10月19日(土) 私、カジノに破れる

エッグスベネディクトな朝御飯

今日はとうとう帰宅の日。
「ギャンブル、しないんだもんね。スロットだって、やらないんだもんね」
とラスベガスに来た直後くらい(=両替コーナーでヒジョーにムカつく態度を取られてから)から頑なに思っていた私。でも何だか今日は「ちょっとだけ、スロットをやってみないか?」と天の啓示が聞こえたような気がするようなしないような。今日は微妙にあたりそうな予感がして、朝食後にちょっとだけやってみようと考えるのであった。

朝食は、ホテル内カジノフロアのカフェレストランへ。カジノ客のために、24時間営業しているところだ。正直ブッフェは「もういいや」という気分でもあるし、何より行列に並ぶことを思うとそれだけでうんざりだった。
「Pyramid Cafe」という名前のそのカフェレストラン、メニューの中身もファラオだのスフィンクスだのとエジプトが佃煮になっていた。
私は「Two Poached Eggs atop a toasted English Muffin. Served with Hollandaise Sauce and Hashbrowns」なる「Eggs Benedict a la Cheops」という朝食セット、だんなは「Two eggs, any style, choice of Ham, Bacon or Sausage, Hashbrowns and Toast」なる「Giza Breakfast」。さすがにシリアルメニューなどに"クレオパトラのうんちゃら"なんて名前がつけられていることはなくて、息子は普通にシリアルを。

私の前にやってきたのは、巨大な目玉を模したようなブツだった。
皿には半割にしたイングリッシュマフィンが2つ横に並べられ、その上にはそれぞれグリルした厚切りのハムが。そしてそのハムの上にはポーチドエッグが1個ずつ。エッグの上には黒目のように黒オリーブが飾られる。で、パンの表面を隠してしまうほどのたっぷりのチーズベースのクリームソースがだばだばだ〜とかかっていた。
紅茶はポットごとやってきて(でもティーバッグ)、ハチミツのパックと櫛形切りのレモンがついてきた。

味は、「ブッフェ料理よりいくらかマシ」な程度、で料金も「ブッフェ料理よりいくらか高い」という感じ。それでものんびり座って食べられる分、ブッフェよりいいなぁと感じてしまう。

Las Vegas 「Luxor」内「Pyramid Cafe」にて
Eggs Benedict a la Cheops
Giza Breakfast
Cereal
Coffee
Tea
$8.95
$7.50
$3.25
$2.25
$2.25

そして私も溶ける

ロビー方面からカジノを臨む 食後は、30ドルの現金を握りしめた私(他の現金は部屋に置いていった)がカジノエリアに。「メルセデスベンツがあたります」なる25セントスロットの前につき、1時間ほどピコピコやっていた。
最初に投入した20ドルが大当たりしてすぐに80ドルになり、「いいぞいいぞ、がんばれマシン」と思っていたところ、その後じわじわと減る一方、結局手持ちの30ドルは綺麗に溶けてなくなった。神の啓示は最初に80ドル当たりまでのところだったらしい。ちぇ〜。

そしてチェックアウト。
ラスベガスの他のホテルと同じく、このホテルも部屋数4000前後のメガホテル。チェックイン・チェックアウトの時間帯はホテルのカウンターは大行列になる。ホテルの部屋のテレビから"ビデオ・チェックアウト"なるものができたので部屋でチェックアウト手続きをしてそのまま速やかにホテルを去る。レンタカーを返却し、フライトのチェックインをし、あとはラスベガスを去るのみとなった。

さよならラスベガス

飛行機の離陸は午後1時。昼飯時に空港にいたのだけど、その昼食は昨日の夕食のドギーバッグの中身。幸い炒飯も回鍋肉丼もいたんでなくて、美味しく食べられた。空港内のバーガーショップからアイスティーだけ買ってきて、ロビーのソファーに座って食べる。冷めても美味しい炒飯や丼ものに、ありがたやありがたやと思いながらかっこんだ。

いよいよラスベガスを去る直前、最後の最後に出発ロビーでスロットに興じる我が夫。
10ドル投入、即消え。
……我が家の初めてのラスベガスギャンブルは、全体的に負けて溶けて終わったのだった(ツキがないわねぇ……)。

今日のだんなの成果
10ドル(所持金)→$0

今日の私の成果
30ドル(所持金)→$80→$0

ぎざぎざだねぇ〜ラスベガス空港から、アリゾナ州フェニックス空港に、そこで乗り換え、テネシー州ナッシュビルへ。
フェニックスに到着する少し前、機内アナウンスで
「左手を御覧くださぁい、グランドキャニオンです」
と案内があり、見ると眼下が見事なギザギザ地形になっていた。飛行機からくっきり見えるほどの見事な地形っぷりだ。最後の最後に良いものが見られた。

そして午後9時前、雨のナッシュビルに無事に帰ってきた私たち。
帰る直前、返したレンタカーの8日間(実質5日間。ラスベガスに来てからはほとんど乗っていないから)の走行距離は1921マイル。3073キロメートル。5日間、毎日毎日東京から大阪まで移動すると、ちょうどこんな感じの数字になる、らしい。

出発前、某ガイドブックに載っていた、国立公園を旅する事についてのあるエッセイストのコラムを読んだ。
曰く、
「国立公園巡りは幼稚園年長児以下には無理かと思う」
「5,6時間の運転を当然と思っている現地の人と我々は根本的に違う」
なのだそうだ。子供は吐く、子供は飽きる、大人も運転に疲れる、飽きる、なのだそうだ。
我が家の体験からすれば、「そんなの、その家によって全然違うでしょ、"無理"だなんて言わないでよ」という感じ(まぁ、ガイドブックの立場からすると"子供連れでも全然OK!"と言うわけにはいかないと思うけど)。

4歳の息子は頑健だった。車が大好きで大好きで、酔って吐くどころか何時間でも平然と乗っていてくれた。一度も車の中で泣かなかった。2km弱のトレイルでも元気に歩いてくれた。
だんなも逞しかった。休憩なしの200マイルドライブも、オラオラと突っ走ってくれた。それこそ"5,6時間の運転は当然"という感じだった。
私だって、がんばったぞー(と自分で自分を誉めておく)。ナビのスキルはだいぶあがった。マップを見ると、そのときの景色が目の前にぶわっと出てくるほどだ。
「要するに、みんなタフだ、と」
「……いや、それって単に"ずぶとい"と表現すべきでは……?」
と苦笑いしながら感想を言いあって終わった旅行だった。

実は、来月はテネシーからニューヨークに行く計画を立てている。片道、800マイル。
今回以上にすごいことになりそうな予感が、ひしひしと。