12月3日(日) あたりや・谷川・長田など

老舗のセルフは不味かった〜高松市「かな泉セルフ店」

朝7時起床。うどんの国3日間の旅も今日が最終日だ。
気合いを入れて、朝からうどん屋巡り……といきたいところだけど、朝7時からやっているうどん屋というのはあるようで無い。しかも今日は日曜日。大概のうどん屋の定休日は日曜日なのだ。これは本日、かなり厳しい戦いになりそうだ。

うどん本をぺらぺらと捲りながら昨夜検討した結果、ホテルから歩いても行ける距離にある「かな泉」のセルフ店を目指してみることにした。先日そごうデパートの上の「かな泉」で食したざるうどんは確かに美味しかったからだ。そのセルフ店であるならばその麺は期待できるんじゃないか、そんな気がした。

今日の前途を暗示しているのか、外は小雨だ。歩いていくのはちと辛いくらいの微妙な小雨。仕方がないので歩きの予定を車に変え、そろそろと雨の中運転していく。日曜の朝の路上は車も人もまばら。店の前の裏通りにこっそり路駐し、セルフ店に駆け込んだ。

「かな泉」かけ・小 扉を入りすぐ左がうどんの棚。既にどんぶりに1玉2玉のうどんがそれぞれ盛られている。上段にあるのが「しんぐる」(1玉)下段が「だぶる」(2玉)であるらしい。それを各自取り、そのすぐ横の鍋とザルでうどんを自分でゆがく。その上の棚には揚げ物類が並び、コーナーを曲がると総菜系も揃っている。煮込み系や冷や奴など、あまり見ない類のものも中にはあった。だしは背後の巨大タンクからいくつも出ている蛇口を捻って注ぎ込む。わかりやすい場所に鰹節と葱、生姜。全てが流れ作業ですんなり進めるようにと見事なシステムになっていた。
私はこの旅行初めてのきつねうどんに挑戦。甘辛く煮られた油揚げを1枚、ゆがいたうどんの上にぺろんと乗せる。おあげは1枚、50円。だんなはすき焼きにも似た牛肉と玉ねぎの甘辛煮を一皿貰っていた。こちらは1皿200円。
薄い色のだしである。旨味は充分、良く取れているだしだけれども何となくいまひとつ物足りない。甘辛く煮染めたおあげを入れると少々甘ったるくなってしまうけど、それで丁度良い案配になるくらい。

そして、問題はうどんだ。うどんはゾンビだ。ゾンビのうどんだ。茹でて水で締めた後、しばらく放っておかれたと思われたそのうどんは簡単に舌で噛み切れる。歯じゃなくて舌だというのがポイントだ。このような、放置されたうどんを俗称「うどんのゾンビ」と言うものらしい。やわやわとした、コシもなにもないうどんに私たちがっくり。これならそのへんのスーパーのビニール袋入りうどんと一緒じゃないの。午前7時からやっている店に開店40分後に入ってこれである。もしかしてこれは昨夜打ったうどんなのだろうか。他の本店支店の残り物とか??

少々(かなり)トホホとなりながら再び宿へ。荷物をまとめていざいざ出発。午後4時の飛行機までに、どれだけ今日は食べることができるのだろうか。

「かな泉」システマチックな店内

07:40 高松市「かな泉セルフ店」にて
しんぐる
あげ
\160
\50

迷う、迷う、迷う〜高松市「穴吹製麺所」

日曜日かつ最終日の本日のターゲットは
「行きたかったけど行けてなかったところ。かつ、日曜日でもやっているところ。」
である。営業時間とお互いの距離とタイムリミット、様々考慮して、高松市の店を午前中回りまくることにする。

「穴吹製麺所」、ここは高松市の外れにあって、日曜日にも営業しているらしい。しかも営業時間は午前8時からとこれまた今から行っても丁度いい。まずはここを目指してみることにした。

わかりづらい場所のうどん屋、数あれど、これまたわかりにくい場所である。
詳細マップを見ても細かい路地が入り組んでいて、はっきりと「何本目の道路」と確認することができない。そもそもこのエリアには車も入って行けなさそうだ。あっちをぐるぐるこっちをぐるぐるしながら、製麺所らしき建物を車窓から探す。と言っても「うどん」なんて親切な看板を出してくれてるなんてことは期待できないので「何だか車がたくさん出入りしている」だとか「プレハブっぽい建物が見える」とかその程度しか目印となるものは存在しないのだ。ああ、どこにあるの「穴吹」。

車の窓から振り返るようにしながらゆっくり進んでいくと目の端に2階建ての高さのプレハブ小屋が翳めた。これか!?
車を休業中らしき工場の前に止めて歩いていくと、プレハブの2階部分に消えかけて消えかけて結局消えてしまっているような文字でうっすらと「穴吹精米所」と書いてある。入っていいのか悪いのか良くわからないようなサッシを開けて「食べられますか?」と聞く。

「はーい、いいですよ。脇から回って。」
とおっちゃんの声。目の前は確かに作業場然としている。これは失礼しました、と一度外に出て建物に沿ってぐるりと回る。建物サイドのガラス戸の向こうには、確かにテーブルや椅子がちんまりと並んでいた。でも普通に歩いていたら絶対気が付かないようなテーブルであり椅子でありガラス戸である。小雨の降る中、客は他に誰もいない。

「穴吹」かけ・小 「熱いんの?冷たいんの?」
の声に「熱いのと冷たいの1玉ずつ下さい。」と答える。即座に出てくる麺入りどんぶり。ガラス扉の小さなケースの中にはいなり寿司とおにぎりが入っている。どこを見ても値段表は無い。テーブルの上には大きな両手鍋に満たされた黒々としただしと、ボウルに入った刻み葱、生姜や胡麻。それぞれが無造作にごちゃっと置かれている。更に揚げ物やちくわ、油揚げなどもやっぱり無造作に置かれている。テーブルはそれらでごちゃごちゃといっぱいになっており、それを手でちょいちょいと奥に押しやりながら自らのどんぶりを置く。桜海老の入るかき揚げをだんなも私も1個ずつ乗せ、代金は全部で360円。

濃い色のだしは、だしの香りよりも醤油の味が勝っている感じで、味はなかなかに塩辛い。私はこういうのもまぁ悪くはないと思うけど、だんな曰く「美味しくない」。
麺はびよーんとしている。コシよりも喉ごしの良さで喰う、という感じ。ずぞぞぞぞ、と抵抗なくすすれる麺だ。でも……あんまり美味しくない、ような気がする。気がするだけかもしれない。もの凄く見つけにくいところ苦労して来たから期待がいつもの五割増くらいになっているのかもしれない。でも……それでもあんまり美味しくない。

「がーん。」
「……次行こうか、次。」
私たちはそそくさと店を後にした。

09:50 高松市「穴吹製麺所」にて
かけ(小)
天ぷら
\100(多分)
\80(多分)

その雰囲気は民芸調〜高松市「大島製麺」

『恐るべきさぬきうどん』に掲載は無かったお店だが、「ヘルシーわかめうどん」がおすすめだという「大島製麺」なるところに行ってみることにする。日曜営業で、午前の早めからやっていて、今日の最大目標「あたりや」の近くにあった、というのがポイントであった。

やや太めの街道沿い、「うどん」の看板もなかなか目立つ木造店舗である。民芸調とでもいうべきか。熊が鮭くわえた木製像が似合ってしまいそうな、そんな感じの店だ。入ると右にカウンター。「かけ」とか「釜あげ」など種類と玉数を注文し、そして中央に位置する鍋の湯にてうどんをゆがく人はゆがく、脇にかかっている鍋でだしも注ぐ、横のおでんを取る人は取る、カウンターの揚げ物を取る人は取る、そしてお勘定、という感じだ。うどんの玉を貰う以外は全部自分で行わなければならない、セルフ度"高"のお店であった。こういうの、楽しいので大好きだ。

残念ながら、うっすら緑色をしているという名物「わかめうどん」はまだ出来ていないということだったので、「かけ」を堪能することにする。玉を貰ってお湯でちゃぷちゃぷとゆがき、私は巨大な巨大なゲソ天を、だんなはおでんの牛すじを1本つけてもらった。奥の四角い木製椅子に腰かけて、横の水槽の金魚なぞ眺めながらうどんを啜る。店は近所に住んでいるらしいおばちゃんらが数人おり、
「玉5ツちょうだいねー」
「あいよー」
なんて会話が交わされていたりなんかして。

「大島製麺」かけ・小 ごくごく普通のだしに、ごくごく普通の麺、というやや印象の薄いうどんだった。コシもなくはなく、あるというほどもなく。いりこの香るだしは、さっぱり薄味の飲みやすいものだ。巨大な巨大なゲソ天は、衣だけの見せかけじゃなくて中も本当に巨大。噛み切ろうにも噛み切れない。ふぬぬぬぬ、と箸と歯で格闘していると衣がずるりと脱げてくる。一本調子では歯が立たない手強いゲソ天なのであった。旨味があって美味しいけど、柔らかなのに味があった「宮武」ほどの魅力もなく、なんとなく全体的に中途半端な印象だ。

決して不味いわけじゃないのだけれども。もしかして、香川滞在3日にして私たちは生意気なのでしょうか。すみませんすみません。
とりあえず自分の舌を確かめるべく本日のメイントピック「あたりや」に向かいましょう。

10:15 高松市「大島製麺」にて
かけ(小)
げそ天
\150
\100

パチンコ屋に通っちゃうよ、もう〜高松市「あたりや」

というわけで本命「あたりや」である。何でもすごいところにあるうどん屋なのであるらしい。
「パチンコ パーラードリームの地下」。
パチンコ屋である。しかも地下だ。特にパチンコ屋とは関係のないうどん屋であるらしい。何を好きこのんでそのような地に開店しているのであろうか。謎である。更に、ものすごく旨いらしい。ますます謎である。謎な店は行かなければいけない。

車をパチンコ屋の駐車場に乗り入れて、地下にも続く駐車場へ徒歩で降りていく。地下と言っても、こちら側から見ると地下ではあるけど土地の傾斜によってあちら側からすると地下ではなく1階だという構造だ。曇り空の下、駐車場の隅にプレハブが立っている。目の前はたんぼだ。プレハブの中からはずらりと10人ほどの人の列が出来ている。

小雨がパラパラ降ってくる中、じっと耐えて並ぶ。のれんの隙間から見える店内はかなりの混雑。看板のメニューの文字を追っていくと「あつあつ」「ひやひや」のフレーズが並んでいる。待ってようやく、カウンターごしに注文。
「ひやひやの小、2つください。」
とどんぶりを2ついただく。既に葱もだしもかけてくれている。それを持ってうやうやと移動し、脇のケースから天ぷらやフライものなどのトッピングを適宜乗せ、席につく。席はテーブル席の他座敷もある。どこもかしこも人だらけ。
お会計は自己申告制で出る時に支払うようになっている。

そろそろ腹がくちくなっていた。つまり腹一杯になってきた。揚げ物は……多分止めておいた方が今後のためだろう。巨大なゲソ天が美味しそうだ。さっき食べるんじゃなかった、と思っても後の祭りである。だんなはちくわの天ぷらを乗せてきた。これを分けてもらうことにしよう。

「あたりや」ひやひや・小 程良い褐色の、透き通った美しいだしに少々捻れのある麺がピシッと入っている。見るからに旨そうだ。3日食べ続けていると、美味しいうどんというのは見かけもピシッピチピチッと締まりがあるのだと気がつく。何となく全体に"俺は旨いぞ"オーラが出ているのだ。このうどんも、そのオーラ出しまくりである。

だしはすっきりキリリとした、とても良い具合の味だ。締まりのある味。「ひやひや」には本当に冷えているキリッとした温度のだしがかかっている。それがまた嬉しい。適度な旨味と適度な塩気。だしからして軽く一気飲みできる美味しさだ。

そして麺だ。若干不揃いな印象もある、どっしりとした太さの捻れのある麺はコシもまたどっしりとしている。歯を押し戻すような弾力のある、固めの麺だ。めちゃめちゃ好みの弾力だ。歯と舌と喉を刺激しながら胃袋へ直行する麺である。
そして、青海苔まぶして揚げてあるちくわ天がまた懐かしい味でいけるいける。だんなから奪ってもりもり食す。主張のあるだしに麺、組合わさったら更に主張が強くなって何とも幸せな1つのうどんになるのであった。お代は1玉250円。ちと高めかもしれないけど、これでこの味だったら通いたくもなる。舌と喉に快感の魅惑的うどん。もうダメだ、この店にはまりそうだ。

11:00 高松市「あたりや」にて
ひやひや(小)
ちくわ天
\250
\100

餅入れて食べちゃいたいような〜高松市「谷川製麺所」

高松市といえども、次なる店は市内の果ての果てである。
どんどこどんどこ山道然とした道を進んでいく。あっちをくねくねこっちをくねくね、すっかり周囲は風光明媚な光景になってきた。なんでもこのお店、タイミングによっては「イノシシで取っただし」なるものが出てくるところであるらしい。場所は詳細に地図でチェック、しかしまたもやわかりづらい。

「このへんか?」
「いや、これは民家。」
「もうちょっとかー?」
「あ、あそこに車がたくさん止まっている!」
「湯気だ!湯気湯気湯気!」
「あそこだ――――っ!」
気分は秘境探索である。周囲は民家、それしかないところにポツリと工場のような建物がある。中からは機械のガコンガコン言う音。既に5台ほど止まっている駐車場に車を入れ、ぐるりと回って入り口らしきところを目指す。

作業場、である。奥ではお兄ちゃんがわっせわっせとうどんを打ち、横の鍋ではうどんが茹だっており、水で締めたうどんをおばちゃんがちぎっては投げちぎっては投げ、簾にそれを並べていく。客の存在が無ければただの作業場の光景だ。そこを普段着の客が老若男女ずらりと並んでいる。

行列の人は無言でうやうやしくどんぶりを受け取り、そして出て行く。店の入り口付近には子供の遊び道具であるとか家財道具の一部であるとか扇風機であるとかがごちゃっと積まれていて、なんだかすごい状態になっている。こちらは民家の納屋、という感じ。

「何玉?」
と問うおばちゃんに「1玉ください」と言い、そういえば周囲は2玉喰ってる人ばかりだなと見渡してみる。しかし私ら、今日これで5玉目なんです1玉で勘弁してください。

水で締めたうどんを奥の鍋で他のうどんと一緒の湯でちゃっちゃと自分でゆがき、大鍋からだしを注ぐ。葱ふって外に出て、風光明媚な美しき紅葉を見ながらうどんを啜る。

こ、このだしは!!!

今回口にしただしの中では初めての、何とも様々な旨味が凝縮されているだしだ。それは例えて言えば、秋田のばあちゃんが作ってくれる、鶏肉や舞茸、人参や大根が沢山はいった雑煮のだしにも似ているのであった。ほんのり甘く、複雑な旨味が絡み合っている。こ、これは美味しい〜〜〜〜っ!
きっとうどんならずとも、焼き餅入れても絶対美味しい、そんな味。
かつおぶしの味、野菜から出たような味、多分肉から出た味、煮込まれてとても良い感じのスープになっている。いやん、美味しい。飲みきれないかも、なんてケチってないでもっと注いでくるんだった。

麺はコシの強さは普通タイプの、ツルツルツルツルーッとしたのっぺり系。濃厚なだしにさっぱり食べられるうどんという組み合わせも悪くない。ずるずるっとだしを啜ってはツルツルツルツルーッとうどんを食べ、そうして一気に無くなった。

……あ、写真撮るの忘れちゃったよ必死に食べちゃって。

「谷川」せめて店頭の景色なぞ

11:50 高松市「谷川製麺所」にて
かけ(小)
\120

たらいうどんがようけ出てました〜満濃町「長田」

さて、いよいよ高松市にサヨナラだ。車を高松空港通り抜けて西へ西へと走らせる。満濃町なる地域には「西の長田、東のわら家」と誉れも高い「長田」なるうどん屋があるらしい。ここを最高と褒め称える人もあると聞く。なんでも釜あげ一本勝負の店なのだとか。

30分ほど車を走らせ、やや大きな交差点の角に位置する店をなんなく発見。巨大な駐車場の奥に鎮座まします巨大な店。大きなのれんのかかる入り口からは客が溢れている。中も大行列だ。昼を過ぎた時間も時間だけど、この人の多さにまずびっくり。

大衆食堂然とした広々としたホールに人がみっちり詰まって、その全員がうどん喰ってる。壮観な光景だ。4〜5人ほどのグループ客はおしなべて「たらいうどん」なる巨大なたらいにうどんがたゆたう釜あげうどんを喰っている。店中からうどんをすする「ずぞぞぞぞ」という音。……うへぇ。

15人ほどの行列を過ぎて、食券を買う。オプションもここで「いなり寿司ください」などと申し出て金を払い、横のトレイから持っていく。お金を払うと「12」などと書かれた木札を渡され、それを持って席に座る。ほどなくお姉ちゃんが「12番のかたー!」とでかい声を張り上げてうどんを持ってきてくれるのだ。

「長田」ぶっかけ・小 テーブルには巨大な徳利に入るだし。刻み葱とおろし生姜の容器もある。お茶の入る巨大な薬缶もある。蕎麦猪口は、というと自分で食券売場のそばの棚から持ってこなきゃいけないらしい。茶碗もそこだ。茶碗と蕎麦猪口を持ってきて、蕎麦猪口に葱を入れてだしを注いでいたところでうどんがやってきた。

色の濃い、そしていりこの風味が濃いだしだ。甘さより塩気より旨味が秀でているだしだ。見かけの黒々とした色と異なり、案外と薄口のように思う。その黒々しいだしに葱をたっぷり放り込み、熱い湯につかっているうどんを持ち上げて放り込み、ずるずると啜る。良い香りのする、適度なコシのある麺だ。ツルンツルンと素直に胃袋に落ちていく麺。うん、悪くない。

続いてだしにガーリガーリとすり胡麻をたっぷり落として絡めて食べる。これまた悪くない。悪くないんだけど……何だかなぁ、流れ作業の工場で喰ってる気分。サービスが悪いとかそういうんじゃなくって、広い場所で人がぎっちぎちになって、店員のおばちゃんらが飛び跳ねるようにてきぱき動いているところで食べるというのはどうも落ち着かない。そう、学食か社食にでもいるみたいな気分になってくるのだ。

どんなに売場が混雑していてわかりにくくても、ちょっと外に出ると風光明媚な景色が広がる、のどかな場所で食したい。こういう場所だと、何だか「観光客ばっか」という気分になってくる。いや、私たちも実際観光客だから人のことは言えないんだけど。

13:00 満濃町「長田」にて
釜あげ(小)
\250

友人との邂逅

「長田」を出たのは13時半頃。近くに「宮武」があるので、もう一度是非食べたい!と車を走らせてみたものの、大行列で断念せざるをえなかった。15時には車を返して、16時10分発の飛行機に乗らなきゃいけないのだ。

15時直前に車を返して空港へ。
ここで、昨日ばたばたと電話して急遽お会いすることになった友人と無事に会うことができた。Web日記書き同士というつながりで今冬くらいからメールをやりとりするようになった方で、会うのは今日が初めてだ。この地に住み、うどんを愛するその姿は日記から常に滲み出ている。お互い食い道楽ということで「この酒が」「この料理が」と何かとメールを投げ合う、電子世界で出会った友人だった。

今夏にぱったり彼のWeb日記の更新が止まってしまい、ご機嫌伺いのメールを出すのも何となく躊躇したまま数ヶ月やりとりがパタリと止んだまま今に至っていたのだが、一昨日の夜にひょいとメールが飛び込んだ。「香川入りされたのですね。ご迷惑でなかったらミニオフでも。」と書かれた電話番号に思い切って電話をかけたら空港までいらしてくれるとのこと。広島の酒とドイツのワインを携えて、ひょろりと背の高い柔和な顔のおじさん……というより"青年"という感じのお方がやってきた。しばし、おしゃべり。

そんなこんなで搭乗時刻も迫ってきて、友人と別れた後に家族でソフトクリームを舐める。甘くて冷たいものは何だか久しぶりで、その美味しさに何だか感動。ごくごく普通のソフトクリームだったけど、なんだかすごく美味しかったのだ。
定刻にて午後4時10分発のANA便は高松空港を飛び立った。紅葉の美しい山がどんどん遠くになっていく。あああーさよなら「宮武」さよなら「山越」さよなら「がもう」。東京や関西のうどんに浮気しませんからまた是非近いうちにここに来させてくださいうどんの神様。

まとめ

「……で、どこが一番美味しかったの?」と聞かれると非常に困ってしまうのであった。
あそこのだしは独特で忘れがたいし、あのぶっかけもぜひまた食べたいし、さりとてあの絶品のコシも外せないだろう。うどんとだし、単純構成極まりないうどんのくせに、違いは山とあったのであった。

それでも無理無理ナンバー1を決めようとすると、こんな感じになっちゃうのである。

せりあ由紀的超好みなうどん屋……「宮武」「あたりや」
近所に是非とも誘致したいうどん屋……「うどん市場」
時折きっとものすごく食べたくなるうどん屋……「谷川製麺所」
しみじみと、忘れられないうどん屋……「山越」「がもう」

ああ、各店の味が舌に思い出されてお腹空いてきちゃったよ。また行こう香川。是非行こう香川。みんなも行こう香川。うどんが私を呼んでいる〜