7月22日(火) 嵐の北京ダック、朝粥&九龍側散策
朝粥を食べに〜「羅富記粥麵專家」
毎朝「日本時間6時」に起床を続ける私、今日も懲りずに5時起き。
誰も起きていないこのタイミング、ビーチリゾートでもないから「お部屋を出てお散歩」というのも何だかな、だし、これ幸いと日記や旅行記をつけて皆が起きるのを待ってみる。息子はまた起きてプールに行こうと言ってくるかな?と思ったけれど、さすがの息子もそろそろお疲れらしく、7時頃まで爆睡だった。なので今日は「朝のプール」はお休み。
朝御飯は今日も別行動で、母と息子は2人でホテルブッフェ、私とだんなは2人で街に繰り出して、お粥を食べに行くことにした。
相変わらず台風接近の「シグナル3」の警報は解かれておらず、ホテルの入り口ドアなどには土嚢的なものが積み上げられてちょっとばかりものものしい風景になっている。それでも雨と風は今のところさほどでもなく、フェリーに乗って中環、そこからトラムに乗って上環方面を目指すことにした。
スターフェリー、一昨日は上層に乗ったからと、今朝は下層に乗船。
古めかしい窓からは、どんよりどよどよとした重くたれ込めた雲と、中環側からやってくるフェリーが見えた。
こういう乗り物は、えてして観光客向けになりがちだけれど、香港のこのフェリーは「どちらかと言えば地元民用」という雰囲気であり続けているのがすごいと思う。13年前に初めて香港にやってきた時から、その雰囲気は一向に変わらない。
そうそう、このフェリー、「Uターン」はしないのだ。さして距離のない2ヶ所を単純に往復するだけのものなので、尖沙咀側にやってきたら、方向を変えずに、そのままバックする要領で中環側に戻っていく。客席のベンチの背もたれは手動で前後にスライドするので、常に「進行方向側を向いて座る」ことができる仕組み。フェリーに乗り込んだお客さんは、まずガッチャコンと背もたれを動かして、そして進行方向に向いて着席するのが常だ。
中環から地下鉄一駅乗るのもめんどくさねと、トラムで移動。
幅の狭い、二階建ての路面電車は冷房なし(ごく稀に冷房ありのも来るけど、本当に稀)で各駅停車。速度も遅い。
でもどこまで乗ってもHK$2という価格の安さ、のどかな雰囲気が私は大好き。これを乗らなきゃ香港に来たって気にならないわ〜と思っている。
どこを走っているのか手持ちのマップと照らしあわせて確認しいしい、「通り過ぎたら歩いて戻れば良いしね〜(どうせ1駅ごとの距離はせいぜい100〜200mというところだし)」と、乗っていたら、本当に通り過ぎてしまって、来た道をいそいそ徒歩で戻った。
朝御飯にと目指したお店は、大好きなお粥屋さん「羅富記粥麵專家 (Law Fu Kee Noodle Shop Ltd)」。
「粥麵專家」と言うだけあって、メニューはお粥と麺ばかり。メニューは中国語オンリーだけれど「鮮魚片粥」は魚の切り身入りのお粥だろうし、「豬肝牛肉粥」なら豚レバーと牛肉の粥だろうし、と、だいたいは見てわかる。何より、私はいつだって「痩肉(=脂っけの少ない豚肉のこと)」と「皮蛋」入りの粥ばかりなので、あまりメニューをじっくり見ることもなく「あ、これこれ。皮蛋鹹痩肉粥がいいな」という感じになるのだった。
注文を終えると、「油条も要る?」というような事も聞かれて「いるいる」と答える。
すぐさま、アルミの深皿にボサッと大量に盛られてやってきたのがこれ。中華粥には欠かせない"揚げパン"だ。
表面サクサクカリカリ、中はほんのりモチッとしていて、塩も砂糖もかかってない。でも、そのまま食べても美味しいし、粥に埋めて柔らかくしながら食べるのもまた美味しい。油っけのない粥に油条入れると途端に食べ応えが出てきてコクも出るので嬉しい存在。
「蠔油時菜 HK$14」(青菜のオイスターソース炒め)というメニューも壁に貼られていたので「これも欲しい」と伝えてみたのだけれど、10:30以降じゃないと食べられないのだそうだ。残念。
テーブルにやってきたばかりのお粥は、「一面白い粥、その上に刻み葱」という、一番上の写真のようなそっけない外見のもの。
粥の碗の下には小皿が敷かれて、溢れんばかり(というか溢れてる)に粥が入っている。
で、底からゆっくりレンゲでかき混ぜると、底からごろごろざくざくと、たっぷりの具が……♪
豚の赤身は、ホロホロとした口当たり。塊肉にじっくり火を通してからほぐした風なもので、塩気もじんわりと染みている。肉はほんのりと塩気を感じ、粥の方も塩辛すぎず薄すぎずの絶妙の塩加減。ふわふわトロトロの口当たりの粥は、相変わらず絶品だった。
だんなの方の「肉片粥」には、豚の厚めのスライス肉が、こちらもたっぷりと。肉は簡単に歯で噛み切れる柔らかさで、ほのかに胡麻油の香りが漂ってくる。
魚介の粥もきっとすごく美味しいのだろう。メニューには「小欖炸魚球」(魚のすり身団子)の品名が「これが名物!」とばかりに掲載されていたし(残念ながら注文できるのは青菜炒め同様昼近くになってかららしかった)、魚系のメニューも豊富。
でも、どうしても皮蛋大好き肉大好きの私は、判で押したように毎回痩肉と皮蛋の粥を頼んでしまうのだった。悔いなし。
皮蛋鹹痩肉粥 肉片粥 油条 |
HK$24 HK$24 HK$7 |
上環、乾物街巡り
ここから徒歩圏内に、気になっていたお茶屋さんがあるんだよ、ということで、そのまま上環方面をだんなと散策。
肝心のお茶屋さんの営業時間まであと十数分はあるかという頃合いだったので、どうせだからと永樂街もちらっと見に行くことにした。
このあたりは、乾物を売っているお店が多く建ち並ぶ。
整然とプラスチック製のケースや瓶が並ぶお店で売られているのは、干し貝柱に干しナマコ、干しアワビ、そしてフカヒレ。
いわゆる中華の高級食材の類がずらずらずら〜っと並べられている。
他にも、ナッツやドライフルーツばかりを扱う専門店やフカヒレ専門店、干しナマコ専門店などなど。「観光客相手にも一応売りはするけれど」という風な、いかにも業務用のお店が多く並んでいるのだった。
右の写真は、ちょっとばかり衝撃だった「ナマコだらけ」のケース。
このお店はナマコ専門店だったから、店頭も店内も、とにかくこの「黒い唐墨」みたいなものがみっしりと、みっちりと並んでいた。夢に出てきそうなほどのナマコの大群。
で、私たちのお目当ては「干し貝柱」。
「お粥とかに使うやつだから、別に綺麗な形のでなくて良いんだよね」
「むしろ"砕けてるから安くします"みたいなお得用ので良いんだけどね」
と話しながらちょうど営業を始めたお店(飲食店向けということで朝が早いのか9時頃には通り沿いのおおむねのお店がオープンしていた)を見て歩く。
9年前はそれほどまでとは思わなかったけれど、今回歩いてみると、干し貝柱は「日本の宗谷産のが一番だよ!お勧めだよ!」という扱いになっていた。中国産の安全性への評価の失墜でもあったのか、とにかく「日本産礼賛っぷり」がすごい。値段も張る日本産のものをここで買う必要もないわけで、こりゃあダメかなぁと諦めかけたところで、やっとみつけた。
日本産の宗谷の貝柱の砕けちゃったものが1斤(600g)HK$228。
大粒の貝柱となると1斤HK$500〜600はざら、という感じだったし小粒のものもHK$300は下らないのが普通という感じだったから、これはちょっと嬉しかった。これが良いです、これを1斤!と、すぐさまお買いあげ。
さんざん歩いたけれど、この店、お目当てのお茶屋さんのすぐ向かいのお店だったのだった。
干し貝柱 1斤 |
HK$228 |
ところで、乾物街では猫をよく見かけた。
たいそうな美人さんだったこちらのトラ猫は、燕の巣の専門店の店頭で「私がこの店のあるじですニャ」と言わんばかりの風格で行儀良く座っていた。
猫たちは皆、日本の猫とさほど変わらない風貌。
茶系のトラ猫、ブチ猫をよく見たけれど、我が家の猫によく似た真っ白な猫もいた。
香港の繁華街には「猫カフェ」もあるそうで、本気で行ってみようかと場所のチェックまではしていたものの、「いやいや旅行中に浮気みたいな真似をしては留守番してくれている我が家の猫に申し訳ない」と断念。
カメラのレンズを向けるとやっぱりちょっと怖いのか、なかなか正面から撮らせてくれない猫たち。
通り沿いの階段を下りてきたこのブチ猫は、物慣れた風に隣接するお店の中に入っていった。
うちの猫は干し貝柱の匂いを嗅ぐと尋常じゃなくなる(「それを喰わせろ!その美味しい匂いのモノを喰わせろ!」と……)のだけれど、乾物街に住むの猫はそのへん、大丈夫なのかしら?干し貝柱程度の美味しい匂いではもう動じないのかなぁ。
ともあれ、お茶屋さんがオープンする時間にもなったということで、「林奇苑茶行」に寄ってきた。Webサイトが日本語対応だったからなんとなく想像ついていたけれど、日本語がしっかり通じてしまうお茶屋さん。
とても綺麗な店内で、烏龍、普洱はじめ、まんべんなく品揃えのあるお店。
明るい店内、並ぶ調度品もセンスの良いもので、茶器も「あらこれ可愛い」と思うものが多かった。
普段用に、がぶ飲みできそうな龍井が500gでHK$60。ちょっとだけ良いめの普洱買ってみたり、私は花茶を選んでみたり、しばしこのお店でのお買い物を楽しんだ。
量り売りの茶葉が並ぶ棚の反対側には花茶やティーバッグが並ぶ一角。
「工藝花茶」という4パックセットには「一見鐘情 (Love at First Sight)」「丹桂飄香 (Osmanthus Lily)」「心心相印 (Jasmine Hearts)」「金盞飄香 (Forever Marigold)」の4種の花茶が入っているとのこと。
開いた様を写真で紹介していた花茶はとても美しくて、これは綺麗だわといくつか籠に入れてみた。
安溪鐵觀音 1斤 獅峰四級龍井 500g 頂舊普洱 1斤 工藝花茶 |
HK$64 HK$60 HK$120 HK$40 |
帰りは地下鉄を乗り継いで、上環から尖沙咀へ帰還。
母と息子は2人でプールに行っていた。ちょうど部屋の清掃が入っているところだったので、私たちも荷物を置いてすぐに水着を持ち、お昼頃までしばし水遊び。
もはやすっかりファミレス風?〜「糖朝」
天気は未だ、今ひとつ。
ちょうど私たちが上環から引き上げてくる移動中にスコールがあったようで、尖沙咀に戻ってくると道路が盛大に塗れていた。午後も晴れるわけではなさそうだけど、でも「ずっと雨」というわけでもなさそうだ。
プールでの水遊びを終えて部屋に戻ってみると、今日も新たなウェルカムフルーツがやってきていた。
今日の組み合わせはバナナ、洋梨、柿(日本の柿と全く同じ!)、そしてアメリカンチェリーがたっぷり。
チェリー好きの息子が
「食べていい?」
とソファに座ろうとしていたけれど、「ともかくお昼御飯食べに行こうよ」と外出の準備。お昼を食べがてら外に出て、そのまま尖沙咀を北上したあたりを散策してみようということになった。
お昼にと皆で向かってみたのは「糖朝 (The Sweet Dynasty)」。
いまや青山にも店舗があり、日本各地の高島屋デパートにも支店がある「糖朝」だけれど、香港のお店はやっぱり別。東京で食べるマンゴープリンも悪くはないけれど本店と全く同じ味というわけではなく、今回改めて「ああ、糖朝のマンゴープリンの味はこの味だよね」と思い知った。
改装してすっかり様変わりしていたお店は2階建てになっていて、メインフロアは2階の方らしい。たいそう広々としたお店はファミレスのような雰囲気で、メニューもまた写真入りになってすっかりファミレス的になっていた。「甘いものメニューがお勧めだけど、粥も麺もあるよー」というスタイルは昔からそうだったけれど、それにしても一品料理の種類がまたすごいことになっている。そして行列こそなかったものの、店内はたいそうな混雑だった。
なんでもJCBのクーポン(出発時に成田空港のカウンターで貰ってきた)を使うと、マンゴープリンが1個無料になるのだそう。
母と息子は五目炒飯を半分こ、だんなは水餃子入りのつゆ麺、私は牛すじ煮込み乗せの和え麺。お手頃価格の点心いくつかと、デザートまでいただく頃にはすっかり満腹になった。
- 煎北門f蔔糕 (Fried Turnip Pudding 椎茸入り大根もち)
こんがりと良い色に焼かれた大根餅は、「椎茸入り」と記されていて、椎茸の旨味を確かに感じるもの。
しっかりとした下味がついているので、醤油などをつけなくてもそのまま美味しくいただけた。
- 鮮蝦咸水角
(Deep Fried Shrimps and Pork Dumplings
エビと豚の中華風揚げピロシキ) 「咸水角」(ハムスイコ)は私の大好きな点心。日本語訳に「揚げピロシキ」とあってなるほど、と思ったけれど、日本の飲茶屋さんメニューでは「揚げ餅餃子」「もち皮揚げ餃子」といった風に紹介されることが多い。
餅で五目の具をくるみ(これは海老と豚入り)、その表面をカラッと揚げたもので、粘る餅の甘じょっぱい具の食感と味のバランスが歯に舌に心地よい香ばしい料理。揚げたての、これでもかと香ばしいのが3個やってきたここの咸水角は、何と1皿HK$16。200円しないくらいでこれが食べられるなんて、最高だ。
- 原汁柱候牛筋撈麵
(Braised Noodles with Special-made Cow Tendons
牛スジ煮込みのあえそば) パサパサした水っ気のない細麺に青菜を添えて、上にはバボーンと迫力の分量の牛すじ肉の煮込み。
刻み葱を散らした、塩気強めのスープも添えられてきて、どうやらこのスープを麺にまぶしながらいただくのであるらしい……けど、牛すじ煮自体の塩気もけっこうあるので、これに更にしょっぱいスープをかけるのも、と、スープ啜りつつ麺も食べつつ、みたいな感じでいただいてしまった。
こってこての、いかにもな味に煮込まれた牛すじ肉は、煮崩れる直前のプルプル感を保っている、絶妙な煮加減。プルプルモチモチしていて非常に美味しかった。
- 瑤柱鮮蝦水餃麵
(Noodles with Shrimp Dumplings in Soup エビ水ギョーザ入り麺) だんなの頼んだ、こちらは汁麺。麺の下に隠れるように海老餃子が何個もごろごろ入っている。
麺は私のと同じ、ちょっと固さのある細いもの。こちらには青菜が添えられていたりしないから、やたらとシンプルな外見だった。
- 揚州炒飯 (Fried Rice "Yeung Chow" Style 五目チャーハン)
ボリュームたっぷりのチャーハン、「母と息子2人で1皿にしておいて良かったね」と心から思いつつ、でもその2人でも食べきれなくて私とだんながお手伝い。
ファミレス然とした雰囲気のお店なのに、でもちゃんとパラッパラに炒められた炒飯は美味しくてびっくりなのだった。
チャーシューや海老などと共に御飯に混ざる緑色のものは……ズッキーニ???
- 鮮芒果西米露 (Chilled Sago Soup with Mango マンゴータピオカ)
マンゴープリン以外にももう1つくらいデザート取ろうよということで、私が選んでみたマンゴータピオカ。
タピオカココナッツミルクにマンゴーをたっぷり混ぜた風なデザートで、母曰く「マンゴープリンよりこっちが美味しい」とのこと。
果肉たっぷりで、ゆるめにゼラチン加えて固めてある風なトロトロふわふわとした口当たり。確かにとても美味しかった。
- 鮮芒果凍布甸 (Chilled Mango Pudding マンゴープリン)
そして最後にマンゴープリン。
「そうそうこれこれ、これがマンゴープリンのスタンダード!」と懐かしく思ったこのフォルム。
今はもう、この型で出すお店もあまり多く見かけなくなってしまった(容器に固めて出すのがすっかり主流になってしまった)けれど、この凹凸のある可愛いハート型、周囲に垂らしたエバミルクの組み合わせは、13年前に食べたのと変わりないものだった。
果肉たっぷりで、牛乳もたっぷり使っている風の、クニュクニュモチモチとした食感も心地良い。ちらっと添えられたマンゴー果肉がまた可愛くて、皆でつついていたらあっという間に無くなった。
煎北門f蔔糕 鮮蝦咸水角 原汁柱候牛筋撈麺 瑤柱鮮蝦水餃麵 揚州炒飯 鮮芒果西米露 鮮芒果凍布甸(無料) 茶 |
HK$16 HK$16 HK$45 HK$38 HK$60 HK$24 (HK$20) 4×HK$2 |
佐敦〜油麻地散策
食後は「糖朝」の店頭の道路を北上して、佐敦方面に向かう。途中で「百佳超級市場(PARKnSHOP)」に寄り道しつつ、佐敦駅に隣接した「裕華國貨 (Yue Hwa Chinese Products )」までてくてくてく。
いかにも中華なデパートという感じの「裕華」、ボーンチャイナの良い感じの白い食器の類も揃っているし、中国茶器などもある。「どこに飾るんだろう……」みたいな怪しい工芸品の数々も。
最上階には中国茶と中国茶器の店が集まった一角があり、簡単に区切られた各店からは「お茶飲んでってー美味しいヨー」と熱烈な客引きが。
お手頃価格の綺麗な茶器があれこれ揃っていたこともあり、そのフロアでだんなは蓋碗、母は小さな中国茶用ティーセットを購入していた。
そして1階には薬局が。
尖沙咀のドラッグストア、昔ながらの薬屋さんを見つけるたびに覗いて「ないー」「ここにもないー」と探していたのが、私のお目当ての「正骨水」、だんなのお目当て(友人から頼まれたのだそうで)「百合油」。
どこにでもありそうなのに無いもんだよねぇと探していたのに、ここに来たら一発で揃った。「正骨水」は、サイズも色々揃ってる。両方一度に買えて何より、と、私も自分用の百合油を数本買ってみることに。
ちなみに「正骨水」は打ち身、捻挫、骨折、関節痛などに塗り薬として使われている中国・香港の家庭の常備薬。入浴剤として使っても良いらしい。「百合油」の方も家庭の常備薬、こちらは添付の説明書きによると(日本語版もついていた)「感冒、インフルエンサ、神経痛、ひきつけ、小児腹痛、喘息、関節炎、腹痛、打撲傷、歯痛、セキ、乗リ物醉、ヤケト、ハレ物虫さされ」(←原文ママ)に効くのだそう。もう何でもアリだ。
母と息子はここで歩き疲れたということで、タクシーでホテルに帰還。
私とだんなは2人で更に北上することにした。
大正骨水(100cc) 小正骨水 白猴牌百合油 |
HK$42 HK$15 HK$22 |
佐敦から油麻地へ至る方角に、「男人街」として有名な「廟街」がある。まだ13時を過ぎたばかりの時間ではまだどこも準備中だったけれど、この通りの佐敦側の端に中国茶のお店「雙魚茶館 (Sheung Yu Tea House)」がある。
今朝さんざん中国茶を買ったところだったけれど、ここもまた素敵なお店。
20年ものの、甘くて美味しいと勧められた雲南普洱を買ってみることにした。ここもお茶器が素敵なものが多くて、とてもうっとり。
雲南普洱(20年もの) 150g |
HK$120 |
廟街を通り抜け、通り抜けついでに「玉器市場 (Jade Market)」にもちらりと寄った。
ジェイドマーケットと言うだけあって、翡翠のアイテムをしこたま売っている一角だ。
屋根付きの倉庫のような場所に、所せましと屋台のように各店舗が軒を連ねている。ペンダントヘッドばかりを扱っているお店もあれば、ブレスレットしか置いていない店もあり、翡翠製の仏像やオブジェ、食器なども並んでいる。
いかにも「玉石混淆」という感じで、もしかしたら玉はなくて石ばっかりだったりして?なんて思いながら見て歩く。
で、結局、本物でも偽物でもいいや、と、綺麗な色のピアスを買った。2セット買うから安くしてよ、あ、お揃いのネックレスもあるの?じゃあそれも買ったらいくらになるの?と、英語と日本語とちゃんぽんであれこれ交渉。高い高いそれじゃ高いよ、とお互いに電卓叩きまくりながら、HK$200で交渉が成立した。もっとがんばったらもっと安くなるだろうなと思ったけど、ここ、冷房がなくて何しろ蒸し暑い。
翡翠ピアス 翡翠ネックレス |
2×HK$130 HK$70 |
玉器市場を過ぎて上海街を北上すると、そこは調理器具街。
東京で言えば「合羽橋道具街」のようなその町並は、どこか見知った風景だ。冷蔵庫やコンロなどの厨房機器の専門店があったり、鍋ばかり並んでいるお店があったり、手頃な調理器具や皿が積まれたお店もあったり。
特にこれというお目当てはなかったのでのんびりと見て歩き、使い勝手の良さそうなステンレスの調味料入れや、ハート型のマンゴプリン型を購入。
10cm調味料皿 マンゴプリン型 |
5×HK$3 4×HK$32 |
と、ここでいよいよ雨が降り始めた。
ちょうど油麻地の駅に向かっているところだったので、足を速めて急ぎ地下鉄に乗って尖沙咀へ帰還。尖沙咀に着いてみると、ものすごい豪雨になっていた。お土産もの袋を死守して、ホテル最寄りの地下鉄出口からペニンシュラアーケードのドアを目指してダッシュ。
なんとかぎりぎり、「びしょ濡れの散策」にはならずに無事部屋に帰ることができた。
予約の取れない北京ダック屋!?〜「鹿鳴春」
たいして塗れずに帰れて良かったね、と部屋に戻ると、それはもう大変な豪雨になってきた。
香港島側のビルに雷がどっかんどっかん落ちるのまで見え始め、その香港島のビル群も雨でけぶって見えなくなってくる。
夕飯は島に渡るとかは止めて(万が一戻れなくなっても困るし)近場のレストランでどうでしょう、と、滞在中に一度は行くつもりだっ北京ダックの「鹿鳴春飯店 Spring Deer」はどうだろう?ということに。
日本語はもちろん英語も今ひとつ通じないお店なのでホテルのコンシェルジュ経由で夜7時に予約を入れてもらおうとしたところ、「満席だそうで、9時からでないと予約は受け付けられません」とのこと。じゃあ明日にする?と続けて聞いてみてもらえば「明日も同様に夜は9時以降じゃないと……」とのこと。
確かにこのお店は人気店ではあるけれど、そこまで予約も入れられない状況とはびっくり。すっかり北京ダックを食べる気満々だった私たちはたいそう悩むことになった。
何しろ雨もものすごい。「もう諦めてホテル内で食べちゃう?」という話も出てくる。
「いや、でもさ、この豪雨だよ?案外キャンセルが出るかもしれない。7時頃に"今行けば入れるか、キャンセル出てないか"って聞いてみるのも良いかもしれない」
と判断して、6時40分くらいにお店に直接予約の電話を入れてみた。それでもダメなら、ホテル内で洋食というのも良いじゃない、ということで。
「ここ、英語があんまり通じないんだよー」
と困惑しながらだんなが電話をかけてくれ、ほどなく
「ええ、4人で……7時から」
なんて英語のやりとりがぽつぽつ聞こえはじめた。このやりとりは!と速攻クローゼットに向かって「着替えなきゃ!」と準備する私。
「予約!できちゃった!」
と、電話を切っただんなが誇らしげに私たちに告げたのだった。
想像通り、この荒天で予約のキャンセルが出たらしい。じゃあ行こうすぐ行こう雨降ってるし雷鳴ってるけどでも行こう!と、ホテルのクローゼットに用意されたペニンシュラのロゴ入りの大きくて重い傘を持ち、徒歩7分ほどの距離にある「鹿鳴春」に向けて歩き出した。まるで同じ傘が4つ縦に並んで道路を横断する様は、なんだか「ドラクエのパーティー?」みたいな外見で笑えてきてしまう。道路はかなりあちこちびしゃびしゃ、それでもだんだん雨も弱まってきているところだった。
「鹿鳴春」は、老舗の北京料理店。お店に来る人がほぼ必ず注文しているのが北京ダックで、ここは広東式に肉つきの皮を切り分けてくれる。1羽買いでのオーダーで、1羽たったのHK$280。クレープ状の皮も食べきれないほど出してくれるし、食べきれなかったら包んでくれたりも。
お店のロケーションがまた、怪しくて良い感じ。
尖沙咀のメインストリートから東に延びる「麼地道」に入って歩くこと数分。薄暗い通りを歩いてそろそろ不安になってくる頃に、「鹿鳴春」の看板が見える。
で、2階にあるその店にどうやって入れば良いんだか、と、看板の示す建物の入り口を覗くと、「どうみても洋服屋さん」というハンガーがぶらさがった建物入り口が見えて、その中に数メートル進んだところにある階段を上がればめでたくお店の入り口に、という寸法。
ビールくださいビール!と早々に注文して、前菜の盛り合わせと、あと野菜料理、それと北京ダックがあればけっこうお腹一杯になっちゃうよね、と軽めのオーダーにしておいてみた。
- 突き出し2種類
お酒と共にやってきた2つの小皿は、ほのかに酸味のある豆の煮物と、甘酢漬けのキャベツ。
北京ダックに添えるタレが甘ったるいものなので、良い感じの箸休めになってくれた。
- 什錦冷盤(Variety Cold Dish)
ビールのお供に前菜盛り合わせ!と、これを頼んでみた。
小サイズだとこのように可愛らしい感じだけれど、10人卓の団体さんのテーブルには、これがそのまんま巨大化したような、びっくりするようなサイズの皿の前菜が運ばれて行ったりする。コース料理に組み込まれたりしているようで、このお店のお馴染みメニューの一つ。
いわゆる「中華の前菜」の組み合わせとは一風違う感じで、「クラゲ・チャーシュー・蒸し鶏」といったものではなく、放射線状に盛られたそれらは湯葉であったり、薄切りのセロリであったり、牛すね肉を煮てスライスした風のものであったり、牛タンであったり……というもの。
ハムに似た赤いはんぺん状のものも、これも湯葉であったらしい。全体的に味付けは淡めで食べやすい。
- 乾燒四寶 (Crispy Bamboo Shoots Salted Cabbage Smoke Chicken & Mushrooms)
このお店で今回一番驚いた料理がこれ。
日本語が併記されていたメニューで「竹の子・高菜・椎茸・スモークチキン入り野菜の炒め物」と書かれていたもので、「野菜の炒め物が食べたい」と、これを選んでみたのだった。
中国語名には「"乾燒"四寶」とあるし、併記の英語にも"Crispy"の文字があるから、「そうか……確かに」と思ったのだけれど、それにしても、この、パリッパリに乾燥したサクサクホロホロの"揚げもの"的料理がやってきたことにびっくり。
深緑色をした、"戻していない乾燥わかめ"のような外見になった高菜と、見た目はまるで同じ風な"茶色いフライ"状になっている筍と椎茸、チキン。
「……なにこれ〜?」
と、選択を誤っちゃったかしら私たち?と、だんなと目配せしたのだけれど、それは杞憂に終わった。口にしてみると、これがとっても美味しい料理。
椎茸も筍もとても味が濃厚で、見た目はそう変わらない風なのに「あ、これ椎茸だ」「こっち筍だったよ」と食べていてちょっと楽しくなる感じ。サクサクに揚がった高菜はちょっと強めの塩気がついていて、ビールにたまらなく似合う風味になっていた。あらやだ、これとっても美味しいわ、と、あっさりとお皿は空に。
- 烤北京填鴨(Authentic Barbecued Peking Duck)
そしていよいよ、北京ダックの登場。
私たちのテーブル脇にガラゴロとダックを乗せたワゴンがやってきて、「これが焼けましたよ〜」とばかりに、目の前でざっくざっくと切っていってくれる。
1羽からとれる皮と肉の量は、右の写真の皿の2枚分くらい。他にあれこれ注文していなければ3〜4人で食べきれる分量だけど、他にあれこれ注文していたら、なかなか食べ応えがある量になる。前にあれこれ食べていたなら、北京ダックと格闘し始めてほどないタイミングで「その小麦粉の皮は控えめにしておいた方がいいぞ」という空気がテーブルに流れること間違いなし、という感じ。
卓上には大変大雑把な感じにカットされたキュウリと長ねぎ、クレープ状の皮が山盛り、そして海鮮醤。
「どうやって巻くの?」と、息子がおっかなびっくり巻いているのを背後で心配そうに見ていた店員さん、「これもかけなきゃ」とばかりに、上からだばだ〜と海鮮醤をかけてくれていた。
全体的にぶっきらぼうかつ無造作な印象を受けるけれど、ここのお店の人たちは実にマメにテーブルを見てくれていて、テーブルにこぼれようが料理にちょっとばかりかかってしまおうが気にしない動作でもってお茶やらビールやらをだばだばだ〜と注いでくれたりする。9年前もこんな感じだったから、きっと10年後とかもこんな感じなのだ、きっと。
- サービスデザート
なんでも、会計にJCBカードを使うとフルーツかデザートかがお店からサービスされるのであるらしい。
「前回来たときもJCB使って、確かフルーツが出てきたんだよね」
と、カードを提示してみると、今回は「あんこ巻きクレープ」的なデザートがやってきた。
アツアツでこんがり焼き色がついていて、皮はほのかにサクサクとしたクリスピー食感。巻かれているのは小豆のこしあんで、馴染み深い味のものだった。
「10切れあるから、1人最低でも2個ノルマねー」なんて言いながら食べ始めたのだけれど、香ばしくて美味しいものだから、ぺろりと完食。「甘い物は別腹大王」の私は、ここで大活躍だったのだった(多分私、4切れ食べたよ……)。
予想だにしていなかったものが出てきたデザートで、それまでの「けっこうお腹一杯」が「すっかりお腹一杯」という状態に。
「でもさぁ……甘いもの別腹だし……どっかで甘いもの食べて帰る?」
と食後に呟いたら、皆に「何を言っているの貴女は」という顔をされてしまった。
いやね、だってね、糖朝はめでたく行けたけど、私まだ滿記も杏花樓も義順も行ってないのよ。大変な事なのよ、もうすぐ帰国だというのに。
什錦冷盤 乾燒四寶 烤北京填鴨 啤酒(生力) |
HK$? HK$70 HK$280 HK$? 計HK$576 |
お店を出ると、もうすっかり雨は上がっていた。
道路のあちこちはびしゃびしゃになっているけれど、どうやら台風は無事過ぎ去ったようで風もさして強くない。雨のおかげでちょっと涼しくもなったし過ごしやすい気温になったかもねと、のんびり歩いて帰還した。