ああ懐かしの日本食材

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スーパーマーケットの野菜売り場。なんだか華やか〜。

異国に住んでいるのだから異国の食材を上手に利用して暮らしていきたい!
……という思いはあるものの、どうしても日本人として懐かしく感じてしまう食材というものはあるわけで、
「あ"〜、イクラ食べたいっ!」とか、
「舞茸の入った吸い物が飲みたいよぅ……」
なんて事を渡米数ヶ月後には時々思うようになった。ここで、"こんなのはこのあたりで手に入りました"ということを、少々。

ニューヨークや西海岸などの都市部ならば日本食材を扱う巨大スーパーで全てまかなえるものかもしれないし、南部とはいえ日本人がそこそこ多く集っているこの町だから入手可能、なんてものもあるかもしれないけれど参考までに我が町での食材入手方法をまとめてみます。
(肉・魚についてはこちらに詳しくございます)

野菜類

ごぼう
日本食材店他、アジア食材店でも購入可能。オーガニック系スーパーでも見かけることができ、ごく稀に一般のスーパーマーケットでも発見することが。"Gobou"もしくは"Burdock"という名前で売られている。スーパーマーケットのごぼうは表皮がぷよぷよとしたいかにも古いもので、あんまり食指が動かない。しかも細くて貧弱で、見た目はいかにも"植物の根っこ"……。

大根
"Daikon Root""Daikon Radish"という名前で、時折スーパーマーケットで発見できる。オーガニック食材店ならより遭遇率は高くなるけれど、どちらにしても売られているのはしっぽも頭もない、20cmくらいにぶつぎりにされた哀れな姿。触るとなんだかブヨブヨとした鮮度いまいち(いまいちどころか……)なものが多い。アジア食材店、日本食材店まで足をのばせばちゃんと大根の姿をした大根にお目にかかることができる。日本のものより軟弱な外見のものが多いような気が。

れんこん
"Lotus Root"という名で生のものをたまにアジア食材店で見かけることができる。袋詰めにされたぶつ切りの冷凍のものは日本食材屋にあった。一般のスーパーマーケットでは見つけられず。

たけのこ
水煮の真空パックは日本食材店で、水煮缶はアジア食材店で入手可能。生のものは……見ないなぁ……。

白菜
"細めの白菜といった外見の何か"というものならばスーパーマーケットで見かけられる。味もおおむね白菜。より"いかにも白菜"というものを求めたければアジア食材店に行けば馴染みのものを買い求めることができる。

なす
いわゆる"米茄子"ならどこででも買えるけど、おそろしく巨大でおそろしく大味。揚げても水気が出てぶよぶよになるし、日本風の茄子調理法はいまひとつ通用しない。日本食材屋で見事な和茄子が売られていて懐かしくなった。和茄子を見かけたのはその店だけ。

ピーマン
"Bell Pepper"は、日本で言う"パプリカ"サイズのピーマンで、緑はもちろん赤だの黄色だのオレンジだのと彩り豊か。なじみ深い日本のピーマンは、見たことがない。サラダや炒め物にする分には"Bell Pepper"で充分だけど、これだと"肉詰めピーマン"ができないのが少しだけ悲しい。

きゅうり
"Cucumber"なるものはどこでも買うことができるけど、日本のきゅうりを想像するとちょっとがっかりすることに。長く、太く、種が大きく、水っぽくて味わいも何だか大雑把。ピクルスにするための短めのキュウリを見かけることがあるけれど、それが比較的日本のキュウリに近い。でも、中にはとんでもなく苦いものもあるので生食にはちょっとだけ勇気が必要だった。シャキシャキしたあの歯ごたえあの味のキュウリは、唯一日本食材屋で入手可能。すごーく高いので飢えたときにしか買えない。

枝豆
夏のビールの友、枝豆。生のものは日本食材店にもなかったけれど、冷凍ものは購入可能。オーガニックスーパーでその名も"Eda-Mame"なるものが売られていた。さやつきのものもあるし、剥かれているものもある。味もちゃんと枝豆だった。冷凍枝豆はアジア&日本食材屋にもある。

かいわれ大根
スーパーマーケットでアルファルファ系の細めなふやふやしたものは見かけることができるので、通常はこれで代用していた。いわゆる"かいわれ大根"は日本食材屋で見つけたことがあるだけ。ローストビーフに巻いて食べたりしている。

もやし
"Bean Sprout"という名前で、スーパーマーケットで購入可能。袋詰めされているもの、売り場に山になっていて自分で好みの量だけ袋詰めするもの、などあり。ただし、"いつもある"というわけでなく、品切れになっている時も多い。"豆もやし"は通常置いておらず、それはアジア食材店に行けば買える。

ねぎ
"長ねぎ"は、アジア食材店、日本食材店で入手可能。白い部分が少々少なめで今ひとつ使い勝手はよろしくない。細めだし。"Scallion"という名の、見た目万能葱(ちょっと太めなのでワケギとか?)なものはどこででも入手可能。味はほんのりセロリ臭いような気もするけど、万能葱代わりに何にでも使えて便利。玉ねぎは、紫だの白だの黄色だのと他種類あって、しかも安い。でかくて美味しいです。

きのこ類
マッシュルーム(白いもの、茶色のもの、巨大なものなどあり)はどこにでもある。椎茸もその名も"Siitake"で、たまにある(オーガニックスーパー、アジア食材店ならほぼ確実に)。干し椎茸も中華食材を扱う店なら大抵あるし、もちろん日本食材屋にもある。ヒラタケは"Oyster Mashroom"という名前で入手可能。エノキはオーガニックスーパー、アジア食材店、日本食材店で。しめじと舞茸は、今のところ見かけたことがない。ただ、オーガニック食材店で"干し舞茸"は存在していた。ちっちゃーい袋で5ドルくらいしたので、断念……。

その他の食材

大型スーパーで、"国宝ローズ"、"錦"、"牡丹"などのカリフォルニア米を簡単に入手はできる。が、味はけっこうバラバラ。一応"国宝ローズ"が比較的マシな味なのでしばらく購入していたけれど、「国宝だったら、同じ国宝なんだけど"国府田米"というのが美味しいわよ」と教えていただいて"国宝・国府田米"を購入。これはアジア食材店でたまにしか発見できない稀少なお米で値段は通常の国宝の倍。だけど味は確実に良い感じ。更に、"田牧米ゴールド"も定評があるらしいけれど、我が家の近所では発見したことがない。出費をおしまなければ日本食材屋でこしひかり、あきたこまちなども購入可能。都市部ではそれらの無洗米も流通しまくってるとのこと。いいなぁ……。

小麦粉
スーパーで主に売られているのは"All Purpose Flour"(日本で"中力粉"にあたるもの)と"Bread Flour"(日本でいう"強力粉")。無漂白ものや全粒粉などあれこれ種類がある。"Gold Medal"というメーカーが有名ではあるけど、これはどうも美味しくないような気が……(一言で言って、なんか臭い)。我が家はもっぱら"Lily"というブランドのを愛用中。

豆腐・豆乳
健康指向のアメリカ人に愛されているジャパニーズ大豆製品。味を問わなければ豆腐と豆乳は大概どこででも買うことができる。厚揚げすら売られている(味を問わなければ)。入手しやすいのは真空パックに入った森永製の豆腐だけれど、味も舌触りもいまいち。あちこちで購入してみた結果、オーガニックスーパーに売られている豆腐(で、水に浸ってパックされているやつ)が一番美味しいのではないかという結論に達した。ストロベリー豆腐などという謎な商品も共に並んでいたりする。豆乳も、甘くないプレーンな豆乳と共に、加糖の甘ったるいデザート豆乳(これまたストロベリーフレーバーだのバナナフレーバーだの……)もあるので注意が必要。納豆は冷凍されたものが日本食材屋で入手可能。

アメリカの卵はサルモネラ菌が混入している場合があるとのことで、基本的に生食は厳禁。どうしても「生卵をかけた卵御飯が恋しいの」という時は、我が家では"1分ゆで卵"を実践することにしている。熱湯に殻つきの卵を1分浸すだけで、白身と殻の間に含まれることが多いというサルモネラを理論上は死滅させることができる。「それでも自分は、アメリカでは絶対に生卵は食べない」という人もいることもあり、この"1分ゆで卵"もロシアンルーレットの確率を低くしているだけのような気がしないでもないけれど(とりあえず我が家は誰もサルモネラヒットはしていない)。日本食材屋では「生食できる卵」というのが高値で売られていたりもする。
また、アジア食材店で渡米後初めてのうずらの卵(生)を発見。嬉しくて茹でて中華丼にして食べた。缶詰のうずらの卵はアジア食材屋の中華食材コーナーで見かけることができる。

魚卵
アメリカ人は魚卵は喰わないらしい。カズノコもタラコもイクラも普通の店には置いてない。が、アジア食材店、日本食材店でそれらの冷凍ものを買うことは可能。我が家近郊においては、なぜか生イクラがとあるガソリンスタンドの併設ショップで購入可能。ガソリンスタンドの経営者がロシア人の兄弟ということで、ロシアでは一般的な食材であるらしいイクラが瓶詰めにされて売られているのだった。味はついていないので醤油と酒を垂らせば懐かしの味に。イクラが恋しくなったらロシア人が経営する食材店を探すと良いかもしれない。

麺類
日本食材屋に行けば冷凍さぬきうどん、日本のインスタントラーメン、カップ麺、その他乾麺が入手可能。アジア食材店には冷凍中華麺、韓国系ラーメン類、その他怪しいアジアの麺が売られていたりするのでこれもなかなか面白い。そしてスーパーマーケットには生の平麺(中華用の麺らしい)他、アメリカンなインスタントラーメン、カップラーメン各種が。懐かしの味から"チーズクリームラーメン"のような大変怪しい品が試せる奥深き麺ジャンルだ。

餃子・焼売
成形済の"あとは焼くだけ・蒸すだけ"なものはアジア食材店・日本食在店で入手可能。皮は冷凍もの(日本では冷蔵で販売されているものをそのまま冷凍にしたようなもの)が同じくアジア&日本食材店で。スーパーマーケットの冷蔵コーナーで春巻・餃子・焼売の各種皮が売られているのを見たことがあるけれど、いつもあるというわけでなく、しかも薄かったりベトついたりしていまいち使いづらい。中国、韓国産の皮もまた色や厚さが微妙に日本のそれと異なるので、日本の味を再現したければ日本食材店で買うのがベストかもしれない。

おでんの具
日本では冷蔵で売られている各種具が、冷凍にされて日本食材屋で売られている。ちくわ、ちくわぶ、はんぺん、練り物、大抵揃う。

調味料

醤油
"Soy Sauce"はアメリカでもメジャーな調味料と化しているので、どこででも入手可能。"Tamari Soy Sauce"なんてものまであったりして、種類は豊富。でも微妙に馴染みの味と風味が違う。日本メーカーではキッコーマン、ヤマサが比較的簡単に手に入る。でも、何だか塩辛さが強いような気が。

味醂
"タカラ本味醂"がスーパーマーケットでも売られているし、アジア&日本食材屋にももちろんある。ありがたや。

"Rice Vinegar"という名でこれもスーパーマーケットで入手可能。アメリカ人にとっての代表的な酢はアップルサイダービネガー。リンゴが原料の爽やかな酢で、これはこれでドレッシング作りなどに便利。

味噌
アジア食材店・日本食材店でパック入り・袋詰めの日本のスーパーで見るような味噌が入手可能。八丁味噌・仙台味噌などの種類はそれほど期待できないけど、味噌汁を作ったりする分には、とりあえず充分。また、オーガニックスーパーなどではアメリカで作られた味噌も購入できる。安価だし、けっこうまともな味がする。

中華系調味料
日本では甜麪醤・豆板醤・芝麻醤あたりが比較的メジャーな中華調味料だと思うけれど、アメリカでメジャーな醤は"海鮮醤"であるらしい。また、サテの味つけに使われる沙茶醤もよくみかける。スーパーマーケットである程度は入手可能だし、アジア食材店に行けばなお一層品揃え豊富。甜麪醤が見つからなくて探しまくったところ、なんと瓶詰めではなく缶詰で売られていた。どうやって保存しようかなぁ……。

胡麻
炒り胡麻、すり胡麻、ねり胡麻は日本食材屋で売られている。炒り胡麻は、韓国系食材を扱う店に行けば大量に入った安い袋入りのものが買える可能性が大(韓国料理は胡麻を多用するからね)。ねり胡麻は、不思議なことにギリシャ食材としてスーパーマーケットに売られていることが。

カレールー
スーパーマーケットにも日本のカレールーは置かれているが、それは大抵"S&Bゴールデンカレー"。日本食材屋などに行けば"とろけるカレー""バーモントカレー"なども入手可能。甘口辛口など各種揃う。

その他

日本茶
お茶っ葉はティーバッグも含め、あちらこちらで入手可能。が、ペットボトルや缶入りのお茶は売られていない。どころか甘くない紅茶のペットボトルや缶飲料もないのがちょっとショック。冷たい飲み物というと炭酸飲料かレモネードか甘い紅茶、でなければ水しかないという感じ。

カルピス
米国においてカルピスは"CALPICO"という名で製造販売されている。製造されているのだけど、スーパーマーケットなどで見かけることはないので日本食材店かアジア食材店で購入。カルピス(カルピコ)ソーダもあるし、苺フレーバーや桃フレーバーもちゃんとある。プレーンタイプなら濃縮タイプもある。

フルーチェ・シャーベ・シャービック
これらも日本食材屋に置いてあってちょっと幸せ。

煎餅・駄菓子
日本食材屋に行けば各種煎餅他、ポッキーやハイチュウなどの懐かしき日本の甘味に出会うことができる。韓国食材を扱う店には"コアラのマーチ"の韓国版なども。また、スーパーマーケットの日本食材コーナーをよくみるとさりげなく醤油煎餅などが売られていたりもする。