4月24日(火) あんかけスパに始まり、あんかけスパで終わる

今日もモーニング〜「コーヒーハウスかこ」

名古屋の朝はやはりモーニングなのであった。普段は「朝御飯は白い飯がいいなぁ」と言っているだんなも、この旅行では3日連続パンを食っても文句1つ言わない。
ホテルのそばに、コーヒーの美味しい喫茶店があるらしい。朝7時半からモーニングサービスもやってるとのことで、最後の朝をホテルから徒歩1分のそこで過ごすことにした。

コーヒーの良い香りが漂うお店の床は渋い木製。カウンター席の他にはテーブル席が20席分はあるかという感じの喫茶店だった。入り口そばの円形ソファの席に座り、メニューを眺める。朝は飲み物全てにトーストがついてくる。250円足せば、トーストがハムサンドになったり、ハムエッグが追加されたり、フルーツの盛り合わせが追加されたりする。

私はアッサムティにトーストとハムエッグ、だんなはブレンドコーヒーにハムサンド、息子はアイスココアにトースト。しばし待つと、ポット入りのお茶とトーストがやってきた。たっぷりのバターが塗られたちょっと薄めのトーストが1人1枚。だんなのハムサンドは、レタスも挟まった凝った感じのものだった。ふわんとしたパンにハムと野菜が優しく挟まれている。ハムエッグにはトマトやキュウリの乗ったサラダもついてきた。うーん、いいわー。モーニングセットだわー。

中村区名駅南「コーヒーハウスかこ」にて
アッサムティー
+ハムエッグのモーニングセット
\500
+\250

味噌煮込みうどん、リベンジ〜「中村屋総本家」

今日もだんなはお仕事だ。朝食の後、仕事に向かっただんなを息子と一緒にホテルから送り出し、しばし部屋でごろごろごろ。町の店が開き始める10時半近くになってゆるゆるとチェックアウトした。1泊8200円は前払い。サービス料なし、税金は別。あとは電話代だけ。良いホテルでございました。

だんなの仕事が終わるまで息子と2人。天気はあまり良くなく動物園という感じでもない。「本山」にあるという、私の大好きなポストカードデザイナーの人のお店を覗きに行くことにした。まずは昼御飯、味噌煮込みうどんに再挑戦だ。本当はきしめんを食べに行く予定だったけど、本物の味噌煮込みうどんをちゃんと食べないままで帰ることはできまい。

本日目指したのは「中村屋総本家」。栄の駅を降りて裏通りに入り歩くこと5分ほど。古くさい暖簾のかかる、小さなビルの前に辿り着いた。時間は開店直後の11時5分。客は1組の男性客がいるだけだった。ベンチになっている木製椅子のテーブルについて、「名古屋コーチン入りのが食べたいのですが」と尋ね、"かしわ"と"親子"の2種類があるとのこと。親子をいただくことにした。しばし、待つ。

ほどなく、グラグラと煮えたった汁が脇からこぼれんばかりの土鍋がやってきた。穴のない蓋は昨日と同じ。黒々としたスープには生卵が1個落とされており、中にはうどんと名古屋コーチンの他、長ねぎや油揚げ、かまぼこなどが味噌色に染まって沈んでいる。そうそう、この濃厚な味噌の香り。これこそ味噌煮込みうどんだ。

一口啜ると、あまり甘さは感じられない。見た目よりもさっぱりとした、飲みやすいスープだった。コクはあるけどくどくなくて、私のような赤味噌初心者(←どんなだ)でもズルズルと飲める汁だ。うどんはかなり歯ごたえのある、縮れのないまっすぐな麺。固いけれどもコシが凄いというものとは違う、歯を押し戻すことなくプツンプツンと切れていくという感じだろうか。讃岐うどんのような伸びます伸びます、みたいな食感ではないけれど、濃い味噌味のスープには案外とこういうのが似合うのかもしれない。もちんもちんとした強いうどんだ。

人が美味しく食べている脇から、息子が「ちょうだいちょうだい」と催促してくる。いつもは椀1杯分も与えれば満足するくらいであるのに、今回に限っては「もっと、もっとちょーだい、スープもちょーだい」と大騒ぎだ。結局麺を7割ほどとスープも4割ほど彼に持って行かれてしまったのだった。ああ、こうなるのなら、味噌おでんと御飯も注文すれば良かった……と思っても後の祭り。そうか、美味しかったか息子よ。良かったねぇ……(泣)

中区栄「山本屋総本家」の
親子味噌煮込みうどん
\1200

雨の中の散策

予報どおり、昼食後にいよいよ雨が降ってきた。ポツリポツリとした雨の中、別に傘を買う必要もないかと傘なしで「本山」へ向かう。地下鉄で栄から6駅。

「本山」は予想外にあまり何もない、住宅街然としたところだ。徒歩5分ほどのところに「7days card」というショップがあるらしい。花の写真をモチーフに規則正しく並べたシックなカードや、色味の違う青いラインがただ何本か引かれただけのカード、「おめでとう」と大きく赤い文字で描かれただけのカード。銀座の文房具屋などで売られているそのカードには「7days card」という名前が小さく入っていた。どうやらデザイナーは名古屋在住の人であるらしかった。その専門ショップがあるというのだから、行ってみたくもなる。日曜も月曜も定休。しかもオープンは13時からだというその我が儘な店を探す。……が、どこにもない。あると思われる通りは間違いなく、目印の他のビルまで見つかるのに、そのショップは見つからなかった。雨はどんどん強くなる。仕方なく、無収穫のまま駅へ戻り名古屋に帰る。折しも、だんなも仕事を終えて名古屋駅に戻ってきたところだった。

午後2時過ぎ、めでたく仕事を終えただんなと合流。
「味噌煮込みうどん食べたの。喉が乾いたのー」
と会った早々訴えかけ、駅ビルの上のレストラン街へ向かう。駅ビル「セントラルタワーズ」の12階には「インドアガーデン」なる、花や樹木がわさわさ植えられているコーナーがある。屋内であるのに緑がいっぱいの空間はちょっと不思議な眺めだ。ガーデンを囲むように並ぶ喫茶店群の中から奥まったところにある1軒を適当に選んで入店。お茶だけにするつもりが、思わずマンゴーソースのかかったココナッツミルクアイスなんか喰っちまったりなんかして。

ココナッツの匂いが濃厚なこってりしたアイスに、これまたこってりした感じのマンゴーソースがたらんとかかっているデザートを皆でつつく。

名古屋駅ビル セントラルタワーズ内「potager cafe」にて
ココナッツミルクアイス
アイスティーオレ
\400
\400

元祖あんかけスパ〜「ヨコイ」

私たちの名古屋旅行は、あんかけスパにはじまりあんかけスパで終わる。別にそう決めていたわけじゃなかったけれど、結果としてそんな感じになりそうだ。
名古屋最後の御飯は(って、3時間ほど前に昼御飯を食べたような気がするけれどそれは忘れる)、あんかけスパゲッティーの始祖、「ヨコイ」だ。栄駅を降りて歩いて4分ほどの小さなビルの2階にある住吉店を目指す。

午後3時過ぎて、客はほとんどいない。なんとなくステーキ屋を思わせるような店内のどこかに違和感を感じて天井を見やると、ちょっと場違いな青い花柄の壁紙と目があった。花柄天井のスパゲティー屋なのだった。
店員の茶髪のおねえちゃんたちが暇なのか単に子供好きなのか、やたらと息子にかまってくれる。注文を取るやいなや、「おいでおいでおいで〜」と息子を手招き。"高い高い"などして遊んでくれる。

はしゃぐ息子を横目にして待つこと数分、あんかけスパがやってきた。私は「ミラカン」、だんなは「ミートボール」。私のは真っ赤なウィンナーとベーコン、ハム、ピーマン、マッシュルーム、玉ねぎを炒めたものが、炒めた麺の上にかかっている。周囲にはあの独特なとろんとした赤いソースだ。だんなのは、ミニハンバーグ3個と目玉焼きが乗っていた。同じく周囲には赤いソース。ああ、これが元祖の貫禄か。伝統の味か。

胡椒の粒々らしき黒い点々が混ざるソースは、日頃愛用しているレトルトパックのソースとほぼ同じ味。ピリリと辛さがあり、ほんのりとした甘さがある。ケチャップのようでケチャップでなく、ドミグラスソースのようでドミグラスソースではないソース。真っ赤なウィンナーとたまらなく似合うソースだ。
フォークで麺をくるくると巻き、赤いソースをたっぷり絡めて食べる。太い麺はもちもちとして、茹でた後にしっかり炒められているような締まった味がする。

スパゲッティーには、小さな木皿に乗ったサラダもついてくる。千切りキャベツのマリネに懐かしいような味のポテトサラダ。

初日に行った「チャオ」には「チャオ」の良さがあって「ヨコイ」には「ヨコイ」の良さがあった。名古屋においては漫画喫茶ですら、供されているあんかけスパなのだ。町を歩いていると、他にもあんかけスパ屋がいくつかあった。洋食屋さんらしき店頭でも「今日のランチ:帆立のスパゲティー」と飾られたその見本はどうみてもあんかけスパであったりした。もっと食べ歩いてみたかったなぁ、あんかけスパ。

中区栄「スパゲティ・ヨコイ」住吉店にて
ミラカン
\900

ヨコイには、なんとギフトセットもある。お店メイドの太い麺やソースのレトルトパックを作っているヨコイだからして、各種麺やソースのセットが売られているのだ。単品も可能。
日頃お世話になっている地方に住む友人たち用にギフトセットをいくつか買い込み、ついでに我が家用の麺やソースを買い込んだ。
って、だんな、なんで我が家用の麺が3kgもありますか?その3kgどうやって持って帰るのですか?

駅弁もお土産も名古屋風味

帰りは午後5時半の新幹線ということになった。幼児がいるゆえ、指定席をきちんと取って並び席で帰れるように手配する。

出発までの1時間は土産物探索だ。
まずは「グラマシーニューヨーク」のホール\1500のニューヨークチーズケーキ。自分の分と、だんなの実家へのお土産分と。ういろうは「青柳」よりも「大須」の方が旨いらしい。生ういろうというのも売られてはいたが、私はあの昔ながらのビニールにくるまれているやつが好きなのだ。"さくら"と"しろ"が私の好物。

また、高島屋の地下には「なごや菓じまん」なるJR東海が運営しているらしいお茶目なお菓子屋さんがあった。人形焼きの名古屋版「しゃちほこ焼き」はキュートなしゃちほこの形状をしており、あんことカスタードの2種類、1個90円。チョコやカスタードなどのクリームが詰まる「えびふりゃ」なる海老フライに良く似た菓子や、チョコ味の「みそかつ」なんてものまであったりする。どれもそれなりに美味しそうで思わずいくつか購入。ういろうが巻かれた「ういろーる」なんてスポンジケーキまである。

「山本屋総本家」で味噌煮込みうどんも買った。マーケットやデパ地下を回って味噌ソース各種も入手した。我が家で良く使う焼き肉のタレ「赤と黒」のシリーズに味噌味があるなんて私は知らなかった。当然購入。

出発まで40分。少々時間が余ったのでデパート内の甘味喫茶で最後の休憩。
昼11時に味噌煮込みうどん喰って、その4時間後にスパゲッティー喰って、その1時間後に喰うもんじゃないよなー、と思いつつ白玉ぜんざいなんか喰ってたりして。

出発まであと15分。
「駅弁、買う?」
とだんなへ尋ねた私の心境は、"まさかこの期に及んでこれ以上喰ったりしないよね?"という確認だったはずだ。
しかし、返ってきたのは
「……やっぱりチキンカツ弁当だよなぁ……」
という非情な一言。しかも味噌ソース。だんなはまだまだやる気だった。

後から聞くところによると、彼は彼で"おゆきさん、まだ喰う気なのか……"と思っていたのだとか。お互いそう思ってんなら、「じゃあ私はひつまぶしね」とか会話を続けなければ良いのである。何故2つの弁当ぶらさげて電車に乗るのか。2時間前にスパゲティー喰っておいて。

名古屋を出た"ひかり"は、浜松と静岡に停車して東京へ向かう。静岡に到着する少し前、バサバサとビニール袋を開いておもむろに弁当を喰い出す私たち。
茶色い御飯に短冊に切られた鰻がみっしり並ぶひつまぶし弁当。タレの入った小さな容器と別添の刻み海苔がついてきた。まぁまぁ旨いけど、でも、刻み葱とワサビと熱いだしが無ければひつまぶし弁当はひつまぶし弁当として完成しないのではないか。

「そのお茶かけたら、ちょっとはそれっぽくなるかなぁ……」
とだんなの飲む熱いお茶のパックを眺めながら言うと、
「いいじゃない?かければ?」
と快い返事が返ってきた。……やっぱ止めとく……。

かくして午後7時半着の東京目指して、新幹線はずんどこ進んでいくのであった。
4日間で喰ったもの。
あんかけスパ×2・味噌煮込みうどん×2・ひつまぶし・味噌かつ丼・天むす・手羽先・イタスパ・小倉トースト・モーニングセット・モーニングサービス(←これって食い物でいいのか、はたして)。
ああ、ラーメンのスガキヤは行けなかったし、そういえばきしめんは食べ損ねたし、台湾ラーメンなんて名物もあったのであった。まだまだ名古屋攻略は遠き道のりになりそうな予感。日本モンキーパークや東山動物園にも行ってみたかったし。