7月16日(日) 青島で海水浴

焼酎が待っていた青島海水浴場

息子の夏休みが始まって、今年の夏は宮崎に行ってみることにした私たち。宮崎滞在は3泊で、当初はシーガイアリゾートあたりにずっといようかと話していたのだけれど、海水浴も良いねということに。シーガイアから空港を挟んで反対の方向にある「青島海水浴場」なるところは、古き良き海水浴場といった感じでなかなか良いらしい。海水浴場の至近にいくつか宿があったけれど、海の日連休ということで案外とどこも混雑している。寸前になんとか予約が取れた昔ながらの温泉ホテルに1泊することにした。

朝早い便の飛行機で乗り込み、午前10時前に無事に宮崎空港に到着。ほどなくやってきた路線バスに乗ってまずは今日の宿を目指した。チェックインの時間には早かったけれど、清掃中の大浴場の更衣室を貸してくれたので早々に水着になって砂浜に向かう。
1週間前の天気予報では雨マークがついていた宮崎の今日の天気。ご覧のとおり、着いてみれば青い空にほんのわずかな雲、照りつける夏の太陽。そして気温は37度……。

目指すビーチはあの橋の向こう側 かつて宮崎に住んでいた方の話によるところでは、
「海は綺麗だけど、何しろ混雑するから……東京あたりで言うところの、江ノ島みたいな感じかなぁ?」
というのが青島海水浴場なのであるらしい。

江ノ島の1/2か1/3かくらいの大きさと思われる「青島」なる可愛い島がビーチのすぐ脇にあり、観光でそこに訪れる人あり、水着姿の海水浴客あり、といった雑多な雰囲気は確かにほんのり江ノ島っぽい。子供連れの海水浴客で混雑していたけれど、でも砂浜も海もとても綺麗で食べ物や飲み物の価格もおおむね良心的。久しぶりの海水浴はたいそう楽しかった。

「うみーーーーーっ!」
子犬のように鼻息が荒くなった息子は、パラソルを借りてゴザを敷く間も惜しむように水着になって、
「ちょっと、ちょっと見てくるねー!」
まだ浮き輪も膨らましていないというのに波打ち際に走って行った。急いで私たちも準備して、浮き輪も膨らませて息子の後を追いかける。

折しもこの連休中は、この海岸で「青島サマーフェスティバル2006」なるイベントが開催されているところだった。昨日今日とイベントが続いているようで、今日はビーチバレーボール大会がビーチ入り口で催されていて、他にも「うなぎつかみ取り」(捕獲できた鰻は蒲焼きにしてくれるそうだ)や「スイカ割り大会」「日向夏ジュース一気飲み大会」など、色々と大変なことになっている。第二会場が今日の宿泊ホテルのすぐ脇にあって、そこでは夜に様々なショーや打ち上げ花火も予定されているらしい。

このイベントのおかげなのか、生の地ビールを販売していたり、食べ物メニューもあれこれあったり、とても良い感じ。ひとしきり遊んだ後で
「じゃ、ビール買って来ようかね」
とだんなが売店に向かってくれた。手には「霧島ビール」のゴールデン、アンバー。速攻2人で飲み干してしまい、直後に
「じゃあ、もう1種類地ビールあったからそれも買ってくるねー♪」
と再び売店に向かっただんなは、スタウトと共に小さな紙コップも持ち帰ってきた。無料で焼酎がふるまわれていたらしい。大きな氷をガツガツ砕いて、霧島焼酎を水割りにしてくれたのだそうで、手にはおつまみにぴったりな「鶏の炭火焼き」♪♪♪

宮崎料理、これまで知っていたのは「冷や汁」と「チキン南蛮」くらい。「鶏の炭火焼き」(殊に「地鶏の炭火焼き」)が美味しらしいと知ったのは、出発の直前だった。滞在中に食べられるかなー、食べられるといいなー……と思ってはいたけれど、海水浴場で早々に食べられるなんて、ちょっと嬉しい。

炭火の上にでっかい網を置き、クマデのような形状のヘラを繰りつつ鶏を塩味炒めにしたものが「鶏の炭火焼き」なのであるらしい。野菜などは加えられず、ただただ肉のみというのがスタンダードな有り様のようだ。食べた場所によって微妙に肉の大きさは違っていたけれど、おおむね一口大から、それよりちょっと小ぶりな感じに切られている。柚子胡椒を添えてくれたりもする。レモンが添えられていたりもする。なんてことない塩味炒めなはずなのに、これがもうどこで食べても美味しかった。どこで食べても好みな味。海水浴場で食べた1パック500円(プラスチックの焼きそば入れるようなパックに、みっちみちに詰めてくれて500円)の炭火焼きもうっとりするほど美味しかった。しかも片手に焼酎水割り。こんな幸せがあって良いのでしょうか、神様。

「……いいねぇ……」
「めっちゃいいねぇ……」
フライドポテトをほんの少し口にしただけで、「じゃ、遊んできますっ!」と再び海にすっとんで行ってしまった息子を眺めつつ、大人2人は炭火焼きをつまみつつ飲んだくれる。他には焼きそばやフランクフルトも軽く食べて、酔いが軽く冷めて休憩したところで、再び全力で皆で海遊びした。遠浅の遊びやすい浜で、波打ち際から200mくらいは子供でも背が立つ感じ。昼前に満潮を迎えたらしい浜は、午後にはおっそろしい勢いで波打ち際が後退していった。

結局、焼酎ロックはだんなと2人で計3杯空にした。日に焼けて火照った体に水割りが実に実に美味しくて、そう薄くはないのにすぐに飲み干してしまう。水遊びの疲れと日焼けした疲労と焼酎の酔いがあいまって午後にはすっかり疲れ果ててしまい、ホテルのチェックインタイムを待ちかねるようにしてホテルに戻る。はー、疲れたー。

温泉ほこほこ〜「青島観光ホテル」

予約した青島観光ホテルは、建物は少し古い感じがしたものの、部屋は広くて青島も良く見え、良い感じ。大浴場が1階にあるにも関わらず部屋にも小ぶりながら浴室がついていて、しかも浴室のお湯の蛇口をひねっても温泉独特の硫黄臭さが漂ってくる。ヌルリトロリとした触感のあるお湯はアルカリ性の源泉なのだそうだ。大浴場も楽しみだねーと話しながら、水着のままビーチから帰ってきてしまったのでとりあえず部屋のシャワーを浴びて着替えて一休み。

朝と夜で男女が入れ替わる大浴場は、大きな1つの浴槽だけがある洋風のものと、露天風呂、檜風呂、五右衛門風呂といったちょっと面白いお風呂があれこれ揃った和風のもの。宿泊日の夜は女風呂が和風で、翌朝に洋風に暖簾が入れ替えられていた。息子はだんなと夕方洋風風呂に行った後、夕食後に今度は私と一緒に和風風呂も探検して、満足げ。翌朝には「やっぱり和風がたのしいなー」とだんなと一緒に再び和風風呂に行っていた。

んが、これだけ楽しいお風呂なのに(ちゃんと硫黄臭い温泉なんて実のところ久しぶりだった)、肩も背中もヒリヒリする。熱い湯には浸かっていられないほどにあちこち痛くて、ホテルの人にまで
「あらー……焼けましたねぇ。それは痛いでしょう」
と言われてしまうほどの一同の焼けっぷり。……ちょっと気合い入れて遊びすぎたね……。

いかにもな温泉夕食? それでも気持ちよかった入浴の後は、食堂で夕御飯。宿泊プランを「地鶏の鉄板焼付プラン」なるものにしてみたところ、もう、すっごい量の夕食となった。多分、「地鶏の鉄板焼付なしのプラン」の夕食に、そのまま「地鶏の鉄板焼」をつけたものなのだと思う。

チェックイン時に指定した時間きっかりに食堂に行くと、天ぷらと茶碗蒸し、御飯と吸い物以外の全ての料理が既にテーブルに並べられていた。大きな盆に並べられた各種料理の両脇に、更に固形燃料がセットされた鉄板(鶏の鉄板焼き用)と鍋(寄せ鍋……)が1個ずつ。いかにもな内容の食卓に
「……こういうの……久しぶりだねぇ……」
と笑ってしまいながら生ビールもらって楽しくあれこれ箸を伸ばす。

献立は
 鰻ときゅうりの酢の物
 茶碗蒸し
 刺身(鯛・ハマチ・イカ)
 マグロのカマと野菜の甘辛煮
 地鶏の鉄板焼き
 焼き鯖
 天ぷら盛り合わせ(海老・茄子・かぼちゃ・オクラ・ししとう)
 寄せ鍋
 御飯・吸い物・漬物
 スイカ

といった感じだった。マグロのカマの煮物は甘くホロホロと脂が乗っていたし、好みな具合に焼いて食べることができた鶏の鉄板焼きも良かった。熱した鉄板の上で一口大の肉をジャージャー焼きつけて、味は塩胡椒とレモンだけ。肉に添えられたきゅうりとキャベツを適当に生のまま囓りつつ、肉を焼いてはビールと共に口に運んだ。歯ごたえのある地鶏、旨味があってとても美味しい。

しかし……量が多かった。とにかく多かった。私はたいがい大食らいだけれど、それにしても大変な量だった。
結局、だんなはなんとか完食したものの、私は焼きものと揚げ物、鍋ものと御飯を食べきることはできずにリタイアしたのだった。ああ、デザートのスイカが美味しいなぁ。

息子には子供用ということで、お子さまランチがやってきていた。海老フライ、大きなハンバーグ、唐揚げ、ナポリタンスパゲティ、サラダ、そして山盛りの御飯。更に「チョコまん」なる肉まんサイズのチョコレート色のお菓子と、オレンジが1/2個。これまた、「お子さまランチ」と銘打ちながら大人用のランチセットでも充分事足りるようなボリュームだったのだけれど、息子は大変に空腹だったらしい。昼にろくも食べず、私とだんなが交代で休憩を取っていたのにその間ずっとずっと遊びまくっていた今日の息子だ。おかずを平らげ、御飯も全て平らげ、
「……チョコまん、さすがに多くない?部屋に持って帰って後で食べたら?」
なんて言っていた私とだんなの目の前でチョコまんも平らげてしまった。もちろん果物も完食。

花火だー! 完食したとはいえ、私同様大変に腹一杯になってしまったらしいだんなと、同じく大変に腹一杯になってしまった私は、既に布団が引かれていた部屋でしばしごろごろ。息子もごろごろ。背中はまだまだ痛かったけれど、でも息子と2人でもう一度お風呂に行って、そして「青島サマーフェスティバル2006」の夜の部を近くの会場に見に行った。ちょうどステージには女性歌手が来ていて歌を歌っている最中で、周囲には出店もいっぱい。当然のように「鶏の炭火焼き」の屋台もあって、当然のように霧島焼酎のふるまい酒がここでも催されていた。息子にかき氷1つ買ってやって(250円で超大盛りよー)、私は焼酎1杯もらって、それを持って部屋に。誰もいなくなった部屋で、だんなは1人大爆睡中だった。

そして夜9時半に、イベントを締めくくる打ち上げ花火。
ホテルのすぐ裏手に上がるというから、運が良ければ見えるかなー?なんて思っていたのだけれど、部屋の屋根に端が隠れてしまうほどの至近距離にぼっかんぼっかん打ち上げられて、大変な眺めの良さだった。あまりに近すぎて、いつもの花火の「ドーン」という音ではなくて、火薬が飛び散る「パンッ」という破裂音が衝撃波と共にやってくるような感じ。

期せずして花火見物ができてお祭り気分も存分に味わえて、海遊びもとても楽しくて、宮崎旅行は初日から幸先が良いなぁ……と思いながら就寝。