5月13日(火) ビールとそして山盛りパスタ

テロのバカ……〜「United States Mint」

キッチンつき安モーテルの快適な滞在2日目。
今日こそのんびり寝ていようと思っていたのに、何をどうしてしまったのか6時過ぎに目が覚めてしまった。仕方なく一人でネットサーフィンしてみたりメールの整理をしてみたりしていたのだけど、やっぱりもう一寝入りするか……と思った途端にだんなと息子が同時に起きてきた。

朝食つきだということなので、どんな内容だろうねと心もち楽しみにして階下に行ってみたところ、普通のモーテルと何ら変わりない朝食セットが置かれていた。レセプションの奥、テーブルや椅子が並ぶフロアには温菜も置けるようになっている豪華なブッフェ台が見えたので少しばかり楽しみだったのだけど、
「……ああ〜」
「やっぱりね」
がっくり、と肩を落とす私たち。

ミニドーナツにデニッシュ類、食パンとベーグルとイングリッシュマフィン。パンの種類だけは豊富だけど、あとはシリアル、牛乳、ジュース類、コーヒー紅茶。それでも中級モーテルほどの品揃えはあった。今ひとつ食べたいものはなかったけれど、イングリッシュマフィンをトーストしてバターをたっぷり塗って齧る。

州議事堂から造幣局を眺める。しくしく……

今日は1日デンバー観光。
朝食後、早々に向かったのは全米中、この町とフィラデルフィアの2箇所だけにある貨幣専門の造幣局United States Mint。ワシントンD.C.には貨幣印刷専門の造幣局もあり、だんなはD.C.でそこへ行くのを楽しみにしていたのだけど、滞在が週末の土日だったということで見学ツアーは休みだったのだった。今度こそ!とこの町で造幣局に行ってみれば、現在見学ツアーは受け付けていないとのこと。

ガイドブックやパンフレットには「どなたでも無料で見学できますよー。ここの入口から20分ごとにツアーはスタートします」なんて書いてあったのに、いざ行ってみれば学生のグループや軍人、退役軍人は2週間以上前に予約を入れてね、とか、それ以外の見学は議員の紹介をもらってきてね、などという「なんじゃそりゃぁ!」な事が入口に書かれていた。全てはあのテロのせいらしい。

遠く州議事堂方面から重厚なその石造りの建物を見て、
「まさか、やっていないとはねぇ……」
「ホームページにも、そんな事が書いてあったから覚悟はしていたんだけどね」
と、実はとてもがっかりしているらしい事を隠しきれない我が夫。うーん、残念。

金色のドーム〜「Colorado's Capitol」

ショリショリとあのドームを削ってみたい しょうがないねと造幣局を後にして、すぐそばにあるColorado's Capitol(コロラド州議事堂)に行ってみた。
重厚な、どでかい建物。中央頂上にあるドームは鈍く金色に光っている。この州内で採掘された金を鉱山業者に寄贈され、それでドームを覆ったのだとか。左右に大きく広がる建物は、アメリカの国会議事堂をベースにデザインされたものなのだそうだ。はー、それにしても、でっかい。

中に入れそうなので、ちょこっと覗いてみた。何十分かおきに見学ツアーもあるらしいけれど、それには参加しないで1階をちらりと見てまわる。ドームの真下はすこーんと吹き抜けになっていて、螺旋に延びる階段や照明がいちいち古めかしい。何だか教会のような雰囲気だ。素晴らしい空間だけど、働くにはいろいろ不自由な気がするなぁ……なんて事を考えながら、ぐるりと一周。

「そういえばさ、ここ見ている私たちって、自分たちの州の州議事堂もまだ見てなかったね」
「そういや自分の町の観光ってほとんどしてなかったなぁ……」
なんてことを話し、旅行が終わったら我が町の観光もするかね、と外に出た。

色のないビールを飲む〜「Coors Tour」

造幣局が見学できたら午後に行こうと話していた、ビール工場見学にも続いて行ってしまうことに。
ここデンバーはCoors の本社があるらしい。町の郊外にある工場では、無料見学ツアーも開かれているそうだ。ダウンタウン南西にあるその工場に車を走らせる。

10時25分に到着すると、駐車場の受付にいたおばちゃんが寄ってきて
「ちょうどいいわぁ!あと5分で次のツアーよ」。
とのこと。シャトルバスを運転する係のようで、ちょうどシャトルバスを動かそうとしているところだったらしい。
慌てて車を止め、すぐにバス乗り場にやってきたシャトルバスに乗りこみ、工場に向かった。息子の顔を覚えていたらしい運転手のおばちゃんが
「私のお友達もちゃんと乗ってきたわねぇ?」
と息子と私たちを見てにこにこしている。シャトルバスは工場周辺の小さな町も一回りし、すぐ隣にある工場へと進む。運転手のおばちゃんのアナウンスで、しっかりその町の観光案内もできてしまった。

「はい、貴方たちは"Blue Moon"のツアーよ」
と、一緒のバスに乗った15人ほどの人々に"Blue Moon"という名のビールのラベル紙が配られた。
受付ホールで身分証を見せて年齢の確認の必要があり、パスした人には手の甲にCoorsのロゴスタンプが押される。女性用の小さなバッグは良いけれどリュックサックやカメラケースは持ち込んではいけないという細々した制約もあったりした。数分後に
「はーい、ブルームーンツアーの皆さん、出発でーす」
と声がかかり、ぞろぞろとエレベータに乗り移動する。
ぞろぞろ並ぶ巨大タンク

「工場内では、どこでもご自由に撮影してくださいねー。一番重要なところはお見せしてませんから」
と、ガイドのおっちゃんがニヤリと笑ってウィンクしている。巨大なタンクが並ぶ3階吹き抜けほどの広い広いフロアには、ホップの匂いが充満していた。
ビール醸造過程の説明があったり、箱詰め工程があったりと、特にこれと言って目新しい展示内容ではなかったけれど、工場内に常に漂いまくっているホップとイーストの匂いに何やら良い気分になってくる。見学の半分ほどを終えたところでCoors OriginalとCoors Lightの試飲コーナーがあり、更に一番最後にグラス3杯まで飲める無料試飲コーナーがあった。

ツアー中に説明のあった、"ビールとほぼ同じ工程で作っているけれどホップは使わず、色を出さない特殊なフィルターを通している"という飲み物、Zimaを試しに飲んでみる。普通のZimaの他、シトラス風味をつけたZima Citrusもあるそうで、私は後者を。そういえばスーパーなどでこのロゴを見たことがあったかもしれない。ハードレモネードのようでちょっと違う、透明なのに微かにビールに似たもやんとした苦みが漂う、微妙な味の飲み物だった。慣れれば美味しいのかもしれないけれど、「な、なんかビールみたいな味もする」と思い始めると妙な違和感が漂う。他から聞いた話では、学生達には「こんな、女の子が飲むようなアルコール」といった感じに男子が飲むにはバカにされるものらしい。

2杯目には、私たちのグループ名だったしということで、ホワイトエールの"Blue Moon"。色は薄いのに、味は濃い。胡椒のようなカレー粉のような、妙にスパイス臭が感じられるビールだなぁと思っていたところ、風味づけにコリアンダーとオレンジピールが入っているということだ。後口は割合とまろやかなのに、口に入る直前にピリピリとした刺激がある。琥珀色を薄めたような淡い見た目を裏切るような濃い風味は、けっこう好みなものだった。
そんなこんなで、昼食前の空腹時にアルコールをけっこう飲んでしまい、ふにゃふにゃになってダウンタウンへ帰還した。

スープとパスタで重めの食事〜「Maggiano's」

長い旅行中、なかなか食べられなかったものの1つが「美味しいパスタ」。スパゲッティはアメリカ料理を出しているどのお店に行っても多少は置かれているものだけど、ソースはトマトの酸味が強めで肉少なめのミートソースか、生クリームとチーズの風味がごってりのアルフレッドソースかであることがほとんどだ。そして多くの場合、麺はぐでんぐでんに茹でられていてシコシコ感は楽しめない。インスタントスパゲッティにありがちな感じのぐにゃぐにゃの食感だったりする。だから、美味しいボンゴレとか肉っけの多いミートソースはかなり懐かしいものだった。

目指したところはダウンタウンにあるMaggiano'sというお店。12時半過ぎに到着してみると、広いテラス席はほぼ満席という客の入り。薄暗い店内の席もかなりの混雑だった。スープ啜ってパスタ食べて、余裕があったらデザートも食べるということでいいかな?と注文した料理は、数十分後、
「た、確か"スープとパスタで軽めの昼食"だったはずなのに……」
「どーして"スープとパスタで重めの昼食"になっちゃったんだろ……」
と苦笑いすることに。

"本日のスープ"は、アスパラガスとローストガーリックのクリームスープだそうで、説明を聞いた直後に
「それそれ!」
「そのスープ!」
と、私もだんなも声を揃えてそのスープにすることに。カップサイズのそのスープ、上にはボウルサイズもあることだし、しかも2ドル以下という価格でもあるし、さぞやさっぱりした量の可愛らしいスープが来るのだろうと思っていた。
が、目の前にやってきたのはボウルだ。ミニ丼くらいは作れそうな、見事なボウルサイズだった。慌てて給仕のおねぇさんに
「これ……本当にカップサイズ?」
と聞いてしまう私たち。おねぇさんはにこやかに
「そうよー、カップサイズよ。ボウルはね、もっとすっっっごく大きいのよ」
と言い置いて去っていった。……でかい、でかいよ。いきなりスープが巨大だよ。

ちょっとばかり塩気は強かったけれど、炒めたにんにくの香りがぷんぷん漂う濃厚なスープは、かなり美味しかった。細かくミキサーにかけられたアスパラガスがたっぷりと混ざり、更に形を残した茹でアスパラがざくざくと沈んでいる。このスープ、ボウルサイズが来た日にはそれだけで一食終わってしまうよねという濃厚さと量だった。
こちらはアラッビアータ

そしてスパゲティ。スモールサイズとレギュラーサイズがあったので、ここは嫌な予感があって迷わずスモールサイズにした。私は海老入りのアラビアータ、息子はクラムのクリームパスタ、だんなは何を血迷ったかレギュラーサイズのミートボールスパゲティ。大きいよ、絶対大きいよ、とひそひそ話していたら、案の定巨大なパスタがやってきた。……なんでスモールサイズなのに、余裕で食べきれないほどの分量が盛られているんだよぅ。私は多分に人より大食らいの気があるけれど(アメリカで暮らしていて、もしかして私の食べる量なんて普通のレベルなんじゃないかと思いつつあるとはいえ)、なんでスモールサイズのパスタを前に冷や汗をかかねばならないのだ。海老がごろんごろんと入ったソースの量も大量で、その下のパスタがなかなか見えないほどだ。
こちらはミートソース

私と息子のパスタ皿は、大盛りラーメンも盛れるんじゃないかという深さと直径があった。だんなの皿は、皿というより洗面器。その中には、"日本のイタリア料理店で注文するパスタの、およそ5倍量が盛られています"といった量の麺が盛られている。ソースもたっぷり。だんなの皿の中央、ミートソースにまみれたミートボールは1個きり乗せられていたのだけど、そのミートボールも一般に言う"ミートボール"ではない物体だった。ていうか、ボールじゃない。これはボールとは呼ばない。
「……これさ、このミートボールさ」
「ん〜?」
「ファミレスでハンバーグを注文したときに、こういうサイズのハンバーグが来るよねぇ」
ミートボールをつついて、だんなは笑っている。困っているというよりも嬉しそうに見える。

大変な量のパスタ、量には困ってしまったけれど味は最高だった。じんわり辛いトマトソースは酸味は淡く、甘さもある。赤いソースにまみれるように、大量の巨大な海老がブリブリと転がっている。エンジェルヘアーパスタみたいな細い細い麺じゃなくてもうちっと太めのものを使った方が、この海老のインパクトからすると似合うように思うのだけど、何故かメニューにはこのアラビアータ以外にもエンジェルヘアーパスタ料理が多く並んでいる。息子のクラムクリームパスタは、クリームパスタというよりはボンゴレという感じのもの。だんなのミートボールも味見させてもらったけれど、素直で素朴な味だった。
「ああー、ちゃんとイタリアンだね」
「幸せだぁ」
と、腹一杯になるまでフォークを動かしつつけた後にはこれ以上ない満腹状態に。せっかくメニューにはクレームブリュレだのニューヨークチーズケーキだのプロフィットロールだのといういかにも美味しそうなデザートが並んでいたけれど、とてもじゃないけどそれどころじゃなくなってしまったのだった。

「……持って帰ってもいい?」
「もちろんですとも♪」
と、給仕のおねぇちゃんは皿を下げた後、すぐに紙袋に入れた残りのパスタを持ってきてくれた。アルミの深皿1つずつに残したパスタ2種類をそれぞれ詰め、更に卓上に持ってきてくれていたパンも別容器に詰めてくれた。すっかり「お総菜セット」のようになってしまったロゴ入り紙袋を持って外に。他のお客も続々とその紙袋を持って外に出て行くのを見て、ああやっぱりアメリカ人にもこの量は多いんだなぁと笑ってしまった。

Denver 「Maggiano's」にて
私:
 本日のスープ(アスパラガスとローストガーリックのクリームスープ) (cup)
 海老のアラビアータのエンジェルヘアーパスタ (small)
 アイスティ
だんな:
 本日のスープ(アスパラガスとローストガーリックのクリームスープ) (cup)
 ミートボールスパゲッティ
 アイスティ
息子:
 クラムソースのリングイネ (small)
 牛乳
 
$1.95
$10.95
$2.00
 
$1.95
$9.50
$2.00
 
$8.95
$1.75

最後は焼肉〜「Restaurant Seoul」

昼飯は、ちょ〜っとヘビィだった。いや、かなりヘビィだった。もうダメというほど満腹になってしまった私たちは、
「と、とりあえずホテルで休憩する?」
「ちょっとだけ戻る?」
と部屋に戻ってしばしごろごろ。一度ベッドに寝転がってしまったらもう一度起きあがる気力がなかなか沸かなくなってしまい、結局そのまま何をすることもなく夕方になってしまった。

一応、行ってみたいと思っていたお店があって、でもそこは「バッファローのステーキが食べられるところ」という、これまた何だか胃もたれしそうな感じの店。夕方になっても一向に消化できていないスパゲッティが胃袋に収まっているこの状態じゃ、ステーキなんてとんでもなかった。ドギーバッグの数を増やして帰ってくるだけのような予感が沸き上がる。

「うーん……日本のラーメン屋さんの支店があるらしいけど、どうする?」
「……いや、ラーメンって感じじゃないしなぁ」
「飲茶!飲茶はどうだろう!」
「おー、いいね飲茶」
「……あ、ゴメン。火曜定休だ……ああ、そしたら焼肉は?」
「焼肉って……肉じゃん。ステーキとあんまり違わないじゃん」
「いや、でもさ、タンとカルビの2皿くらいにおさえてさ、最後に冷麺をみんなで啜って終わりにするとか。それなら軽く済みそうじゃない?」
「ん〜……そうだねぇ……」

白熱する家族会議。あーでもないこーでもないと数十分議論した挙げ句、焼肉屋に行くことになった。
一番最初にデンバーに立ち寄った時に韓国人経営のパン屋さんで買い物をしたのだけど、その近くにKorean BBQという看板を掲げていた店があったことを思い出す。一応インターネットで検索もしてみたけれど、デンバーにはそれほど多くの韓国式焼肉屋はなさそうだ。結局、あの時に見た看板を目指して行ってみることになった。

各テーブルにコンロがついた、とてもまともな焼肉屋さん。焼肉1皿の注文につき、もれなく御飯とテールスープがついてくるらしい。当然、サンチュやナムル、キムチに味噌の類もずらりとテーブルに並べられ、韓国のビール"OB Beer"を飲みながら肉を焼く。他の韓国式の焼肉店と変わらず、大雑把なおばちゃんが焼き網の上にどかどかと肉を積み上げてくれた。毎度のことながら、
「あ、あ、あ……重ねないで〜」
「そんなに積まないで〜」
「ていうか、そんなに大量に一気焼きしないでよ〜」
と思ってしまう。もう、タンもプルコギも極めてぐちゃぐちゃになりながら、じわじわと肉は焼けていく。
焼肉だねぇ……

白菜ときゅうりのキムチの他は、テーブルに並ぶ小皿は比較的甘口のものばかり。茹でたじゃがいもが甘辛いタレに漬け込まれたものや、はんぺんのようなものがこれまた甘辛いタレに漬け込まれているもの、そしてほうれん草ともやしとブロッコリーのナムル、大根の甘酢漬け。山のようにやってきたサニーレタスに御飯を一口分ほど乗せ、味噌をちょっとなすりつけたら焼きたての肉を巻いて食べる。日本で食べる焼肉のタレの風味とは微妙に違うものの、懐かしさ溢れまくりの味だった。腹が減らないのなんのと言っていた割には、全員揃って良く食べる。だんなは「もう一皿、注文しようか?」とまで言っている。こらこらこら。

シメはビビン冷麺。コチュジャンであえられたような辛い麺の上には茹でた牛肉ときゅうりと梨とゆで卵。持ってくるなり、おばちゃんがハサミで全体をジョキジョキと細かく切り、「はいどうぞ」とばかりにずいっと押し出してくる。第一印象は甘く感じるけれど、飲み込んだ後からドカーンと辛さが口に広がる冷麺で、辛いものにあまり耐性がない私とだんなは大変なことになってしまった。
「……う……からーい」
「美味しいけど、カーラーイー」
「水っ水っ水っ」
1つのどんぶりを、ハヒハヒ言いながら回し喰いする私たち。これだけ色々喰えたんなら、バッファローのステーキも余裕だったんじゃないかなと内心呟きつつホテルに帰るのだった。しかも部屋でフルーチェとか食べてるし。

Aurora 「Restaurant Seoul」にて
牛タン
プルコギ
ビビン冷麺
Beer (OB)
$15.95
$11.95
$8.95
2×$3.00

長旅終了

眼下に広がるミズーリ川 明けて翌朝。いよいよ長旅も終わり、今日はテネシーの我が家に帰る日だ。
飛行機の時間は午前8時半ということで、レンタカーの返却やなんやかんやで7時前には出なきゃねということになっていた。

ありがたいことに、冷蔵庫には昨日の昼御飯のパスタの残りがしまわれている。深皿に移してレンジでチンし、牛乳をコップに入れて飲みつつスパゲッティを平らげる朝御飯。ライティングテーブルに椅子2つを並べ、1人はベッドに腰掛けてちゅるちゅると啜った。簡単かつ美味しい朝御飯にありつけて良かった良かったと言いつつ眠い目をこすって出発。

5月2日から5日はワシントンD.C.。5日から14日までは北部国立公園旅行。
5日から14日の間にレンタカーで走った総走行距離は2208マイル(3532km)。福島県を出発し、那覇まで行ってまた戻ってくるほどの距離があったらしい。
「そりゃ半袖OKから要雪山装備くらいの気候差があるわなー」
「車……もうオイル交換の時期にきちゃったね」
「前に借りた人も1000マイル以上走ってたみたいだしね」
と苦笑いして車を返却した。

テネシーまでは時差があるので、今日は1日23時間。8時半過ぎに飛び立った飛行機は12時前(デンバー時間では11時前)には乗り換え地のシカゴに到着。きっちり1時間後に出るナッシュビル行きの飛行機に乗り、午後2時10分頃に無事に我が家最寄りの空港に到着した。
途中、機内アナウンスで
「ただいまミズーリ川の上空を通過中でーす」
なんて案内が。おお、あれかあれかとカメラを構え、ヘビのようにのたくる川を撮影してみたり。

旅行は楽しい。何度行っても何日間行っててもやっぱり楽しい。
それでも我が家のドアを開けた途端に
「やっぱり我が家が一番ねー」
とお決まりのセリフを呟いてしまった。でもまたきっと、どこかに行くのよ。