騒がしい家電

欧米人は騒音にかなり敏感であるという話を聞いたことがある。
集合住宅などではトイレやシャワーの音がかなり響いてしまうので、深夜の入浴を控えることはもとより、深夜にトイレを使用した時には水を流さずにおいて翌朝流すのだという話を何かの本で読んだことがある。我が家の上階の住人は深夜でもトイレの水を普通に流しているようなので、本当にそこまでする人がいるのかは定かではないけれど。(そして、我が家に「うるさい!」と怒鳴り込んできた背後の住人というのも存在しているのだけれど、それはそれでちょっと常軌を逸しているような気が)

"騒音"への思いは日本人もアメリカ人もそうそう変わらないはずなのに、どうして家電の消音には思いを向けられないのだろうか?……というのが、今回の一番の疑問だったりした。

家には大騒音発生装置つきの家電が溢れている。
冷房は、スイッチを入れている間中ず〜〜〜〜っとブブブブ、ガガ、ゴガゴガゴガと今にも壊れそうな音を盛大にまき散らしてくれる。台所の生ゴミ処理機(ディスポーザー)は、ゴミを投入していない状態でもブギャギャギャギャギャァァァァと鶏の骨でも放り込まれているような音が出る。ゴミを入れたら、音はもっとすごいことになる。
ランドリーにある洗濯機や乾燥機は、"これが部屋の中になくて良かったかもしれない"と思えるほど、ガコンガコングアングアンと派手な音や振動とともに洋服を洗ってくれるのだ。

極めつけは掃除機。スイッチを入れると、耳元までお互い口を近づけないと会話もできないほどの音がする。モップに袋がついたような形状のそれは、スイッチを入れると正面のライトがカッと灯り(なんでライトがついてるんだろう……)、トンネルの中を走る電車のような音を出してゴミを吸い込んでいくのだった。前任者から引き継いだこの掃除機、よっぽど古い型なのかと思ったら、まるっきり同じものが現役で売られまくっている。一体いつの時代のものだよ、と家電売り場で笑ってしまう。

ごつくてうるさいアメリカの家電に比べると、"消音"だの"省スペース"だの"ファジー"だのと細部にこだわりまくった日本の家電がすごく繊細で心地よいものに思われてくる。ちっちゃくてなー、静かでなー、日本の掃除機は可愛いよなー……と丸っこい日本家電のフォルムが懐かしくなってしまったり。