8月21日(水) 次回はマルディグラ?

あ〜、ベニエ。あ〜やっぱりベニエ〜「Cafe du Monde」

いよいよ今日が旅行最終日。とんだ「Jackson違い」で始まった旅行だったけど、その行き先がニューオーリンズだったとは、まるで食欲魔人の神様が
「いーから北部とか行ってないで南部で旨いもの喰ってきなさいよ」
と采配してくれたようなものだと、今更ながら感じる。
ニューオーリンズは「アメリカ飯はほとんど苦手だったけどこの街はイイ!」と賛美する人がとてもとても多いらしい。他の地域の御飯を悪く言う気はないけど(今まで旅行して"この国の料理だけは我慢ならん"という国は1つもなかった、たとえ悪名高きイギリスでも)、ニューオーリンズが旨いものだらけというのは事実だ。しかもすこぶる旨いものばかり。

最終日の朝は、当然ベニエ。やっぱりベニエ。何と言ってもベニエ。ベニエベニエベニエ。
他のカフェでもベニエを出すところは多くあるらしいが、やはりここは、と「Cafe du Monde」に向かった。飛ぶように売れていくアツアツベニエの味が、想像するだけで口の中に蘇る。

朝8時半のカフェ、まだボチボチといった感じの客入りの中、先日と同じ屋内の席につく。フローズンカフェオレとカフェオレ、チョコレートミルクを注文、今日は1人1皿のベニエ。1人3個のベニエを心ゆくまで食べることにする。

ベニエッベニエッベニエッ 合計9個やってきたベニエは、6個盛りと3個盛りの2皿に分けられていた。アコガレの6個盛りベニエは神々しいほどに素敵な光景。ベニエ1個1個が「食べて食べて、私を食べて♪」と囁いてくる。今日も気合いの入った粉砂糖のかかりっぷりで、禁断の食べ物という感じ。食べたら太る。確実に太る。でも食べたい。食べねばならない。

今日のベニエは、かつてなく揚げたてのものだった。表面の砂糖がドーナツの熱でじわっと溶けていく。手に持つのもしんどいほどのカリカリアツアツっぷりで、たこ焼きを食べるようにハフハフ言いながら囓っていく。冷房の効いた部屋で、鼻の頭に汗が出てくる。たっぷりの砂糖はテーブルにこぼれて、今日もテーブルは真っ白だ。

フローズンカフェオレは、その名のとおりに見事にシャーベット状のカフェオレだった。ほんのり苦くほんのり甘いチコリ入りのコーヒーは冷たくしても温かくしても旨いし、カフェオレにすると一層旨い。シャバシャバ飲みながら熱いベニエをさくさく食べる。

そして、食べながら話す私たち。
「だんなー、留学先がニューオーリンズじゃなくて残念だったね」
「何言ってんだよおゆきさん!俺はニューオーリンズじゃなくて本当に良かったと思ってるよ。こんな街に住んでいたら……1ヶ月に3kgは太る。ただでさえ1ヶ月で1kgくらい太りそうなのに」
「……そ、そうか。そうだね、うん。住んでたら2日1ベニエくらいいっちゃいそうだもんね」
「うむ」
そう、ニューオーリンズはヤバイ街なのだった。相当にヤバイ。

New Orleans 「Cafe du Monde」にて
Beignets (order of 3 French doughnuts)
Frozen Cafe Au Lait
Cafe Au Lait (Sm)
Cold Chocolate Milk(Sm)
3×$1.25
$2.95
$1.25
$1.25

マルディグラを学ぼう〜「Louisiana State Museum」

合計9個のベニエを家族でしっかり平らげて(私は息子の分も含めて計4.5個くらい食べました……てへ)ホテルに戻り、荷造り荷造り。昼過ぎにこの街を出ようということになった。10時にチェックアウトして、でもまだ時間はある。

マルディグラ博物館にて。こんな仮装をするらしい こちらはタツノオトシゴの着ぐるみ。キュートだ…… 「最後の最後に見てみますか?」
と、街の中心ジャクソン広場に面している博物館を見ていくことにした。州立のこの博物館、展示内容は毎年イースター前、2月か3月に催されるお祭り「Mardi Gras(マルディ・グラ)」に関してのものらしい。入り口にはピエロのような格好をした人形が置かれ、中もけばけばしい山車のような模型がドアから透けて見えた。そういえば、街の土産物屋にもマルディグラ関係のものがあれこれ置いてあって、一体どんな祭りなのかちょっと気になっていたのであった。地元では「リオのカーニバルよりこっちのが断然すごいぜ!」と自慢にしている祭りらしい。

博物館の中には、派手な山車や仮装の衣装の数々が展示されていた。お祭りへの招待状や、舞踏会に使われる「ダンスカード」なるものも紹介されている。祭りの光景を映したビデオがあちらこちらで流されていて、なんとなく理解することができた。
印象としてはリオのカーニバルとハロウィンがごっちゃになったような感じ。ディズニーランドのパレードに出てくるような山車に煌びやかな仮装をした人々が乗り(あるいは乗らずに)練り歩くらしい。そのモチーフは可愛らしく明るい感じのものも多い中、ドクロやブードゥー教的なブラックなモチーフも多く使われている。ちょっとだけ毒々しくもあって、そこがステキだ。

で、館内のビデオをあちこち見ていてわかったことがもうひとつ。
山車の上から、あるいは建物のベランダの上から男達が下に向かって何やら叫んでいる。どうやら下の女たちに「乳見せろ!」と言っている様子で、実際に乳を見せるところまではビデオに写ってない(というか女が"わかったわよ、やるけどビデオはどけなさいよ!"とジェスチャーしてカメラがターンしちゃう)けど、どうもナマ乳を女がさらけ出して、それを見た男たちが大喜びでビーズ製の首飾りを投げるているようなのである。乳見せる見せない関係なく、山車の上からビーズの首飾りは投げられてはいるが(それはもう節分の豆まきのように)、それをたくさん取れば取るほど幸運になるらしい。別に高価な首飾りじゃないのである。ままごとに使うような、プラスチック製のちゃちいものだ。でも、乳を見せて首飾りを山のように貰った女性は何だか誇らしげだった。
「……ナマ乳見せるお祭りらしいですよ」
「……ナマ乳ですか」
別に乳見せがマルディグラの全てというわけではないだろうけど、何度もこの光景が出てきたので、印象に残ってしまった。マルディグラはナマ乳の祭り(だから違うってば……)。

Louisiana State Museum
751 Chartres St. New Orleans, LA 70116
504-568-6968
http://lsm.crt.state.la.us/lsm.htm
Adults(Age 12+) $5
Senior $4
Children (12 & under) Free

今度はクレームブリュレ〜「Louisiana Pizza Kitchen」

博物館を見終わって、折良く昼飯時。
「なんか……パスタが食べたい気分。ついでにクレームブリュレが食べられたら、もうサイコー」
とのだんなのリクエストにより、一昨日にも入った釜焼きピザ屋さんにまた行くことにした。クレームブリュレ、私も食べたい。

私はどうせだったらやっぱりピザが食べたいとローストガーリックピザを注文、だんなは茄子のラザニア、息子には「Pocket Bread」を注文してみた。

最初にやってきたのは「Pocket Bread」。見た目はまるでプレーンなピザ生地のよう(まるで、というかそのまんま)。何も塗らずにプーッと焼いて、仕上げにガーリックペースト入りのにんにく臭たっぷりの緑色のソースを塗られて出てきた。瞬間、そのにんにくの匂いに「これがガーリックピザ?」と思ってしまったほど。表面の生地がぷーっと膨れているそれは確かにポケットブレッドという感じで、どうやらサラダなどを詰めて食べるようになっているらしい。息子、もりもりとこれを食べる。

続いて私たちの皿も来た。
私のピザは「Sun-dried tomatoes, fresh spinash, feta, and mozzarella cheese」と説明にあり、だんなのそれは「Layered with feta cheese, tomatoes, onions, bell peppers, and mozzarella cheese」と書いてあった。どちらも予想していたとはいえ、けっこうなボリュームがある。

ドライトマトたっぷりピッツァ 山盛りラザニア

今日もちょっといびつな形のピザの上にはモッツァレラチーズにフェッタチーズ(←カッテージチーズに食感が似た山羊乳のチーズ)が散らされて、その上に生のほうれん草がたっぷりと。そのほうれん草を隠すように大量のカリカリドライトマトが散らされている。そして、「これは鶏肉?」と思ってしまうほどの巨大なローストガーリックの茶褐色の塊がごろごろと。先ほどのポケットブレッドどころではないにんにく臭が周囲に立ちこめる。

だんなの皿も、これまた凄かった。普通、グラタン皿に入ってやってくる料理というものはグラタン皿の縁ぴったりくらいに入れられているのが通常であると思う。思っていた。だがだんなのラザニアは、皿より上にこんもりとこんもりと具が乗っていて、更にチーズもたっぷりと。小山になったラザニアは、いかにも食べ応えがありそうだ。

「あっはっはっはー、美味しいけど、油断したね。たっぷりだね」
「僕のラザニアはね、美味しいんだけど"おいしい〜"っていうよりは"まいう〜"って感じだよ」
「……ジャンクなんですか?」
「ジャンクというよりは……ボリュームが……なんちゅーか"まいう〜"って感じで」
「……そうですか……」
「そうなんですよ……」
と半ば苦笑しつつ溜息つきつつ、せっせせっせと食べた私たち。だんなはだんなの威厳をかけてラザニアを全て食べきっていた。私は……私は無理だった。一生懸命食べたけど、腹の中でドライトマトが水吸ってトマトに戻ってます、という感じ。2切れ残してテイクアウトさせてもらい、帰りの車の中に持ち込んだ。
当然、クレームブリュレを食べようという野望は満たされず、次回に持ち越しに。つ、次こそはクレームブリュレを!(もうすっかりまた来る気になってるし)

New Orleans 「Louisiana Pizza Kitchen」にて
Roasted Garlic Pizza
Eggplant Lasagna
Pocket Bread
Unsweet Tea
Coke
$8.25
$7.75
$1.75
2×$1.50
$1.50

さよならニューオーリンズ

マルディグラも見てみたいけど、とりあえずは冬だ。冬の牡蠣が甘くぷりぷりする時期に再訪しなければならない。今度は、我が家Nashvilleの地からひたすら車を走らせて来ようねと誓った。なーに、9時間も走らせれば着くはずだ。……多分。

そして私たちはニューオーリンズを後にしてひたすら北上、ミシシッピ州ジャクソンへ戻っていった。200マイルの距離を走り抜け、午後3時過ぎにジャクソンへ到着。ジャクソンは、ミシシッピ州の州都だ。あれこれ見どころもあるらしいけど時間もあまりないし、と「Natchez Trace Parkway」の案内所だけに寄ってきた。

ナチェス・トレイスは、国立公園というわけではないけど国が保護する昔ながらの道路だ。始点はミシシッピ州とルイジアナ州の州境付近にあるNatchez(ナチェス)。ミシシッピ州Jackson(ジャクソン)を通過し、アラバマ州を抜ける。終点は我が家のあるテネシー州Nashville(ナッシュビル)だ。全長450マイルほど。ノリとしては「旧東海道」「旧中山道」という感じだろうか。森を通り川を越え、というその景観は昔のままの素晴らしいものなのだとか。制覇は無理でも、我が家から途中まで行って川のほとりでピクニックして帰ってくるなんてことも楽しそうなのだった。トレッキングのためのルートも多数あり、キャンプ場もあちらこちらにある長い長い公園のような感じ。
とりあえず今日はパンフレットだけを貰って帰ってきた。

そしてMemphisで飛行機を乗り継ぎ、深夜無事に我が家に到着。
だんなは今から
「冬になったらー、Hot Springs(←国立公園。温泉が名物)に寄る計画立てて、冬の生牡蠣と、温泉〜♪」
なんてオヤジみたいなことを言っているのである。我が家がアメリカに滞在している間、これから何回かの地を目指すことになるのか、ちょっと怖い考えになってしまった1回目のニューオーリンズの旅だった。