3月4日(月) ベンチ入りしてみました

ホテル朝食

アトランタ最終日の朝。
朝食のために行きたい店のあては今ひとつなく、今日は帰宅の途につくので朝から遠出するのもめんどくさいところ。
「このへん……朝からやってるところって、ファーストフード店ばっかりだったよねぇ……」
「車に乗っていくのもめんどうだしねぇ、電車で往復するのも時間かかるし……」
と悩んだ挙げ句、結局ホテル内のレストランに行ってみることになった。

名前は「The View Restaurant」と名前だけは素敵なレストランは2階にあった。朝も夜も営業しているホテル内ただ1つのレストランということだったけれど、雰囲気は"喫茶店"というか"待合室"というか。店に入ったところのワゴンがブッフェ式の朝食コーナーになっていたけれど、ドリンクの他にはパンしかないような光景なのにその横には$7.00という札が立っている。
「ぼったくってるなぁ〜」
「モーテルの無料朝御飯と全然変わりないのにね」
とびっくりしつつも席につき、一応メニューを眺めてみる。フレンチトーストは4ドル程度、卵料理をつけても6ドルほどだ。それならいいか、と私はフレンチトーストにポーチドエッグ。息子は好物のコーンフレーク、だんなはオムレツ。注文を取りに来た黒人のおっちゃんは
「コーヒーならあそこのブッフェ台のところにあるから自由に飲んでくださいねー」
「牛乳もね、ブッフェ台にあるから。自由に持ってきて飲んでね」
と、なんだかアバウト。息子用のシリアルも、ブッフェ台から箱詰めされた1人分のシリアルを持ってきて「これでいいかい?」と目の前で封を切って皿にざらざらっとあけてきた。

シナモン臭ぷんぷんのフレンチトーストは、温かでそこそこに美味しかった。3枚分の食パンが三角形に切られて合計6枚皿に並んでおり、ボリュームたっぷりだ。更にその横に薄切りにされたフランスパンの上に置かれたポーチドエッグが2個。
だんなの頼んだ"Classic Omelet"も、これまた小山のようなものだった。野菜がたっぷり、チーズがたっぷり卵にくるまり、ホテルの料理というより田舎のおっかさんが作ってくれた料理という感じ。
山のような朝御飯を前にせっせとフォークとナイフを動かしていると、
「美味しいかーい?」
と先ほどのアバウトおっちゃんがやってきた。
「バナナも食べるかーい?」
と息子に問いかけ、小皿に盛ってきた輪切りバナナをだばだばだ〜と息子のシリアル皿に放り込んできた。息子へのサービスらしく、バナナ好きの息子はバナナだバナナだと大喜び。美味しかったし、楽しかった。

Downtown 「Haward Johnson Hotel」内「The View Restaurant」にて
私:
    French Toast
    2 Eggs (Your Way)
    Milk
だんな:
    Classic Omelet
    Coffee
息子:
    Cereal
 
$3.75
$1.95
$1.75
 
$8.75
$2.45
 
$2.75

大リーガーな気分〜「Turner Field」

おおー、野球場だー 野球グッズで作られた巨大なコカコーラボトル 快適だったホテル滞在を終えてチェックアウトし、最後に向かったところは Turner Field
Atlanta Bravesのホームグラウンドであり、アトランタオリンピック時のメインスタジアムを改築して作った野球場なのだそうだ。ベンチに入ることもできる球場内の見学ツアーがあるということで、だんなはここに来るのを内心すごく楽しみにしていたらしい。

「ツアーは数十分後に始まるからね〜」
と言われ、まずは展示物を眺めて待つ。歴代のスター選手が使っていたバットやユニフォームが展示され、フロアの中央には各地への移動に使っていたという電車の客車が1両置かれている。ソファが置かれた広々としたスペースに、選手1人1人が入れる個室などが再現されていた。

そして15人ほどでいよいよ場内見学ツアー。
「これから1時間以上歩きますよー。トイレにも行けませんからねー」
と警告された後、まずは一般客も普通に入れるエリアから。現在はシーズンオフで芝の整備を始めるところだということで、グラウンドはそっけないほど茶色一色だった。1階席を見た後、エスカレーターに乗って最上階へ。

一番上には、コカコーラ缶と野球グッズで作られた巨大なコカコーラボトルがそびえている。野球ボール6680個、キャップ2000個、バット290本、グローブ86個、キャッチャーマスク71個、ベース64個、靴60足、ヘルメット48個、ユニフォーム24着などで構成された面白いオブジェだ。ブレーブスの選手がホームランを打つと、ここから花火が打ち上がるのだそうで、ジューススタンドも兼ねているこのボトル内部には上まで花火をセットするためのハシゴが伸びていた。
「ある試合で1イニングに3つもホームランが出たことがありまして……あのときの花火担当は大変だったそうです」
と、ガイドさんがハシゴ入口まで見せてくれる。

階を移り、"Luxury Suite"なる特別席へ。
2階のほどよく見えるところに設えられた特別席は、広い個室つき。ガラス張りの部屋の中にはリビングセットがあり、キッチン設備まで整っている。ガラスを開けると、8人分ほどの観戦席が。年間契約で500ドルほどだそうで、日本の球場のそれよりも随分安価な特別席なのらしい。
更にマスコミが入るためのブースやアナウンサーが座る席などを見学しつつ、いよいよ一般客は乗れないエレベーターに乗って下に降りていく。

もっとむさい空間を想像していたのだけど みんな揃ってベンチ入り〜

球場のロッカールームを見るというのは、初めてのことだ。高校の部室なようなものを密かに想像していたのだけど、そこは広く清潔な空間だった。スポーツ関係のロッカールームというより、演劇か何かの楽屋のようだ。中までは入れなかったけれど、ゲストチームが使用するロッカールームを入口から眺めた。

そして重い扉を開け、グラウンドへ。土を踏む位置から見渡す客席は、かなりの迫力だった。ここ全てに人が座って自分が眺められていると想像すると、緊張で動けなくなってしまいそうだ。ブレーブス側のベンチに向かい、参加者それぞれ腰をおろしたりグラウンドを眺めたり。ツアー参加者の中には"おりゃ、昔っからこのチームのファンでよぅ"という感じのおっちゃんなどもいて、始終連れの人にチームの蘊蓄を語りまくっていたりした。もうおっちゃん、話が止まらない。大興奮だ。気がつくと我が夫まで大興奮しているようで、アトランタ旅行最高の目の輝きを放っていた。

Turner Field」にて
Turner Field Tour (Adult)
Turner Field Tour (Child)
$8.00
$4.00

そして最後は日本もの〜「うめぞの」

そろそろアトランタを発たなければならない。
最後の最後に向かったところは、日本料理屋さん及び日本食材屋さん。アトランタは我が町より圧倒的に大きな町で、従って日本人も多く住んでいるらしい。日本食材屋の充実ぶりは我が町とは比べ物にならないくらい良いらしいということで、買い出しして帰ることにした。

向かったのは、ダウンタウンよりちょっと離れたところにある「とまとストアー」。隣接して「うめぞの」という日本食屋さんもあるらしい。"うめぞのは美味しい、殊にちらし寿司が豪華ですごい""とまとストアーの充実ぶりもまた素晴らしい。新刊、古本含めて本の品揃えも嬉しい"などという評判は遠くテネシーにも聞こえてきていた。

昼御飯は、その「うめぞの」で。噂のちらし寿司は、ウニやイクラが乗っていてすごくゴージャスなのだそうだ。メニューに値段が書かれていないことに脅えつつ、噂のちらし寿司を注文。だんなは数種類のおかずから2品選ぶ形式の定食にしていた。息子には、数日前には食べられなかった卵の握り寿司を。

量が少ない……と思っちゃう私はアメリカ人なのか やってきたちらし寿司は、確かにゴージャス……と言えるような、言えないような。マグロと鮭とイカと海老と帆立と、そして上にはイクラがこんもりと盛られている。ウニは残念ながら乗っていなかったのだけど(本当に残念……←ウニ好きな私)、ネタの種類はなかなか豊富で、味も良い。しかしそれらは全て1切れずつであり、御飯もなんだかとっても少なめ。日本で食べれば決して少なくない量なのかもしれないけれど、アメリカで生活してきて、あまりに迫力のある量の寿司飯やネタの盛りを目の当たりにしてきてみると、この量は非常にささやかなものに感じられてしまう。正直言って、物足りない。美味しいんだけど、酢飯の味も魚の鮮度も味も、アメリカの内陸部で食べるものとしては申し分ないんだけど、物足りない。

あちらこちらから絶賛されている店のようだったけれど、味噌汁がほのかに洗剤臭かったり(食器からちゃんと洗剤が洗い落とされていなかったような、そんな感じかと)、だんなが頼んだ定食のおかずがテーブルに揃いきったにも関わらず、こちらから「まだ来ないんだけどー」と伝えるまでは御飯と味噌汁がやってこなかったり、微妙にもにょもにょとした違和感を覚えるお店だった。味はほんとに悪くはないんだけど(でも我が町の日本料理屋より圧倒的に美味しいと断言するほどには……)、でもきっとアトランタにまた来ることがあってもこのお店には来ないだろうな、という感じ。

Smyrna 「うめぞの」にて
私:
    ちらし寿司
    (サラダ・味噌汁つき)
だんな:
    ランチ定食
    (揚げ出し豆腐・刺身・サラダ・御飯・味噌汁)
息子:
    握り寿司(玉子)
    味噌汁
 
$11.00
 
 
$6.85
 
 
2×$2.20
$1.00

そして昼食後は隣接するとまとストアーで山のようにお買い物。山のようなレンタルビデオと、最近の雑誌類、そして古本の充実っぷりが凄かった。食品類の品揃えも確かに素晴らしく、刺身で食べられるようなパック詰めの魚介類の存在に、アトランタに住む人が羨ましくなってしまった。我が町では見かけることのない食材に目を輝かせてしまいながら、
「無洗米があるよ〜!田牧米ゴールドも!」
「"たけのこの里"があるじゃん!」
「じゃあ俺は"きのこの山"だ!」
「カルピスソーダが安売り中〜♪」
と、一体アトランタに何をしに来たのかわからなくなるほどに(食料買い出しに来たんかい、という勢いで)、最後に盛大なる買い物をしてしまったのだった。アメリカに来て、初めて"しめじ"を見たのはこの店でだった。春菊もあるし、三つ葉もあるし、本当、素晴らしいことだ。

そうして、250マイルほどの道のりをせっせと西北にむかって車を走らせ、帰路につく私たちだった。
とりあえず、家に帰ったら「風と共に去りぬ」の安売りDVDを探して買って見ようと思う。