3月22日(土) 牡蠣と蟹のチャールストン

小さなカフェ〜「The Cornbread Cafe」

チャールストン、2日目の朝。
昨日の到着はすっかり日が暮れてからのものだったので、まじまじと町並を眺めることができたのは今朝になってからのことだった。滞在ホテルの宿泊プランには朝食が含まれていなかったので、朝9時半頃に皆でぞろぞろと朝食を摂りにダウンタウンへ。こういうこともあるかと思って、私が一応事前に調べておいてみた"朝食が美味しい"という噂のあるレストランを目指してみようということになった。

ボリュームたっぷりフレンチトースト 今日も雲ひとつない良い天気。朝から温かい……というより蒸し暑い。てくてく歩いてメモした住所のお店に向かってみたけれど、悲しいことにメモした住所にメモした名前のお店がみつからない。その住所にあるのは、昔から建っているような洒落たホテルで、そのホテルの人に聞いてみても「そんな名前のレストランは知らないねぇ」とつれない返事。
メモした私が間違っていたのか、参考にしたホームページが間違っていたのかは知らないけれど、朝食のアテがなくなった私たち。一体何が間違っちゃったんだろう、ごめんなさいすみません、と、皆でぽてぽてと適当に店を探し歩いて入ることにした。

結局、一番人通りが多い町の中心部である"City Market"の道路向こうの小さな専門店街の片隅に飲食店を見つけ、朝食メニューがあるらしいのでそこに入ってみた。客席数20ほどの質素なカフェで、5人ほどが朝食を摂っている。卵料理やトーストなどがメニューに並ぶ中、私はフレンチトーストと牛乳を。

四角い食パンが三角形に等分されたものを5枚並べて盛りつけたフレンチトーストは、ボリュームたっぷり。シナモンの香りがほんのり漂い、上から粉砂糖がふりかけられている。染みこんだ卵液自体から軽い甘さが漂う食べやすいフレンチトーストだった。皆それぞれスパニッシュオムレツやチーズオムレツをつつきまわし、なんとか空腹が収まったところでぷらぷらと観光に出かける。

South Carolina州Charleston 「The Cornbread Cafe」にて
French Toast
Ice Cold Milk
$2.75
$1.00

ヨーロピアンな町並み

ちょっとニューオーリンズに似た町並 今日の昼は特に全員で行動する予定はなく、Iさんだけが
「ナショナルモニュメントの、サムター要塞ってのに行ってみたいと思ってるんだぁ」
と明確なビジョンを持つ以外は、誰もが「どうしようかなぁ……」という感じ。なし崩し的に、皆一緒にその要塞に行くことになった。話によると、その要塞は海に浮かぶ小さな島なのだとか。一日に何本か出ているツアーに参加するしかそこに行く手段はなく、船の次の出発は12時であるらしい。最近になって船が出発する港が変更になったらしく、あそこじゃない、ここじゃない、としばらく町の中をドライブする羽目になった。

この、ちょっとばかり右往左往したドライブのおかげで、チャールストンの町並みをだいぶ見ることができて嬉しかった私。チャールストンも"アメリカ南部"と称されるエリアで、海沿いということもあってかニューオーリンズと似た空気を感じる。民家の2階、3階に大きくとったバルコニーがあるあたり、ニューオーリンズの建築様式と似ているところがあるけれど、ニューオーリンズの建物のベランダは通りに大きくせり出てアーケード状になっていたりと違いも多い。広いベランダには屋根がついて、そこにハンモックが揺れていたりする。夏にはさぞ暑いんだろうなと想像できる家の造りだった。
あのドアの存在が謎なのよねぇ……

町の至るところには椰子の木がにょきにょきと立ち、なんともトロピカルな光景だ。ちなみにサウスキャロライナの州旗の図柄は、三日月と椰子の木のシルエットが紺の地に白く描かれたもの。妙に色気のあるリゾート気分満載の旗だ。

また、ちょっと面白いなと思ってまじまじと観察してしまったのが、左の写真のような建物。
通り沿いにドアがついているのだけど、ドアを開けたところの廊下、外に面するところに壁がないのである。横の植え込みを乗り越えて簡単に進入できてしまいそうな廊下に面してドアがいくつか並び、そしてその吹きさらしの空間に階段が上階に続いている。1階の廊下の真上もまた廊下になっていて、ドアが廊下に面していくつかついている。入口の最初のドアさえなければ何の変哲もないマンションの光景のような感じなのだけれど、こういう造りの建物が、町のあちらこちらで沢山見かけられた。ほとんどは建物の脇に障害物や他の家屋がない状態で、本当にいくらでも横から廊下に入れそうなのだ。
「あのドアの存在意義って、何……?」
と頭を抱えているうち、車は港に到着した。
歴史的建築物を見るのも楽しいけれど、各州の民家の造りというのもあれこれ色々とあってすごく楽しい。

青空に星条旗〜「Fort Sumter」

迷ってしまったおかげで、たっぷり余裕があったはずの出港までの時間がかなり少なくなってしまった。
我が家の車が先に駐車場に入ったので、
「早く!だんなとIさん2人で行ってチケット先に買っておいて!残りの人、私ここで待って連れて行くから」
「よっしゃぁ!」
と、瞬時に役割分担して急いで港に向かう。出港まであと10分。これを逃したらまた何時間も待たなければいけない。残りの人がやってきたところで、急ぎ足でばたばたと港に辿り着いた。

2層になっている船室は、すでにいっぱい。吹き抜けの上階も席はほぼ満席で、舳先の手すりのところにも手すり際はほとんど人が立っているところ、その後ろの壁に寄りかかるようにして要塞に到着するまでを過ごすことに。かなりの観光客で賑わいまくっている状態で、アメリカは今まさに戦争おっぱじめたところだというのに南北戦争時代の遺跡をのうのうと見ているなんておめでたいことだな、と思ってしまう(自分たちも含めてね)。

いかにも戦いの「要所」という感じの島

港から島までは船で30分ほど。島は15分ほどもあれば徒歩で一周できてしまいそうなほどの小さなもので、人工島なのだそうだ。要塞の名はFort Sumter
当時を再現したイラストを見ると、当時は三層の高い煉瓦の壁が作られ、兵士の宿泊設備や武器がこれでもかと備えられていたらしい。今ではその煉瓦の壁も下一層分がうっすら残る程度になり、島の中央には米西戦争時(1898年)に建造された"Battery Huger"という黒々とした長方形の基地が横たわっている。米西戦争後も、第一次世界大戦、第二次世界大戦とそのBattery Hugerは使われていたらしい。

船からは、要塞の中央付近で巨大な星条旗がはためいているのがよく見える。他にも5種類ほどの旗が周囲に小さく見えるけれど、はためく中央の星条旗はなんとも巨大。
この島が浮かぶCharleston Harborは、いくつかの突き出た岬に囲まれた湾の入口、中央にある。片側は浅瀬が続いて船は通行できない地形になっており、通行できる一方に対して対岸とこの要塞からと罠を仕掛けたりしていたのだそうだ。南北戦争の始まりが、この要塞での戦いだった。北軍が保持していたこの要塞を南軍が攻め落とし、南北戦争が始まった……と、パンフレットに書いてある。
下ではレンジャーがこの要塞の説明を

砦に着くと、1時間の自由行動。パークレンジャーが広場の中央でこの要塞についての説明を始めた。Iさんはその場に残り熱心に話を聞き始めたが、私たちは"聞いてもきっと半分も内容がわかんないよ……"とぷらぷら周囲を歩き始める。当時のものらしい煉瓦の壁がそこここに残り、その前には大砲が置かれていたりする。奥半分は広場になっており、旗はそこに立っているようだ。20分くらい見学した後は、旗の立つ芝生の広場で皆ごろごろし始めた。
はためく旗

今日は本当に雲ひとつない良い天気。じりじりと顔が焼け、だんだんひりひりしてきた。そういえば日焼け止めなんて全然塗ってないぞ……と不安になりつつ、海を見てのんびり過ごす。
ここに立つ旗、中央は現在のアメリカ国旗だ。小さな旗は、右の写真の順番で言うと、左から
"United States Flag"(1861年当時、星33個のもの)、
"First National Flag of the Confederacy"(1861年当時の南部同盟の旗)、
"South Carolina State Flag"(サウスキャロライナ州旗、ただし写真では巨大旗の影になっちゃってる)、
"Second National Flag of the Confederacy"(1863年当時の南部同盟の旗)、
"United States Flag"(1865年当時、星35個のもの)
となっている。

えっと、星が33個で、35個で……とぼんやり考えて、
「あれ?で、今、星って何個なんだっけ?」
とだんなに聞いたら
「50個だよ!……大丈夫か?大丈夫か〜?おゆきさーん?」
と真剣に心配された。いや、わかってるよ、大丈夫だよ(多分)。ほら、今日は気温高いし、青空だし、春だし。

で、色々南北戦争に思いを馳せたところで再び船に乗り、チャールストンの港に戻る。今度はちょっと早めに乗船して1人1個の席を確保し、のんびりと船に揺られた。餌付けする観光客がいるのか、船の後ろからはカモメが何羽も追いかけてくる。そして、港に近づいた時、船の脇の水面が不自然に盛り上がった。ぬめっと光る黒い塊が一瞬見えて、沈んでいく。再びそれが見えた時には、背びれがはっきりと見えた。
「イルカ!」
「イルカだよ、イルカ!」
と、そちらを指さして、皆、ざわつきだす。ちょっと遠くの水面がざわりと動いた直後、今度は水族館のショーで見るように、イルカがぴょんと水面から跳ねた(いや、水族館のそれよりはちょっと控えめなジャンプではあったけど、でも体のラインがくっきり見えた)。野生のイルカを見たなんて、多分初めてのことだ。何だかとても嬉しかった。

South Carolina州Charleston 「Fort Sumter」にて
Concession Fee for Boat Ride
$12.00/Adult

City Marketをぷらぷらと

ツアーが終わって町の中心部に戻ってくると、午後3時。遅めの朝食の後から何も食べていなかったので、ハーゲンダッツでアイスを舐め舐めちょっと休憩。ちょっと早めの夕御飯にしようということで、5時半になったら昨夜大混雑して入れなかったシーフード屋さんに再度行ってみようと、とりあえず一旦解散した。

シティ・マーケット入口

シーフード屋が並ぶ通りのそばには"City Market"という、マーケットがある。昨夜はもう時間も遅く、倉庫のような建物群の中にはただテーブルが並んでいるだけだった。
「マーケットって言うくらいだから、魚介や野菜の市場でも出るとか?」
と思っていたのだけど、今日になってわかったその実体は、"巨大なおみやげ物屋さん群"。フリーマーケットのように、1テーブル1店舗という感じに色々なお店が出ている。チャールストンのロゴ入りTシャツ、料理に使うスパイス類、アクセサリー、町の風景を題材にした絵画類、陶器、アジアな匂いの雑貨類などなど。観光客でごった返した倉庫風の建物が、一方通行の2つの通りに挟まった形で4つ5つと長く並んでいる。倉庫の端の方に行くと、壁で区切られた常設店ばかりになり、クリスマスのオーナメント専門店やベーカリー、調味料屋などもある。

ちょっと気になる小道が 店の中で多く見かけるのは、"シーグラスバスケット"という、い草に似た草を束ねて編んだ素朴な籠類を扱うお店。奥に座っているお店の人自らがせっせと手を動かして更なる作品を作りまくっている。直径5cmほどの小さな手つき籠からバケツサイズのものまで種類豊富だけれど、値段はかなり高めだった。一番小さなものでも軽く10ドルはするようだし、大きなものには150ドルなどという値がついている。直径20cmほどの手頃なサイズの蓋つきバスケットも35ドル前後。いいなぁ、欲しいなぁ……と思って手に取るのだけど、その値段にちょっとびっくりしてそっと元に戻す、ということを続けている私だった。値引き交渉も出来るだろうけど、35ドルの半額でもまだちょっと高いんじゃないかという気がする。15ドルくらいだったら考えるんだけど、それはきっとムリだろう。ここは東南アジアじゃないんだし。

結局購買意欲はしゅるしゅると萎えてしまい、ただのんびりと商品を見て歩くだけに留まった。よく見ると、その店その店でバスケットの出来具合がだいぶ異なる。ぴよぴよと"草"がはみ出てしまっているいまひとつな品もあるし、芸術品と言っても良いような見事な模様が作られているものもある。
「あの人、上手い」
「この人は、いまいち」
と言いながらマーケットを端まで歩いたら、すっかり疲れてしまった。

すると、通りの向こうにHさん一家とMさんが。私たち同様、暑さと疲労でそろそろ動けなくなりつつあるらしい。まだ時間は早いけれどもう歩きたくないわねと合流して、ジュース飲んで休んだり、シーフード屋の近くをだらだらと散歩したりしてひたすら夕食の時間を待つ私たち。
テネシーの見慣れた町並みと見比べて、チャールストンは何だかとても異国情緒に溢れている。煉瓦作りの壁と壁に挟まれた石畳の道に夕陽が差し込んでいた小道があって、
「いーいですねぇ〜」
「なんか、すごく雰囲気良いですよね♪」
と私とHさんがきゃあきゃあと写真撮影してみたり。だんなが背後から
「でも、逆光だから綺麗に撮れないんじゃないかなぁ……」
とアドバイスしてくれたけど、そんなの聞いちゃいない妻たちである。後に聞いたところによると、Hさんがだんなに向かって
「いいんです……好きにやらせてやってください」
どうせ聞きゃしないんだから、と苦笑いしながら言ってきたのだそうだ。確かに、撮った写真は逆光で真っ黒けだった(でもPhotoshopでしこしこと補正したし)。

山盛りの牡蠣、山盛りの蟹〜「A. W. Shuck's」

そして5時半。昨日大行列で入れなかった店は、半端な時間ということで8人座れる大きな円卓につくことができた。それでも席はかなり埋まっている。そこら中に生牡蠣やら蟹やら魚やらを食べる人が見える。
店の名前はA. W. Shuck's。この町のシーフード料理店の情報をインターネットで検索していて、かなり評判が良さそうだと判断したのがこの店だった。嬉しいことに、生牡蠣は1/2ダース、1ダースの他に2ダースの価格もある。2ダースまとめて注文すればちょっとばかりお得らしい。

山盛りの牡蠣 山盛りの蟹 「というわけで、1人1ダース、つまり2ダースのプレートを3つというところで異議はございませんか?」
とだんなが音頭をとり、ほどなく巨大な楕円皿がテーブルに3皿やってきた。上には積み重なるように盛られた大量の生牡蠣生牡蠣生牡蠣。別の小さな楕円皿にはクラッカーとケチャップ、ホースラディッシュが乗せられている。迫力の映像だった。色々なところで生牡蠣を食べたけど、積み重なっているというのは初めてだ。殻の汚れとかがついてしまいそうだから、本当には喜んで良い状況じゃないのだろうけれど、"生牡蠣が山になっている"というのはなかなか目に出来る光景でもなく、しばらく皆でうっとりと眺めてしまったり、写真を撮ってしまったり。

大きさがてんでまちまちな牡蠣は、やたらとでっかいのあり、殻の長さ5cm程度しかないものあり、と色々だ。中には2個の殻がくっついてしまっているものもある。それぞれ隣あった人同士が
「じゃ、私の分はここの、この山までということで」
「あれ?俺、何個食べたんだっけ?」
とわいわいやりながら自分の取り分を認識していく。合計72個分の牡蠣の殻もまたすごかった。置くところがないので中央に空の皿を1枚置き、その上に殻を積み上げ始めたのだけど、途中から"崩したら負け"というゲームのようになっていく。
「崩した人が払う、ということで」
なんて冗談を言いながら、テーブルの中央に累々と牡蠣殻タワーができあがっていく。ついに崩れることがないまま、タワーは完成を見ないうちに店員さんに持っていかれてしまった。残念。

甘くプルンとした牡蠣は、新鮮でジューシー。もうすっかりホースラディッシュとトマトソースの薬味なしでは生牡蠣が食べられないようになってしまった私たちは、こてこてと赤いソースをなすりつけながら牡蠣を啜る。飲み物は、男性陣はサウスキャロライナの地ビール、私は"Shuck's Sunset"というここのオリジナルらしいカクテル。テキーラ・サンライズの甘さを少なくしたような、オレンジ色が綺麗なカクテルだ。見かけは甘そうで軽い印象だけれど、飲むとかなりのアルコールの強さだった。くどい甘さがなくさっぱりしているので、牡蠣にもそこそこ似合う。

更にテーブルにやってきたのはオイスター・ロックフェラー。こちらは1人3個ということで1ダース半注文している。牡蠣の殻の輪郭もわからないほどたっぷりとほうれん草のクリームソースがかぶさっていて、アツアツの牡蠣がレタスの上にごろりと置かれている。火の通りすぎていない牡蠣からは磯の香りのジュースが染み出てきていて、それがほうれん草やチーズクリームとよく似合う。正統派な、安心して食べられる味のロックフェラーだった。

そして、私のメインディッシュは蟹。とにかく魚介を食べるんだもんね、調理してあるものよりは生、せめて蒸すか焼くかしただけの、魚介の味がしっかり感じられるものを食べるんだもんね、と、メニューのメインディッシュコーナーからではなく"Raw Bar"と書かれた部分からメインディッシュを選択した。
Ivan's "Crab Pot"と書かれていたその料理は、
Snow crab legs served with smoked sausage, new potatoes, and corn on the cob
というものであるらしい。
「えーと、スノークラブの足と……ソーセージと新じゃがとコーンがついてくるのね。……で、蟹って、生?いや、まさか、ねぇ……」
とごにょごにょ思いつつも、あまり手の込んだ料理ではなさそうな印象があったので、これを。

やってきたのは、見事な蒸し蟹盛り合わせだった。甲羅部分はなく、足のみが蟹2.5はい分、合計20本の足がうず高く皿に盛り上げられている。ソースは溶かしバターが小さな容器に入ってやってきて、うず高い蟹のボリュームに負けないほどの添え物が横に盛りつけられていた。じゃがいもは半割になって、それが8個ほど、コーンは1本、ソーセージは直径3cmほどのぶっといやつがにょろりと20cmほどの塊で。
「すっごいのが来ちゃった……」
と笑ってしまいながら、牡蠣のあとはひたすら蟹、蟹、蟹。私以外の皆さんは魚介のグリルプラッターとか海老の詰めもの焼きとか、比較的食べやすそうなものばかり。私一人が蟹と大格闘する羽目になってしまった。徐々に無言になる私。世界が私と蟹を中心に閉じていってしまいそうだ。一人沈黙の世界でもくもくと蟹を食べていると、
「あ、おゆきさん、僕にも蟹、ちょーだいね」
と、横からだんなが蟹の足を1本もぎ取っていった。これ、お返し、と海老が2匹ほど私の皿にやってくる。その海老に反応することすらままならず、私はひたすら蟹の足を齧っていたりするのだった。いやー、美味しいよ。ムチムチだよ。足、ふっといよー(←海老の存在を早くも忘れかけている)。

牡蠣喰って牡蠣喰って蟹喰って蟹喰って、最高の夕御飯だった。さすがにじゃがいもの山と、ちょっと味気なかったとうもろこしは食べきれなかった。更に言うと、蟹も食べきれなくてちょっとだけ周囲の人に手伝ってもらっちゃったりもした(さすがに足20本は多すぎました……)。

メインディッシュを食べ始める前は、
「皿の分量をみて、もしも食べられそうだったらもっと生牡蠣を注文しようか♪」
なんて言ってたのに、もう全然ムリ。私もムリだし、やっぱり他の人の皿もボリュームたっぷりだったらしく全員が"口から魚介溢れそうです"状態になっていた。今日もにこやかに
「デザートはどうします?」
とおきまりのセリフを言ってくる店員さんに
「も、だめ、ムリ……おなかいっぱい。ごめん」
としか言えない私たち。生牡蠣だったらあと2〜3個、喰えそうな気がしないでもないんだけど。

South Carolina州Charleston 「A. W. Shuck's」にて
Oysters on the Half Shell
Ivan's "Crab Pot"
Cocktail (Shuck's Sunset)
Cocktail (Frozen Pina Colada)
$14.99/2doz
$15.99
$6.00
$6.50

店を出ると、まだ7時半。日は暮れていたけれど、まだうっすらと明るかった。
二次会に行くという腹具合でもないし、かといってホテルに帰って寝るだけというのもね……と、結局ホテルで宴会。買い出し隊がビールとアルコール入りレモネードを買ってきて、レンジでチンして食べるポップコーンを我が家が供出。ホテルのロビーをバターの匂いで充満させながらチンして、部屋でつまみながらしばらくだらだらおしゃべりなどしていた。
明日は長距離ドライブだー。

花盛りな帰路

翌日、23日日曜日。今日は一日かけてひたすら我が家を目指して帰宅の途。
我が町ナッシュビルまでは550マイルほど。行きはアトランタを経由してきたけれど、帰りはグレートスモーキーマウンテン方面からKnoxville(ノックスビル)を通る別ルートで行こうということになっている。距離はその方が短いけれど、その代わりノックスビル近辺はしょっちゅう渋滞しているちょっとした難所だ。
なるべく早くチャールストンを出ようということで、朝食もそこそこに出発することになった。

こういう時、無料朝食のついていないモーテルだとちょっと不便。いつもは「どうせ美味しくないパンとシリアルしかないんでしょう〜?」としか思わないのだけど、それだけでもあると有り難いもんなんだなぁと思い直しつつ、数日前に買っておいたシリアルと牛乳で我が家は簡単に朝食を済ませた。

レストエリアも花盛り そして午前8時過ぎに出発。サウスキャロライナからノースキャロライナに向かうと、すぐにグレートスモーキーマウンテンだ。カーブだらけの山道をぶいぶい進み、幸い渋滞にもひっかからず順調に家路を急ぐ。
サウスキャロライナもノースキャロライナも、桜はあまり見かけられなかった。やはり、ジョージア州の桜含有率が圧倒的に多い感じ。が、桜は少ないものの、帰路はあちこち花盛りだった。テネシーでもそうだけれど、街路樹として桜よりもメジャーに見かけられるのは右の写真にあるような白い花の木だ。桜が開花する1週間ほど前に、いっきにパッと満開になった白い花は、近くに寄って見るとその形や大きさが桜そっくり。ただ、色は真っ白。離れてみると"白い桜"と言っても良いような光景で、それはそれで青空に映えてとても美しい。桜のようにはらはらと一気に散ってしまわず、そのままだらだらと葉桜のように変化していくようだ。帰宅してから調べてみると、梨の仲間の"Bradford Pear"という木であったらしい。この木は本当にあちらこちらでよく見かけられる。

また、大きな白い花をつけたハナミズキ(英語名では"Dogwood")やモクレン、ミモザなどもよく見かけられた。そこら中、ちらちらと黄色や白や赤の花が目に入り、この季節の旅行はそれだけでも心浮き立ってしまう。

花を眺めつつ3台の車は着実にテネシーに近づいていく。途中数度の給油や食事の休憩を挟み、家についたのは午後4時半頃だった。
ゆっくり家で写真の整理をしてみると、呆れるほど大量の写真を撮影していたことが発覚。楽しい旅行だったんだねぇ、と笑いながら配布用のアルバムなんか作ってみている。