10月8日(月) 星空ディナー

朝食は"Benedict"

毎朝毎朝毎朝、朝食がブッフェというのも芸がないかも、と思いつつ、でも母と息子はそのブッフェがいたく気に入っているらしい。息子はいつの間にやらオムレツコーナーでオムレツを焼いてもらう術を学んだらしく、英語であれこれとやりとりして「今日はベーコンとチーズ入れてもらったー」などと言っている。母も毎朝山のようなフルーツと美味しいパンに囲まれて御満悦。旅行先で朝食のパンが美味しいというのは幸せなことだと思う(朝食のお粥が美味しくても朝食のミーゴレンが美味しくても同様に幸せだ)。

でも、今日はなんだかアラカルトメニューから頼んでみたくない?ということで、私とだんなの2人は今日はアラカルトメニューから。

私が頼んでみたのはクラブケーキの「ベネディクト」で、だんなの頼んだのはスモークサーモンとアボカドの「ベネディクト」。アメリカ料理の「エッグスベネディクト」は、トーストしたブリオッシュ(もしくはマフィンなど)の上にハムとポーチドエッグを重ね、オランデーズソース(卵黄とバターをベースにレモン汁を加えた、少し酸味のある卵色のソース)をかけたもの。パンと卵とソースを同じ温度にして出すのが良いとされている……らしい。
私のベネディクトも、だんなのベネディクトも一体どんなんだろうね想像つかないね、と話しつつ、注文してみた。

クラブケーキのベネディクト ものっすごいマンゴーっぷりです こちらはサーモンとアボカドのベネディクト

「料理の前にフルーツはいかがです?マンゴー、ウォーターメロン、メロン、パパイヤ、ドラゴンフルーツ……」
注文時にそう勧められたので、
「あー……じゃ、マンゴーを」
とお願いしてみた。「マンゴーだけで良いですか?」と問われて、「ええ、マンゴー大好きなんです」と。

そしたら、やってきたのはおっそろしい量のマンゴー。どどーんと盛られたそれは、軽く2個分ほどの分量があった。美しくカットされた果肉を見てわかったことは、このフィリピンマンゴーはおっそろしく巨大らしい、ということ。日本に一般的に輸入されている皮が黄色いマンゴーより、2まわりほども大きい感じだった。甘くとろけるような濃厚な味は今日も健在だ。繊維っぽさは少しもないマンゴーは、今日は格別に美味しく思われた。他の果物と盛り合わせにしてもらうべきだったかしらと思いつつ、でも後悔はしていない。

そしてやってきた「ベネディクト」。だんなのそれはハムの代わりにスモークサーモンとアボカドを使ったような感じで、私のそれはブリオッシュの代わりにクラブケーキを使ったような感じのものだった。クラブケーキon青菜のソテーonポーチドエッグonオランデーズソース、という構成の物体が2つ並んで盛りつけられ、サラダも少し添えられている。こんもりした外見のそれは一見可愛らしく見えなくもないけれど、その実、かなり食べ応えがあるものだった。

「2個あるし、1個ずつ交換しよか?」
「するするー」
と、だんなと2人でそれぞれのベネディクトを1個ずつ交換し合う。どちらもポーチドエッグは完璧な火の通り具合で、つつく柔らかな黄身がとろっとこぼれてくる。こぼれた黄身をパンやクラブケーキですくいつつ、のんびり朝食を楽しんだ。

母と息子は、今日も楽しくブッフェ料理。今日もオムレツを焼いてもらった息子は、
「1個めのオムレツはなんとなく小さかったから、お代わりするんだー」
と、オムレツ1個を食べ終えた後、もう1個作ってもらいに卵コーナーを目指して歩いて行った。チーズとハムを入れて焼いてもらったそれはあまりに美味しかったようで、食後に
「朝御飯を食べましたー♪卵を2つ食べましたー♪卵を全部食べましたー♪」
と、即興で「あさごはんの歌」を作って楽しそうに歌っていた。うん、良い歌だ。

「Four Seasons Resort Langkawi」内「serai」にて
Mix Fruit (Mango)
Crab Cake "Benedict"
ピンクグアバジュース・紅茶
RM25.00
RM60.00
 

ブランコのある東屋からホテルロビー方面を臨む

食後は軽く、フロント周りを散策してみた。

メインダイニングでもある朝食用のレストランは、ホテルフロントのすぐ間近。数店舗のお土産物屋さんもこのあたりに並んでいる。自分の足で歩いたことはまだあまり無くて、どこをどう歩けばフロントに辿りつくのか、良くわかっていなかった私たち。少し歩いて、やっとこのあたりの位置関係を知ることができた。

フロント近く、建物を抜けると綺麗な池があり、池の中央には小さな東屋が浮かぶように立っていた。東屋の中には、向かい合わせで2つのソファ型ブランコが。

なんだここ、なんだここー?と、主に息子が大喜びして、しばしここでのんびりしていた。部屋に帰ってホテルの案内を眺めていたところ
「お客様の素敵なディナーを演出します。池に浮かぶ東屋でのプライベートディナーはいかがでしょう?」
なんて文章を見つけて、それはさぞ素敵なディナーになることだろう。静かで何とも良い雰囲気の空間だった。

後は帰り道、途中にあるスポーツジムに立ち寄って、今日と明日の2日間自転車を借りてみることに。息子の身長にもぴったりの子供用マウンテンバイクがあって、4人分皆の分の自転車を借りることができた。自転車の首の部分に部屋番号の札をつけてもらい、「リゾート内は安全ですから」と鍵もない。リゾート内を適当に乗り降りして(プールサイド、フロント近くなどにはちゃんと自転車を止めるスペースが設けられている)、返却時は部屋の前にでも置いておけば良いですよという感じらしい。

昼食は"Tempura"

晴れた!

昨日は一日、午前中の数時間を除いては悲しいほどの悪天候だった。

せめて今日は晴れるといいなあと、
「ランカウイの神様ー、もしいるなら、今日一日くらいはスカッと晴らせてやってもらえないでしょうか」
息子がプールで遊びたがっているんですよー……と念じていたら、願い通じてか今日は見事な晴れ模様。雲一つ無いとはいかないまでも、日没までずっと日差しが感じられる、暖かい(もとい蒸し暑い)一日になった。

今日は終始水遊び日和。一日プールサイドでのんびり過ごすことになった。

これだけの晴れ模様、さすがに今日のプールサイドには他の宿泊客たちの気配を感じることができた。それでもガゼボは空いていて、他の滞在客を見かけると言っても両手の指に足りるほど。大人のカップルたちは、おそらくはこのプールではなくお子さま禁止の「ラッププール」でのんびりしているのだろう、この「ファミリープール」にはその名のとおり家族連れや、年輩のご夫婦連れなどがやってきて賑やかに、あるいはのんびりと時間が経つのを楽しんでいる。

上の写真は、ガゼボから海を眺めたところ。ランチのために一度部屋に戻るのももったいないような良い天気で、ガゼボまで料理を持ってきてもらうことにした。プールサイドにある軽食レストラン「Kafe Kelapa」の入り口まで歩いて行って「メニュー見せてくれる?」とお願いしたら「Certainly」とにこやかな返事が返ってきた。あそこのガゼボまで料理を持ってきてもらえる?との問いにも「もちろんです」と。

天ぷらだ…… 南国の味のピッツァでした ボリュームたっぷり、シーザーサラダ

このお店、店頭にいつも「daily special」なる特別料理の案内を黒板に書いて掲げているのだけれど、タイ風の麺料理だったり魚の蒸しものだったりと、毎日趣向を凝らしたものが載っていた。基本的にはパスタとピッツァの店という感じ(ピッツァは薪で焼いているのだとか)だけれど、ナシゴレンなどもメニューには載っている。

「今日の"daily spacial"見た?すごいよ、おゆきさん!」
昼前にだんなが目を輝かせて言っていたので眺めてみれば、「Seafood tempura Served with nishiki rice」と書かれていた。おお、シーフード天ぷらですって。「nishiki rice」は、カリフォルニア米。つまり、日本の御飯を添えた魚介の天ぷら……ということで、「天ぷら定食」というところだろう。

「日本食が恋しい」という事よりも「この地で食べる天ぷらって、どんなんだろう」という興味の方を多く抱きつつ、だんなはもとより私もわくわくしながら待っていた天ぷら定食。やってきたのは本当に見事な「天ぷら」だった。ガラスの長皿に盛られた天ぷらに、黒胡麻散らした白い御飯に天つゆ。てっぺんにおろし生姜を添えた大根おろしまで添えられていて、そりゃもう完璧な「天ぷら」だった。味もまごうかたなき天ぷらだ。クリスピーな"フライ"でも、ふわふわとした"フリッター"でもなかった。

「おおー……天ぷらだ……」
「さすがフォーシーズンズだ……」
これに味噌汁がついたら完全無欠の「天ぷら定食」なのだけれど、気温30度になろうという日に屋外で(しかもプールサイドで)味噌汁というのも何なんだという気がしないでもないので、これで良いのだろうと思う。大ぶりの海老が2尾、穴子(多分、穴子)と白身魚、あとは人参やピーマン(赤と緑)、茄子などが盛り合わされている。馴染み深い日本のモチモチした御飯を、だんなが大笑いしながらすごく幸せそうに食べていた。

ピッツァは、スパイシーチキンとトマト、モッツァレラ、そしてパイナップルがトッピングされた南国チックなものを1枚。あとはシーザーサラダを注文した。削られた大ぶりなパルミジャーノ・レッジャーノがたっぷり散らされたサラダは、クルトンというよりトーストです、といった感じのカリカリパンがトッピングされていて大変な食べ応えがある。薄焼きパリパリのピッツァも美味しかった。

「Four Seasons Resort Langkawi」内「Kafe Kelapa」にて
Caesar Salad
Pizza(Spicy Chicken)
Seafood tempura Served with nishiki rice
Beer(Tiger)

午後は少し早めにプールをあがり(だから、今日も「おやつ」を逃してしまった……)、日の出ている明るいうちに「露天風呂」を堪能した。

バスバブルを溶かし、これでもかと泡立てて、今日は時間をかけてお湯も多めに張ってみた。ジャグジーのスイッチを入れると呆れるほどそこら中がモコモコの泡だらけ。余裕で皆で入れる広さだねと家族で泡風呂を堪能した。バスタブの上にはヒマワリの花のようなシャワーヘッドがぶら下がっていて、シャワーを浴びることもできる。最後はそのシャワーで泡を洗い流してお風呂終了。いつの間にやらけっこう日焼けしてしまっていたようで、背中や肩がピリピリと痛かった。

星空ディナー

暮れゆくバーで 夕方、少し陽が傾いた頃に、皆で自転車に乗ってホテルの隅から隅まで探検しに行ってみた。明日帰国だというこのタイミングにこのリゾートの全貌を把握しなくても……と思いつつ、子供禁制のラッププールを覗いてみたり、豪奢な「プールヴィラ」棟の入り口をうっとり眺めたり。

ラッププールにはカーテンで入り口が仕切られ、プールに直接飛び込める「専用カバナ」なるものがいくつも設けられていて、カップルで思うさまいちゃいちゃできる造りになっていた。……いいなぁ、楽しそう。

私たちの宿泊するエリアから反対側の建物群を一周したところで、昨夜立ち寄ったバーに辿りついたので、暮れゆく空を眺めながらカクテル一杯飲んでから部屋に帰ることにした。

なんでも今日の夕方は、蚊除けの防虫スプレーを散布するらしい。「白い煙をまきますが、人体に影響はありません。数分で消えます」といったアナウンスペーパーがベッドの上に置かれていたのだけれど、その予告通りに6時頃、防虫剤の撒布があった。スタッフに聞いたところ、月に一度このような処置をしているのだとか。確かに昨年のフィリピン孤島ホテルと違って、このリゾートには蚊はほとんど全くと言って良いほど存在しなかった。
砂浜では「サンセット・ヨガ」が開催されてました

ホテル滞在最後の夜は、少しばかりお洒落してホテルのメインダイニングに行ってみることにした。

朝も昼も営業しているレストランだけれど、夜だけは「カジュアル」ながらドレスコードつきになり、男性はスラックスもしくはサロンを着用してくださいという事になっている。けど、訪れてみればかなりカジュアルな服装のお客さんたちも少なくなく、きちんとドレスアップした女性を連れた革靴着用の男性たちもいる中、思いっきり「短パンにサンダル」のカップル客もいたりした。

予約時に建物内の席か屋外のテラス席かを選択できたので、先日の屋内席でのランチは冷房がかなりきつかったなと「では、テラス席で」とお願いしておいた。ビーチを臨む2階のテラスからは日没を楽しめるようになっていて、予約の7時はまさに暮れゆく空を眺められるタイミングだったよう。赤く染まっていく空を見ながら、最後は星空の下でのディナーになって最高にムードのある最終夜になった。

ここは南イタリア料理の店で、メニューの内容もカプレーゼ、カルパッチョ、サルティンボッカに各種パスタなどなど、見知った品名が多くて安心して選ぶことができた。昨夜の「どれ食べよう……この料理、どんなのだか全っ然想像つかない……」となることもなく(それはそれで楽しいのだけれど)、料理の分量もおおむね予想どおり。デザートまで食べて良い感じにお腹いっぱいになって部屋に戻ることができた。

メインディッシュは1人1皿にした方が美しいかなということで、母がひな鶏のグリル、だんながルッコラや白いんげん豆を添えたリブアイステーキ、私がビーフベーコンを巻いたテンダーロインステーキ。

前菜は2皿、そしてパスタ1皿、これは全員でシェアすることにした。
前菜やパスタは思ったより軽めの盛りだったので、「これは1人1皿の前菜にしても余裕だったかしら?」と思ったのだけれど、メインディッシュは期待を裏切らない素晴らしいボリュームのものがどどーんばばーんとやってきて、胃袋の容量の収支は最終的にはぴったり合った、みたいなことに。

段々重ねのカプレーゼ 甘いいちじくが美味しいスモークダック ボリュームたっぷりのメインディッシュ

前菜は、完熟トマトと水牛のモッツァレラチーズのカプレーゼと、「Daily Chef's Special」だったスモークワイルドダック。
トマトとモッツァレラが美しく重ねられた皿と、ダックの方にはいちじくのコンポートとうずら卵、ヘーゼルナッツのドレッシングが添えられている。イタリアから空輸しているのだというモッツァレラは素晴らしく美味しくて、薄切りにされたスモークダックも良い感じ。甘いいちじくのコンポートが少しばかりの野生味を感じさせるダックに良く似合う。

パスタでお腹が膨れても大変と1皿だけ頼んだパスタは、リコッタチーズとほうれん草を詰めたトマトソースのラビオリ。1つ1つのラビオリがけっこう大きめなサイズで、生のプチトマトも混ぜられた爽やかなトマトソースがたっぷり添えられていた。全体的にしっかりめの味つけで、かといって下品な味にもなっておらず、とても好みな塩梅になっている。

息子にはキッズメニューが渡されていたのだけれど、メニューには載っていないクリームソースのパスタが食べたいなということで、お願いしてみたら快く作ってくれた。あまりに美味しかったらしく(そして盛りが子供用の軽めのものだったらしく)、おかわりしたい!とパスタのお代わりをお願いして、こちらももぐもぐ真剣に食べている。

大人たちはイタリアの白ワインをボトルでいただきつつ、私のメインディッシュは温野菜と魚介のラグーを添えた、ビーフベーコンを巻いたテンダーロインステーキ。どかんと300gくらいはありそうなボリュームで、だんなの皿も母の皿もそれぞれ大変に迫力のある外見だった。

母は早々に「ムリムリムリ、全部は食べられないわ」と言っていて、母の皿は私とだんなで手伝うことに。母の皿には小山のような黒トリュフ入りマッシュポテトが添えられていて、それが素晴らしく美味しかった。ワインにあまりに似合うものだから、ワインもくいくい進んでしまう。

デザートは、母がバルサミコで和えた苺を添えたパンナコッタ、だんながクラシックスタイルのティラミス、私がアーモンドアイスクリームを添えた「ピーチのさかさまケーキ」。大きな桃がてっぺんに乗せられたほのかに温かいケーキで、濃厚なアーモンド味のジェラートが添えられていた。リキュールの効いただんなのティラミスも、生クリームのものすごく濃厚な味がするだんなのパンナコッタも少しずつ味見させてもらったけれど、どれも程良い甘さの美味しいものばかり。

すっかり良い気分になって、バギーに送ってもらって部屋に戻った。

「Four Seasons Resort Langkawi」内「serai」にて
Buffalo Mozzarella served with Vine Ripend Tomatos and Basil Oil
Smoked Wild Duck Breast with Fig Compote, Quail Eggs and Hazelnut Dressing
Ravioli Filled with Ricotta and Spinach, Cherry Tomato Sauce and Pecorino Cheese
Lemon and Herb marinated Spring Chicken Chive-truffle Mached Potatoes, Natural Pan Jus
Sliced Rib Eye with Balsamic dressed White Beans, Rucola Leaves, Roasted Garlic Sauce
Beef Tenderloin wrapped with Beef Bacon, Seafood Ragout, Roasted Root Vegetables, Malbec Reduction
Vanilla Panna Cotta with Balsamic Strawberry Compote
Peach Upside-Down Cake with Almond Ice Cream
Classic Tiramisu
Beer (Tiger)
Vino (Ribolla Gialla)
Coffee
Espresso
RM62.00
RM58.00
RM58.00
RM82.00
RM110.00
RM120.00
RM36.00
RM36.00
RM36.00
3×RM14.00
RM178.00
2×RM12.00
RM12.00

レストランを出る時に、「あ、今日は星がたくさん出ているね」と話していたのだけれど、部屋の前で改めて空を眺めてみると、びっくりするほどの満天の星空。部屋の前で母と息子と別れてから、だんなと2人で浜辺に出てみた。頭上には見事に天の川が広がっていて、

「あっちが西だったよね」
「じゃあ北はこっちで……あれが北極星……かな?」
「ついオリオン座から探しちゃうよね」
「オリオン座、今は見えないだろう……あの天の川にかかってるのが白鳥座じゃなかった?」

今年の夏にプラネタリウムに行って「夏の大三角形」とか覚えてきたばかりのはずなのに、実際の星空を前にするとなかなか思い出せないもので、それでもこんな見事な星空は本当に久しぶりで嬉しかった。
早いもので明日にはもう帰宅。あと2〜3日のんびり過ごせれば最高だけれど、もう休暇もおしまいだ。