11月27日(水) 感動のMET、失意のWilliam

これ、サンドイッチなのかしらん?〜「CARNEGIE DELI」

基本的には出不精なくせに、旅行に出ると常にハイテンションになってしまう私。気分はずーーーーっと"ハレ"なのだった。
睡眠時間6時間程度で目がランランと冴えてしまったこの日の朝も、7時前に目覚めてしまい、幸せそうな顔で眠るだんなと息子を
「いいなぁ……」
と眺めながら本を読んだり旅行記を書いてみたり。

さすがに9時半を過ぎても眠っている家族に「ねーねー、そろそろ起きてよー、お腹がすいたよー」と訴えて起こして歩き、本日の目的地、メトロポリタンミュージアム方面に動き出す。朝食にと向かった先は「CARNEGIE DELI」だ。なんでも、この店のパストラミサンドはニューヨーク名物であるらしい。
「やっぱりせりあちゃん、カーネギーデリのパストラミサンドたべるの?」
と出発前に友人Yに言われて初めてこの店の存在を知り、そのパストラミサンドなるものの概要を調べていて「これは食べねば」と思った次第で、なんだか、ものすっっっごくでっかいらしく、1人1皿は頼んじゃいけないシロモノであるみたい。
私はもとより、だんなの方が「すっげー、食べてみてー!」と燃えている様子だ。今日はコートを着込んでも寒く感じるくらいの気温の中、地下鉄に乗ってその店に向かってみた。

いかにも老舗のデリという感じの、微妙な野暮ったさが漂う昔くさいポップさが漂うお店は、午前10時を過ぎて客席のほとんどが埋まっていた。壁には一面、サイン入り写真の額だらけだ。
噂のパストラミサンドは「The Woody Allen」という名前らしい。1人1皿の注文では食卓が破綻するのは目に見えていたので1皿だけ注文することに。しかしながら、メニューには「SHARING $3.00 EXTRA」と、「分け合って食べる場合は3ドル増しですよー」なんていう事が記されていて、3ドル余計に取られるくらいなら他の何かも注文した方が良いような感じ。で、「Our Delicious Home Made Chicken Soup」なんて紹介されていたチキンスープも1皿取ることにした。スープの中に麺を入れたりお団子を入れたりもできるらしく、麺入りで注文。「カリカリがたべたいなぁ〜」と言っている息子にはシリアルを1皿取ってやった。

どどーん どどどーん 注文したコーヒーやアイスカプチーノと共にテーブルにやってきたのは巨大ピクルスの小山だった。親指大サイズのキュウリが丸々1本漬けられ、そいつが"こんなに盛らなくてもいいじゃないか"というボリュームでテーブルの中央に置かれている。緑色鮮やかなキュウリはピクルスというよりも"浅漬け"といった外見で、味も実際浅漬けだった。酸味は少なく、塩気も軽め。
「おお、これは浅漬けだ」
「すると、皿の下の方にある茶色がかってるやつは"古漬け"だろうか」
などと言いつつ、料理が来るまでバリバリバリバリそれを囓る。"古漬け"の方は、中まで染みたビネガーの味も濃厚な、真実古漬けの味だった。

スープ皿に茹でた麺が盛られ、ステンレス製のスープカップになみなみと黄色いスープもやってきた。店員さんが目の前でカップ入りスープをスープ皿にジャーッと注ぎ、カップを持って去っていく。黄色のその色が濃厚なスープは塩気控えめ、不味くはないけど、とりたてて美味しいものでもなかった。野菜も肉も入っていない透明なスープにオーバーボイル気味の麺。これもまたアメリカの味なのだと思う。

そしてそして、高さ20cmほどのサンドイッチがやってきた。いや、これは"サンドイッチ"と名乗って良いものなのかどうか。
薄いパンの間に挟まるのは薄切り肉の山だ。"パストラミ"と聞くとパサパサの水気の少なく塩辛いサラミを想像してしまうのだけど、これはローストビーフのようにしっとりと水気があり、適度な塩気のあるもの。周囲には胡椒がピリリと効いていて、それが圧縮されて圧縮されてパンの間にぎゅうぎゅうに挟まっている。パンの存在意義はこの物体を"これはサンドイッチである"と定義づけるためだけにある感じ。どっちみちこの形状のままで食べようがないので、肉の山を少しずつ胃袋に移動させることから始めなければならない。
「うまい!うまいが……」
「なんでこんなサイズにしなきゃいけないんだろう……」
「ていうか、1人1皿じゃ絶対ムリだって!」
と、ヒーヒー言いながら、"1人1山担当"でパストラミの山を崩していく。ちょっと甘めのコールスローと浅漬けピクルスが程良い口直しになってくれた。

Midtown 「CARNEGIE DELI」にて
The Woody Allen
Our Dricious Home Made Chicken Soup with golden noodle
Cold Cereal with milk
Iced Cappucchino
Coffee
$14.95
h $4.95
$3.25
$3.25
$1.75

また来るからねウィリアム〜「The Metropolitan Museum of Art」

美の殿堂〜♪今日は一日、「The Metropolitan Museum of Art」見学。
パストラミサンドですっかり満腹になった胃袋を抱えて地下鉄に乗り、クリスマスの装飾があちらこちらに施された美術館に到着した。ロビーフロアは大混雑。やっとの思いでコート類をクロークに預け、入場料を払い、まずはエジプトコーナーから。
ここの入場券は、バッジになっている。ステンレス製のプルトップのような形の"M"マーク入りの小さなそれを、服の襟などにパチンと止めて歩くようになっており、これがなかなか可愛い。

ここでの一番の目当ては、この美術館のイメージキャラクターにもなっているカバのウィリアムだった。"かばば"というハンドルネームを持ち、周囲からも"かばちゃん"などと呼ばれている我が夫、カバはなんとなく身近な存在になっている(顔もまぁ、カバっぽいかもしれない)。カバグッズをちょこちょこ収集しているうち"METのカバ"を知るところとなり、いつか見たいねと言っていたのだ。昨年の私からのクリスマスプレゼントは、まさにこの"METのカバ"グッズ詰め合わせだった(←METオンラインショップで注文し、日本に送ってもらった)。本物、ぜひぜひ見たいじゃないか、と燃えていたのだった。

美術館内のクリスマスツリーんが、エジプトコーナーを全て歩き尽くしても、ウィリアムには出会えなかった。
エジプトコーナーは現在ちょこちょこ改装中。柵が敷かれて奥には入れないコーナーがいくつかあり、美術館スタッフに聞いてみるとまさにその奥にウィリアムが展示されていたらしい。あと数十メートルという至近に近づきながら、憧れのカバを見ることができなかった我が家だった。どうも今回の旅行、美術館博物館関係の巡り合わせがよくない。

失意のまま、残り体力と残り時間を考えつつ「European Paintings」コーナー、「19 Century European Paintings」から見て歩く。画集でしか見ることがなかったドガの絵画、今にも色褪せてしまいそうなパステル画を間近に見られ、感動しつつもすたすたと移動。途中、現物の絵画を前にイーゼルを立て、模写している人も見た。模写は現物を前にしてやるものではなく画集などの印刷物を見ながらするもの、という通常の感覚からすると、なんて贅沢な事なんだろう。
「いいなぁ。美術館、いいなぁ」
と、だんなも何やら楽しそうだった。あまり絵画や彫刻に興味のない人なんである。
「いやぁ、今までね、展覧会とか行くと何か消化不良でねぇ……つまんなかったんだぁ」
だ、そうである。
「これだけ見るものがあるとさぁ……いいよねぇ……」
とのことである。それは、日本の展覧会をMET常設展示の規模にしろということだろうか(そりゃムリだ……)。

あとは「The Robert Lehman Collection」コーナーを見るだけ、という段になったところで一休みすることに。館の中には6カ所ほどの喫茶コーナーがあり、そのうちのひとつ「Museum Bar Cafe」で休むことにした。中央のワゴンにはケーキ類がいくつもディスプレイされていて、「ああああ、疲れたなぁ、甘いものが恋しいなぁ」という気分が盛り上がる。炭酸水だけを飲んでさっぱりと済ませるつもりが、
「レモンタルト、ちょーだい」
などと口が勝手に注文しているのであった。テーブルには、ニューヨークチーズケーキ(←だんなが頼んだ)までやってきてるし。

レモンタルトこちらはチーズケーキ

ねっとりしたレモンクリームは甘さもあるけど酸味も強く、割とさっぱり。チーズケーキは心もちねっとりとした口当たりだったけれど、甘さは控えめ。でもどっしりと胃にたまるボリューム充分なものだった。食べ物が美味しい美術館や博物館って、嬉しいものだ。

「Museum Bar Cafe」にて
Lemon Tart
NY Cheesecake
Orange Juice
Sm Pellegrino
Double Espresso
$6.00
$6.00
$2.50
$3.00
$5.00

糖分を補給した後は、再び美術館散策。個人所蔵のコレクションである「The Robert Lehman Collection」は、期待以上に面白かった。居間を模した赤いビロードの壁の部屋には大量の宗教画が展示され、暖炉の前のソファに座ってそれらを眺めつつ
「落ち着かない部屋だ〜」
「私たちにはくつろげない部屋だ〜」
と言ってみたり、ルノアールやゴーギャンの絵を眺めてみたり。METの展示とはまたちょっと違った、こぢんまりとしたコーナーだった。

最後は、ウィリアムを見られなかった気晴らしとばかりにお買い物。
「ああ、ここにもカバグッズが」
「ああ、あんなものまで」
と子供向け商品にもがぶりよりながら、だんなは楽しそうにお買い物していた。私はミュージアムカタログを1冊。

「Museum Shop」でお買い物
『Masterpieces of The Metropolitan Museum of Art』
ウィリアムTシャツ
ウィリアム絵葉書(大)
ウィリアム絵葉書(小)
ウィリアムメモ帳
$29.95
$1.50
5×$0.25
$5.95

NYイチのチーズケーキ!?〜「Junior's」

美術館を出たのは午後4時過ぎ。すっかり疲れ果てていた。
「ホテルに帰るのも、ちょっと早いか」
「じゃあ、日本の本売ってる本屋さんでも行く〜?」
と、グランドセントラル駅方面に移動。地下鉄を降りたところで
「あ、なんかトイレ行きたいぞ。トイレトイレトイレ〜」
とトイレを探してさまよったとき、「Junior's」の看板を見つけてしまった。ちょうど昨夜、友人Yからメールでこの店を教えてもらったばかりだ。

さっきデンワで言うの忘れてたんだけど、チーズケーキといえば!!!
というところで一ケ所、忘れてました。NYイチ美味しい、とかいう声も聞こえてくる、有名なトコ。(爆笑)<ごめん。最近食べてなかったんで.....(泣)
素朴でシンプルでちゃんと濃く、美味しいv
Brooklynにあるダイナーのチーズケーキなんだけど、そのダイナーはチーズケーキで有名(笑) むかーし私もチーズケーキ食べにそこに友人たちと行ったわ〜。
ちなみに、なんとそのお店がGrand Centralにも入ってるんです。
レストランじゃなくてこっちはベーカリーってカタチだったはずだけど。

……だそうである。その店の名は「Junior's」。丸っこい筆記体のその赤い看板を見つけて、トイレを目指す途中に「あったあぁぁぁ!」と一瞬どこを目的地にしていたのかわからなくなった私。
とりあえず、重要な要件を先に終わらせ、落ち着いてケーキを買って出てきた。

Midtown 「Junior's」にて
Plain Cheesecake
2×$4.39

はて、今日何個目のケーキだったかのぅ…… チーズケーキにも何種類かあり、更にチョコレートケーキなどもあったようだけれど、ここは基本のチーズケーキを2つ買ってきた。
夕飯時にも持ち歩き、結局食べたのはこの日の夜10時過ぎ。カフェテーブルもないホテルの部屋で、床に座り込んで皆でつつきまわした。

これまで食べたチーズケーキの中では、かなり"軽い"方に属すると思う。ねっとり感よりもふわん、とした印象の方が強い。でもしっかり濃厚なチーズの味が漂ってきて、1切れ食べるにはかなり胃袋の容量が必要な食べ応えあるケーキだった。うまいー。素朴でシンプル、超うまいー。
「うまい、うまいよ、なんでニューヨークはチーズケーキが旨いんだろ」
と、日本でもこんなに食べないだろ、というくらいチーズケーキを食べまくっている私たちだった。

牡蠣牡蠣、生牡蠣♪〜「Grand Central Oyster Bar & Restaurant」

ケーキの袋を抱えたまま、グランドセントラル駅近くにある"旭屋書店"で留学生仲間から頼まれていた文庫などを購入し、そのまま数ブロック先の"BOOK OFF"に移動して、更にあれこれ買ってきた。そういえば日本語の本を見るのは久しぶりだ、と今更ながらに気づかされる。
そうこうしているうちに、時刻は5時を過ぎた。そういえば、昼食らしき昼食は食べていたかったので、すっかり空腹だ。今日はサンクスギビング前日ということで、仕事が4時に終わると聞いていた友人Yに電話してみた。
「Y〜、あのねあのね〜、今ね、グランドセントラル駅近くにいるんだわぁ。でね、美術館歩きで力尽きておりまして……一緒に生牡蠣食べに行かない?」

ここには、老舗の有名オイスターバーがある。オイスターはもとより、この店のマンハッタンクラムチャウダーが美味しいと聞いていて、一度は来ようねと決めていたお店だった。
「あ〜!あの店かぁ。10年以上前に家族で一度行ったきりだなぁ。生牡蠣、いいわねぇ。私も行くわ〜、30分くらいで到着すると思うから、先に入ってて〜♪」
とYも合流することに決定。混雑する店、レストランコーナー(他にもオイスターバーコーナーとサロンなどがある。どこに座っても同じものが食べられるらしいけど)は満席で少々待ち、私たちが座って十数分後Yもやってきた。
「でもさぁ、来る途中考えてたんだけど、せりあちゃん、ボストンでも生牡蠣食べてきたって言わなかったっけ?」
Yは呆れている。
「うん、ボストンついた日も食べてたし、実は昨日の昼にも食べてきた」
と言ったら、一層呆れられた。魚介に飢えている私たち、ほとんど"怪奇生牡蠣人間"だ(どんなや)。

ビールをんががーっと飲んでいると、最初に頼んだフライドオイスターがやってきた。皿にこんもり載せられた牡蠣フライの脇にはたっぷりのタルタルソース。続いてやってきたマンハッタンクラムチャウダーを回し飲みする。ボストンの"ニューイングランドクラムチャウダー"は生クリームたっぷりの白いクラムチャウダーだけど、マンハッタン版はトマトベースの赤いもの。セロリがほのかに香り、とろんとしたスープはミネストローネにもちょっと似ている。ぷりぷりのクラムたっぷりの、生クリーム版とはまた違う味わいで、かなりいける。

うまうまクラムチャウダーうまうま生牡蠣うまうま海老料理

ビールを飲み干した後はスパークリングワインなど注文してしまい、喰っては飲み、喰っては飲みの牡蠣三昧。
普通、オイスターバーといっても牡蠣の種類を選べるところはそれほどない。ところがこの店、生牡蠣だけで20種類以上の銘柄がずららららーっとメニューに掲載されているのであった。「SHEEPSCOTT (MAINE)」「MATINECOCK (LONG ISLAND)」と、その種類と産地が並び、1つ1つ値段が違う。眺めていると、「BLUEPOINT」が1つ$1.45と一番コストパフォーマンスが良いように思われる。とにかく大量の生牡蠣が食いたい、ということでそれを中心に注文。「BLUEPOINT」を12個に、あとは名前に惹かれてカリフォルニア産の「KUMAMOTO」なるものを6個頼んだ。

18個もプレートに並ぶと、さすがに壮観だ。BLUEPOINTは馴染みの大きさのころりとした馴染みの味の牡蠣。「KUMAMOTO」は、かなり小ぶりな可愛らしいものだった。縦に長い形は日本の牡蠣によく似ている。甘みが強い、濃厚な味の牡蠣だった(でも、小さい……)。どの牡蠣も汁気が多くプリプリしている。大きさは不揃いだけど、どれもこれも旨かった。
「足りない!まだ全然足りないぞ!」
とBLUEPOINTを更に6個追加注文。更に"牡蠣のグリルアンチョビバター乗せ"とか"ガーリックバターの海老のグリル ココナッツライス添え"なんてものもじゃかじゃか注文、呆れるほど食べた。

生牡蠣も美味しいけど、焼き牡蠣も揚げ牡蠣もやっぱり美味しいのである。最後にはしっかり御飯も食べられたことで(これがまた、ココナッツ風味濃厚のほの甘い御飯で、ガーリック風味の海老と似合うの似合わないのって……)、スパークリングワイン1本空けた私たちは何やらすっかりゴキゲンだった。

「ケーキもいっぱい載ってるよー」
「そうよねせりあちゃん、気になるわよねー」
とYとごにょごにょデザートメニューまで検討し、1つだけアップルパイを注文することに。皆で食後にコーヒーを啜りつつ、薄い皮にぎっちりシナモン風味のリンゴが納められた巨大アップルパイをつつきまわした。1テーブルに1つのケーキでホント良かったわよねぇ、というボリュームのケーキまで満喫し(しかもホテルに帰って更にチーズケーキもそれから食べることになるわけで……)、地下鉄に乗ってそれぞれ帰還。
明日はアメリカにおいて"クリスマスと同等に大切な休日"のサンクスギビングデー。店舗は軒並み休みか、午前中のみ(あるいは午後の早い時間まで)の営業で終わってしまうらしい。ミュージアムなども休みだ。さて、どうなることかなー(ちゃんと御飯は食べられるのか、が最大の懸念)。

Midtown 「Grand Central Oyster Bar & Restaurant」にて
Manhattan Clam Chowder
Fried Oysters
French Fried
Oysters (Bluepoint)
Oysters (Kumamoto)
Broiled Oysters, Anchovy Butter
Grilled Jumbo Shrimp in an Herb Garlic Butter with Coconut Rice
Sierra Nevada Pale Ale
Bluepoint Pale Ale
Sparkling Wine (Gruet"Gold Label"Brut NV)
Coke
Oat Bran Apple Pie
Coffee
$4.75
$8.75
$4.75
18×$1.45
6×$2.15
$9.45
$25.95
$5.75
2×$5.75
$30.00
$2.25
$5.95
3×$2.25