどが基本らしい。それ以上はビタ一文払わんぞ、とだんなが強気で交渉し、それでめでたく成立した。

窓とドアがないだけでこんなに怖いのか、と正直ビビリながらのホテルへの帰還。息子に万が一の事故がないようにと入り口をふさげる席に私が座り、向かいのだんなが隣に座る息子をガード。ちょっと身を乗り出したりカーブを勢い良く回るだけで息子は外に放り出されてしまいそうだ。めっちゃ怖い。私の足下にはビュンビュン流れていくアスファルトが良く見える。「落ちたら死ぬなー」と静かに思う。

途中、小雨が降ってもおかまいなし。ガラスのない窓枠から雨がパシパシと入ってこようとする中、行きかかった時間よりも幾分か早くトゥクトゥクはホテル入り口に到着した。はっきり言って、これまで経験した公道を走る乗り物の中では一番スリリングな乗り物だった。車酔いする私が、酔う余裕すらない帰路だった。

これってもしや、コロニアル?〜The Grange

部屋に戻るとまだ4時過ぎ。
「ラグーンの探検、行ってみようか」
「水上バス、楽しそうだよねぇ」
と無料水上バスに乗ってラグーン内の各ホテルをひととおり見てみようということに。

水上バスは公式には20分おきということだけど、実際には10分ほどで船着き場にどかどかやってくる。私たちの泊まるホテルは、水上バスルートでは一番端であるらしい。日が暮れつつある中、水上バスに乗って反対の端にある「Banyan Tree Phuket」まで途中下車しつつあれこれと覗きに行ってみた。このラグーンホテル群の中で、一番豪華なのが「Banyan Tree Phuket」じゃなかろうか。客層も家族連れというよりは熟年夫婦、日本人なら女性客グループが多く泊まっている感じだ。「Sheraton Grande Laguna Phuket」はいかにもな巨大ホテルでレストランも数多く、「Dusit Laguna Resort」はこぢんまりとしていて居心地が良さそうなホテルだった。

「あのホテルでも御飯食べてみたいねー」
とか、
「やっぱりシェラトンのプールは入ってみなければ」
などと言いつつ、散策は終了。途中の別のホテルで夕食を摂ろうかとも言いつつ、結局滞在ホテルに戻ってきてしまった。

「なんかこう、ガツンと肉が食べたいんだよねぇ」
と、魚介グリルも食べられるステーキ屋さんを試してみることに。散策前は一度部屋に戻るつもりでいたので、ものすごくカジュアルな格好だった私たち。キャンドルの光が揺れて分厚いカーペットが敷き詰められたシックな店内では「すみませんごめんなさい着替えてきます、ていうか子連れはやっぱマズイすね」という感じだった。が、「子供椅子持ってきますねー」「子供メニューもありますよー」とすんなり席にいざなわれ、重厚なメニューもやってきた。すんませんすんません私ら場違いです、と別の客を見ると、短パン姿の白人おっちゃんもいた。ちょっとだけ安心。

だがやっぱり、レストランの雰囲気はどこか「コロニアル調」という感じ。このキーワードには苦い経験がある。以前バリ島のホテルの"コロニアル調"レストランで、これでもかと大量のおかずが出てきて大苦戦したことがあるのだ。海外で、1つの皿の分量が多いことは知っているし経験もある。でも、「この量はないんじゃないの」というくらいに大きな皿が来たのが、かつての"コロニアル調"レストランだった。警戒電波がピシピシと脳を刺激する。

「これはさ、前菜はやめておいた方がいいよね、きっと」
「うん、スープあたりにしておくべきだよね」
「スープとメイン、うん、これなら食べられるよね、いくらなんでも」
と話し合いつつメニューを眺める。
メイン料理、肉や魚のリストの下には「Side Dishes」の一覧が。
「こんなに種類があるってことは、肉や魚には添え物はないのかな?」
「サイドディッシュ頼んだら、肉と一緒の皿に乗せてきてくれたりするのかな?」(←良く考えたらそんなことはない、何しろ"side"dishなんだから)
とこれまたヒソヒソと話し合い、注文するべきものを決定した。

私はブルークラブのコンソメスープに220gのサーロインステーキ、赤ワインソースで。それにグリルドポテトを添えてもらう。だんなはクラムチャウダーにタイ風ソースのTボーンステーキ、添え物はマッシュポテト。ワインリストを眺めるも、この気候の中ではシンハービールばかりが恋しくて、やっぱりビールを頼んでしまう。

春巻でかいぞコンソメスープさて、これがこれが、決して油断はしなかったはずなのに、やっぱり危険な食事だった。
スープはやっぱり大量だった。大きなカップに注がれた甲殻類の味のする澄んだスープ。味は想像以上に濃厚で美味しいものだった。えのきだけがたっぷり入るスープの上には、長い長い細巻きの春巻が。パリパリサクサクの春巻もやはり香ばしく美味しかったものの、「なんでこんなに長いんじゃい」というシロモノだった。500ccは入ってますか?という感じのたっぷりスープ。

だんなのスープに目をやると、こちらは巨大な黒パンの中身をくりぬいて注いだ、これまたたっぷりのクラムチャウダーだ。セロリや玉ねぎの野菜の香りが周囲に漂う、具沢山のとろみたっぷり腹持ちたっぷりのスープが、これまた大量に。味はいい。とても美味しい。でもちょっと日本人の胃袋には容量オーバー気味なスープだった。

で、巨大なサイドディッシュと共にやってきたのが巨大なメイン皿だった。うやうやしくソースも別容器でやってくる。
キャンドルの光で撮ったんでちょっと不味そうな画像に……220gのステーキなぞは、それそのものは楽勝サイズだ。食べ応えがあるなぁと思いつつも美味しく食べられる分量だ。だが、その横の、その別皿のじゃがいもは何だ。なんでそんなに巨大なんだ。ウェンディーズで注文するポテトの推定3倍量以上あるのはどういうことだ。アルミホイルにくるまれたじゃがいもは切れ目が入れられ、ほこほこと湯気が立っている。しずしずと数枚の薬味皿を持ってきたスタッフが「どれをかける?」とお伺いをたててくる。フライドオニオンや青葱、クリーム状のソースなど、指で示しつつ、クリームやオニオンをたっぷりかけていただいた。うわぁ、食べ応え、とってもありそう……。もはや"添え物"なんかじゃなくて、主食かそれ以上の存在という感じ。

だんなのTボーンステーキも巨大なら、マッシュポテトもやっぱりボリューム充分だ。パン皿サイズの、深さたっぷりなお皿にみっしりとマッシュポテト。上にはフライドガーリックがちらちらと。こちらも「少食なおねぇさんならこれだけで腹一杯」なものだった。
夫婦で内心
「きゃー……」
と悲鳴をあげながら取り組んだメインディッシュ。

レアと頼んだ焼き具合は絶妙で、中はしっかり赤いのに肉汁は赤くない、という素晴らしいものだった。味のある美味しい肉だ。タイ風の甘酸っぱいソースがついてきた、だんなのTボーンステーキも良い感じ。じゃがいもも、もちろん美味しかった。美味しいんだけど……量が多くて食べ進むうちにあんまり美味しく思えなくなってくるかな、っていう……。

「多いね……」
「多いぞ……」
「美味しいね……」
「美味しいんだけどね……」
ちょっと苦しくなりながら、なんとか平らげたコロニアルチックな夕御飯。
「デザートは……やめておこうね」
「うん、またアイスクリーム3スクープとか来たら悲劇だしね」
と、「すまんお店、デザート喰えなくて」と心中謝りつつ伝票にサインした。

就寝は11時過ぎ。しっかり動いて食べた分は消化しなくてはならぬ。

Laguna Beach Resort 「The Grange」にて
Crab Consomme
Clam Chowder
Sirloin 220g
Thai Rib Eye
Side Dishes
Kids Club Special
Singha Draft
Sprite
190.00 B
190.00 B
525.00 B
535.00 B
2 × 115.00 B
130.00 B
2 × 150.00 B
90.00 B