11月30日(土) モモも食べたかもしれないハンバーガー

17ドルブランチ〜「B-Bar & Grill」

いよいよ旅行最終日。
「ニューヨークでステーキを食べよう!」
という野望が昨夜果たせなかったため、なんとなく"肉"が恋しい今日このごろ。
「"ガツンと肉が食べたいとき"に私がいつも行っているお店があるんだけど……ブランチはね、15ドルくらい。ここもねー、ニューヨークに来たら抑えておいてほしいところなのよー」
と友人Yが勧めてくれたお店があった。では、今日も一緒に御飯を食べましょー!と、午前10時半にYの家に集まることに。

4泊もすると、ホテルの部屋はすっかり荷物が散乱してしまって大変なことに。蒸籠やらクッキーの箱やら調理器具やら調味料やら、「ニューヨーク土産として、それはいかがなものか」な品もたくさん買い物袋の中に入っている。数日前からちょこちょこ近所のビルの入口付近からゴミとして出された段ボール箱を集め、土産物類は全て段ボールに詰め込んだ。ドラムバッグにボストンバッグ、更に段ボール2個という大荷物でホテルをチェックアウト。ニューヨークに来た日以来乗っていなかった自家用車に乗り込み、Yの家へ。幸い道路はサンクスギビング休暇で閑散としまくっている。クラクションの音も全然いつもより少ない感じだ。

B-Bar & Grill」というのが、Yが連れて行ってくれたお店。
「店名って……なに?"BB"って壁にでっかく書いてあるけど……」
「そうそう、"BB"とか"B Bar"とか、そんなカンジ……?」
「そうか、そんな感じか」
と、入店当初は店名すらわかっていなかったりして(で、後になってインターネットで検索して店名や公式サイトがわかったのだった)。

ブランチは10時半から。マンハッタンの週末ってのは大抵すっごくのんびりだそうで、"ブランチ"といえど混雑するのは12時とか午後1時とか、「それってブランチじゃなくて、ただのランチ……」という時間帯に混雑するのが通常らしい。ブランチメニューで午後3時頃までだらだーらと過ごすことが多いのだそうだ。そういうわけで、10時半直後に入店した私たちは、2番目くらいのお客。ほとんど貸切状態だった。

「B Bar Prix Fixe Brunch」は、17ドル。
前菜として"本日のスープ"やフルーツ盛り合わせ、シーザーサラダなどのうちから1皿選び、メインディッシュとしてスモークサーモンプレート、フレンチトースト、ブルーベリーパンケーキ、ワッフル、サンドイッチ類、卵料理の盛り合わせなどのうちからやはり1皿選ぶようになっている。Yの"肉を食べたいときに食べる"というのは、牛かターキーかベジタブルのうちから選べるハンバーガーなのだった。そのハンバーガーがめちゃめちゃ旨いらしい。
更に、このセットにはバスケットに入ったパンと共に、シャンパン・ミモザ・ブラッディマリー・フレッシュジュースのうちから好みなものが2杯まで(夏期のみ2杯で冬場は飲み放題になっていたらしい……けど、メニューにはまだ"2杯だけよ"と記されていた)注文できる。私は真っ昼間からシャンパンを頼んでしまうのだった。Yはブラッディマリー、だんなはオレンジジュース。

私はシーザーサラダと牛肉のハンバーガーという組合せ。ハンバーガーにベーコンや各種チーズ類を1ドル追加でトッピングすることができる。モッツァレラチーズをつけてもらい、だんなもYもハンバーガー。更に息子もキッズメニューのハンバーガー。ユニフォームのミニスカートがめちゃめちゃキュートな店員さんに
「あら、全員ハンバーガーなのね?」
と笑われた。

シナモン味のぽそぽそパン ボリュームたっぷりハンバーガー シーザーサラダは適度な酸味の上品な味。パルメザンチーズがたっぷりとかかっている。だんなとYの元に来た"本日のスープ"は、魚介の赤いクリームスープ"Robster Bisque"で、胡椒がガツンと効いたトロリとした海老味の海老色のスープ。
テーブルの中央に置かれたパンはポソポソとした食感のコーンブレッドに似たもので、表面にはシナモンシュガーがざっくりとまぶされていた。温められているパンはポソポソの中にもしっとりとした感もあり、表面の砂糖も甘いけれどパンそのものもカステラのように淡く甘い。妙に美味しいパンだった。皆でハンバーガーがやってくるというのにポソポソポソポソ食べている。
テーブルに敷かれたテーブルクロスはざらっとした無漂白の再生紙で、テーブルの上にはなぜかクレヨン(←息子用というわけではなく)。
「みんなねー、ここ来ると童心に返ってあれこれ描いて帰っていくのよー」
とYが笑う横で、怪しいピカチュウもどきなど描いている私。

そしてやってきた巨大ハンバーガー。パンは軽い食感のイングリッシュマフィンのようなもので、こんがりと火が通っている。「焼き加減は?」と聞かれ、「ミディアムで」とお願いしたハンバーグは断面の中心がほんのりと赤く、良い感じだ。上にはとろけたモッツァレラチーズがたっぷりとかかり、皿の上はフライドポテトとレタスやトマトや玉ねぎで溢れそうになっていた。ハインツのトマトケチャップをチーズの上からだばだばだ〜とかけた後、野菜を重ねてパンで閉じ、最後は軽くぎゅうと抑えてから囓る。ハンバーガーばかりが合計4つテーブルに並び、何やら肉の匂いでいっぱいになった。

ポストペットの某開発者さんがニューヨークにやってきて、Yと仕事絡みで出会った時にYが食事でも、と連れてきたのがこの店らしい。まさにこのハンバーガーを食べたのだそうで、話の盛り上がりで
「"モモニューヨークに来る!"……っていう写真集はどうだろう」
「そしてこの店でハンバーガーを食べる……と」
「ピンクのクマがハンバーガーを!」
なんていう話が出たとか出ないとか。"そーか、モモがこのハンバーガーを……"と思うと、何やら感慨深い。

小山のようなフライドポテトも囓りつつ、しっかりシャンパンもお代わりしてしまいつつ、午前も早くからせっせと食べている私たちだった。希望どおり"肉喰って腹一杯"な状態に仕上がり(しかも、ステーキ屋行くのと変わらなかったんじゃないかという満腹状態で)、店を後に。

East Village 「B-Bar & Grill」にて
B Bar Prix Fixe Brunch
$17.00

そして南部へ

最後の最後のお買い物は、日本食材屋さん。
「このあたりじゃここが一番充実してるわよー。……私もちょっと覗こうと思っていたんだけど一緒に行く?」
とYに連れられ「Sunrise Mart」なるところで最後のお買い物。

さすがに、テネシーの日本食材屋より充実している。
「チョコベビーがある!」
と籠に入れ、
「このドレッシング美味しそ〜」
とそれも入れ、
「あああ!カルピスが安い!」
とむんずと缶ジュースを2〜3個放り入れ、一体何を買いに来たのかよくわからなくなった(目当てはゆず酢1つだったはず……)。
ここで買った「KAMIKAZE DRESSING」なる手作りドレッシングは野菜のすりおろしがたっぷり入った、とても美味しいものだった。

East Village 「Sunrise Mart」にて
ピエトロドレッシング
KAMIKAZEドレッシング
秋田味噌
かぼす酢
ゆず酢
グリコマーブルチョコ
チョコベビー
CALPICO WATER(←カルピス)
$3.45
$2.25
$4.59
$4.49
$7.15
$1.65
$1.29
3×$0.99

Yと別れ、ますますニューヨークらしくない買い物袋をトランクに積み込んでいよいよニューヨークとお別れ。
「行きとは別のルートでマンハッタンを脱出したい」という気持ちがだんなも私も多少あったものの、「これ以上マンハッタンの中を車で走りたくない」という気持ちもあって、行きと同じルートで「Holland Tunnel」を越えてニューヨークを抜け出した。
とっととニュージャージー州を越え、ペンシルバニア州に入り、ひたすらひたすらI-81を南西に向かって進んでいく。道中、雪が積もっていたり雪が降ってきたりと、季節はいよいよ「冬」という感じだ。

ヴァージニアの夕焼け〜

この日の宿はバージニア州のStauntonという小さな町のモーテル「DAYS INN」。
南に下るにつれてレストランの店員さんの体型が丸っこくなっていき、ニューヨークではそれなりに聞き取れていたはずの英語が、南部訛が入ってきて聞き取れなくなっていく。周囲の人々の体型も、ダララララ〜と単語同士が繋がって聞こえる訛も、何だか懐かしいものに感じつつ、また900マイルの大移動を経て翌日の午後6時半に無事に我が家に戻ってきた。
ニューヨークに行ってからというもの、だんなの運転はちょっとばかり荒っぽくなり、ちょっとばかりクラクションを多く鳴らすようになった。私はというと、
「オイスターバー、良かったなあぁぁぁ。やっぱり冬は牡蠣よね。次はニューオリンズよね」
とか言っている次第。