12月27日(金) ぬるい豆腐との邂逅

09:40、CX509便にて成田より香港へ出発。
超身分不相応なビジネスクラスなぞのチケットを取った(もとい、それしか取れなかった)私たちは、どきがむねむね状態で搭乗手続きをおこなった。ビジネスクラス専用ラウンジ「GENJI」なるところの入場チケットを貰い、出発までの30分程をここで過ごした。ジュースや菓子パンがセルフサービスで食べられるようになっている。

……ビジネスクラスは凄かった。
席についた途端にジュースやらシャンパンやらがグラスで出てくるわ、食事は布製のランチョンマットまで用意されてフルコース並に出てくるわ、席は広いわ、足伸ばせるわ、1人1台テレビまで用意されているわですっかり「もうエコノミーなんて乗っていられないわよ」状態に私たちを仕立てあげたのである。
出発後1時間位で出された食事は、洋食と和食が選べ、私は洋食、Sちゃんは和食を選択した。洋食はサーモンの前菜がついたり、結構新鮮なサラダなんかもついたりしてボリューム的には食べきれない位。しかも肉料理の後にチーズまで持ってこられたりするものだから感動ものだった。味は……まぁ機内食以上のものではなかったけれども。

15:30を過ぎた頃、無事に香港に到着する。着陸が恐い恐いと聞いていたが、左側に座っていた私達は山の景色が多い位でさほど恐い思いはしなかった。私は通路側の席に座っていた事もあり、「街が見えたぞ」と思った数秒後にはもう着陸だった。
空港から見た景色についての私とSちゃんの共通の見解が「シムシティみたいな町だねぇ」ということだ。何がって、「商業地区」モードで発展した、同じ様な概観のビルがぽこぽこ建っているその光景が、である。細くて同じビルがへろへろと建っていて……面白い光景である。
キャセイのオプションでついていたリムジンサービスでもって、今日の宿泊ホテル「九龍酒店-カオルーンホテル-(Kowloon Hotel)」へ連れていってもらう。快適、快適。

30分後位にホテルに到着。即刻チェックインを行なって部屋に案内してもらう。ビジネスホテルとして使用されるらしいこのホテルは「スーツケースを広げるのに困る広さである」と聞いていたのと狂いなく、家具の無い空間というものがほとんど無い部屋だった。でもキーボード付きのテレビ(メールアドレスが部屋毎に貰え、メールのやりとりが出来る。ゲームも出来たりする)があったり、ファックスも完備、データ用モジュラージャックがあったりと、設備はかなり整っている。

荷物を置いて、とりあえず銀行にダッシュ。金が無ければ始まらない。
レートが良いと聞いていた、恒正銀行に行ってみる。2人分あわせて20万円を一気に両替、全部で13350ドルの大金を手にすることとなる。レートはHK$1=\14.9というところである。道はかなり混雑しており、観光客と地元民とでごったがえしている。地下鉄の入り口入り口に物乞いの老人が多いのが気になった。足の片方が無い老爺だとかが空缶を持って階段の上り口に座っている。日本だったら誰も振り向かないだろう、そういう人にコインを渡す人が案外多いのに気付いた。
華やかな商店街も、その上にそびえるビルは今にも崩れそうなものだったりする。きらびやかなブティックの階上には、1畳を3人で暮すような人々が住んでいるのかもしれない。
喉乾いたー、おなかすいたーとつぶやきながらも、あまりの大金の恐さに1回ホテルに戻ってセキュリティーボックスに諸々を預けることにした。部屋のセキュリティーボックスの暗証番号は「1997」。我ながらわかりやすい番号である。

15:30、散策開始。
とりあえず喉がかなり乾いていた私達は、それでも近隣の適当なところでは妥協せずに、15分ほど歩いたところの甘いもの屋さんに向かう。行ってみたくて行ってみたくてお互いにチェックを入れていた店、「糖朝-トンチウ-(The Sweet Dynasty)」である。天井が高くて白壁の、清潔感あふれる小綺麗な店はかなりの人で混雑していた。空席が無いらしいので少し待ち、地元民らしい3人組と席を共にして円卓に座る。
普通はこういうの、1品だけ頼むものなんだろーなー、パフェを2つも3つも同時に頼む人間はいないよなー、普通はなー……と思いながら、何故か5つも注文があった私達。

とりあえず、名物らしい暖かい豆腐(熱山水豆腐花)と、その豆腐に御汁粉をかけたもの(豆腐花紅豆沙)と、あとはマンゴ入りタピオカミルク(鮮芒果西米露)と、んでもってタピオカ入りアイスロイヤルミルクティ(珍珠冰凍女乃茶)というラインナップである。注文は、メニューに直接個数を書き入れられるようになっており、それを店員に渡す仕組みだ。茶色い藁半紙のような紙に赤い文字で印刷がある。私たちには英語で説明のあるメニューを出して貰えた。
10分程で注文したものが全て並べられる。結構な迫力だ。喫茶店でケーキとパフェとアイスティを同時に注文する様を思い浮かべて頂きたい。いつのまにか同席の人々はカップルに変わっていて、「この人たち、こんなに食うのか」のような顔をして見ている。悪いか、悪いか〜!

豆腐は「あたたかい」と言うより「ぬるい」感じで、それでうっすらと甘かった。汁粉かけの方も、甘すぎない程度にうっすらと甘かった。ものすごーくものすごーく美味しい!てなものでもなく、どちらかと言うと「体に良さそう」的な印象のある味である。でも食べた事無い味……これは癖になりそうである。
マンゴ入りタピオカミルクは、マンゴの果肉たっぷり、マンゴジュースでココナッツミルク真っ黄色となっている、それはそれは美味なるものであった。マンゴがー!ココナッツがー!絶妙だよ、美味しいよ〜、Sちゃん、わたしゃシヤワセだよぅ〜……とうっとりしながら食べつくす。
ロイヤルミルクティも結構甘い。底に沈むタピオカが極大サイズのもので、それを吸い込む為のストローも小指級に太いもので、なかなか凄いものがあった。喉を流れていくタピオカの感触がたまらない。……ちょっと不気味。
美味しかった、美味しかった。これで100ドル切っているんだから……香港て素晴らしい。最初からこんなに美味しくて良いのだろうか(良いのだ!)

「糖朝-トンチウ-(The Sweet Dynasty)」でお茶
熱山水豆腐花 HK$ 15
豆腐花紅豆沙 HK$ 17
鮮芒果西米露 HK$ 15
珍珠冰凍女乃茶 HK$ 19 *2

元気が出た私たちはほてほてと歩く。もうクリスマスも終わってるというのに、香港では全然終わってないらしく、どこもイルミネーションきらきら状態である。ただでさえ明るい香港が、何だかめちゃめちゃにきらきらである。高さ5メートル位のクリスマスツリーにテディベアが山とぶらさがっていたり、何かとダイナミックな香港のデコレーションである。何だかクリスマスが二度味わえて、ご機嫌な私。
少し歩くと、「海洋中心(Ocean Center)」というでかいショッピングモールがあったのでとりあえず入ってみる。Sちゃんの好きなチョコレート屋を発見。部屋で食べようと1つチョコバーを購入。

「SEE'S CANDIES」でお買い物
ミルクチョコレートバー HK$ 12

更に、この建物内に有名なお茶屋さんを発見する。「福茗堂茶荘(Fook Ming Tong)」というお店。結構お高いお茶が多い。いずれ来ようととりあえず店を後にする。
ショッピングモールを脱出しようと、手近にあった「EXIT」の扉を開けたら、そこは海側に開けた通路になっていて、素晴らしい景色にお目にかかることが出来た。17時をまわって暗くなりかけたところに、海を越えてセントラル地区の建物が良く見える。丁度ライトアップが始まる時間のようで、薄暗い中に明かりが次々と灯っていく。ここでもクリスマス状態のビルが多く、壁面にツリーを模したライトアップが成されていたりして……。これが東京だったらカップルてんこもり状態なところ、人影は通路にほとんどなかった。 ものすごく良い「いちゃいちゃポイント「だと思うのだけれど、そうでも無いのだろうか。
いきなり良い夜景を見れたもので、上機嫌きわまりない私たちである。

夕食をどうしようかということで、ホテルの側にある「滬江大飯店-ウーコン-(Wu Kong)」という上海料理のお店に行くことにしてみた。高くはない店だけど地元民で込むらしいので店に寄って予約した。たどたどしい英語でなんとか大丈夫。
帰りにPEKING ROADというマーケットで買い物をする。フルーツコーナーにまず行って、大好物のマンゴスチンを探すも見つからず。何故だー、日本に輸入が禁止されてるから香港くんだりまで買いに来たのにー(別にこれが最大目的では無いのだけれども)。とりあえず、飲み物系を入手する。

「PEKING ROAD」で食料調達
レモンペリエ HK$ 6.5
オレンジジュース HK$ 3.9 *2
ビン入牛乳 HK$ 6.8
陸羽のプーアル茶 HK$ 7.9

ペリエ安いー。お茶も何だか凄く安いー。
18:30、ホテルに戻る。
日本から持ってきたパソコンをいじくりだす。デスクにモジュラージャックがついているので、そこでニフティ接続を試みる。香港のサーバーに接続してからニフティへ。めでたく成功。とりあえず、Kさんにご報告。

20:00「滬江大飯店-ウーコン-(Wu Kong)」で食事。
店の入り口は超満員、予約をしていったにも関わらず、なかなか案内して貰えない。15分程待たされて、やっと案内される。予約していなかった人々は1時間待ち位のようだったから、まだましだったのかもしれない。メニューがわからんー、と思っていたらすかさず日本語入りのメニューをくれた。いとうれし。
それほど量をとったつもりは無かったのだが、目一杯満腹になってしまった。

炒蝦仁:
かたくり粉でとろみをつけた、エビの塩炒め。ガイドブックに載っていた写真があまりに美味しそうだったので、注文した。エビばかりの、エビオンリー、ザッツオールな料理だったけど、ぷりぷりで超絶美味だった。黒酢が別についてきて、これをつけながら食べるらしい。そのままでも十分美味しいけど。
豆腐餃子:
その名のとおり、豆腐の餃子。固めに水切りした豆腐の袋に野沢菜系の野菜がくるまれていて、とろみをつけた鳥のスープにひたっている。豆腐の下にも白菜などが敷いてあって、とってもヘルシー。さっぱりしていて胃に良さそう。これも美味。
鶏肉のおこげ料理:
どんぶり1杯のおこげに、これまたどんぶり1杯のあんが別に運ばれてきて、目の前でじゅわーっとやってくれた。これが耳にも目にも非常に楽しい。あんは鳥のさっぱりスープでミンチ状の肉がどちゃどちゃ。野菜もどちゃどちゃ。幸せ。

ウーロン茶でこれらをいただき、すっかり満腹。デザートの余裕が一切無くなったのが残念と言えば残念……。

「滬江大飯店-ウーコン-(Wu Kong)」で夕食
合計 HK$ 315

21:05、部屋に戻る。
旅行記を打ち始めたら、バッテリーアップで端末がダウンした。アダプターは昼から借りて接続しているのに何故!?ともう1度ハウスキーパーに連絡を取って持ってきてもらう。今度は変圧器も一緒にやってきた。……でも動かない。何だか嫌な予感がする。もしかして、私のアダプター、ぶっこわれたんじゃないだろーか。どうしようもなく、明日電機屋に行ってみることにする。
とりあえず、今の部屋にはメールの出せる端末があるから良いけど。
24:00、就寝。疲れた、疲れた……。