12月6日(水) 葱ばっか!

朝ご飯を食べに行こう

福岡3日目。
だんなは「マクドナルドあたりで軽く喰ってくわー。」と8時すぎに部屋から出勤していった。昨日のホテル内\1500のブッフェ朝食にはやはり不満足だったらしい。私と息子はしばらくごろごろした後に「じゃあ今日は太宰府天満宮に行こう!」と身支度を整える。

太宰府へは天神までバスで出て、西鉄福岡駅から大牟田線に乗らなければいけないらしい。果たして午前9時前にファーストフード店以外で営業中の食事どころはあるのだろうか。とりあえずバスに乗り、繁華街に出てみることにしよう。

天神中心街からほんの少し外れた「アクロス福岡」なるビル、この地下に焼きたてパンを売るパン屋さんがあるらしい。朝8時から中のカウンター席でクラブハウスサンドイッチも食べられるということだ。朝御飯はサンドイッチに決定。

「市役所北口」なるバス停で降り、目の前の近未来的なビルに入る。吹き抜けのホールを地下2階まで降りると、奥のほうで確かにパン屋さんが営業中だ。近隣のサラリーマンなのか、スーツ姿の人がパンを買っては去っていく。なかなか人の入りの良いパン屋さんだ。カウンター席が7つほど、そこで店内のパンもサンドイッチも食べられる。

「プルネール」クラブハウスサンド ドリンクセットつきのクラブハウスサンドセットは530円。はちみつトーストセットは400円。これらを頼み、アイスカフェオレとオレンジジュースをつけてもらう。親子並んで朝御飯。
4種から選べるクラブハウスサンドは"ツナ&コーン"にしてもらう。コーンの粒々を見たコーン大好き息子は案の定、「僕が食べる僕が食べる」と大騒ぎ。コーンを周囲にまき散らしながらクラブハウスサンドにかぶりついた。……コーンは止めておいた方が良かったかもしれない。

クラブハウスはふかふかの白い山形パン、対してはちみつトーストには全粒粉を使ったようなほんのり褐色のもちもちしたパンが使われている。小さな容器に入ったはちみつを、たらーりと垂らしながら食べる。淡い甘さで悪くない。
20分ほどでがつがつ朝食を平らげて、西鉄福岡駅に急ぐ。太宰府ってどのへんにあるんだろう(←調べておけよ)。

中央区「プルネール」にて
クラブハウスサンドセット
\530

太宰府天満宮

西鉄福岡駅。「終点まで追い越しなし」と表示された太宰府行き普通電車に良いタイミングで乗ることができ、そのままどこどこと40分ほど電車に揺られて学業の神様・菅原道真公を奉る太宰府天満宮に辿り着く。私の母方実家の本家の姓が「菅原」、嘘か誠か道真公の血が流れているのだと聞いたことがある。本家のばあちゃんの家には、尤もらしい道真公の掛け軸があり、毎年大晦日と元旦の朝にはそれに向かってパンパンと手をはたくのがしきたりだ。うまれて初めての先祖を巡る旅。多分先祖じゃないとは思うんだけど。

駅の前からは200mほどの参道が続き、いかにもなおみやげ物屋や饅頭屋が並んでいる。うーん、良い感じ。左や右を眺めながら緩やかな坂を上っていく。境内に入り、太鼓橋を2つ越えるともうすぐ本殿だ。「豪壮華麗な桃山様式」だという重要文化財の本殿は、思ったよりも質素な印象。本殿の周囲はぐるりとお守りなどの販売所が並ぶ。おみくじは、筒型のをしゃかしゃか振るタイプではなく、大量におみじくが入っているケースの中に手を突っ込んで取るようになっている。1つ50円。ぶらさがる絵馬の大量さで合格祈願の参拝者がどれほど来ているか良くわかる。

太宰府本殿を臨む

平日の午前中、それほど混雑していない本殿にて参拝し、おみくじもぬかりなく引き(私は中吉、息子は末吉)、ついでに私個人は学業面での悩みはないはずなのに絵馬まで奉納してみた。
「だんなの海外留学が決まりますように。」(←だんなは行きたいと一生懸命手を挙げているのだ)
「息子が賢くなりますように。」
ここまで書いて、まだ少し空白が残っていたので自分の願いを書くことにする。「javaプログラミングが上達しますように」……道真公はjavaなど御存知なのだろうか。それにこれを書けるほどの余白はない。しばらく考えて、小さな文字で「痩せますように。」と書いてみた。ますます道真公にとっては範疇外の願いであったかもしれない。名前を書いて、他の絵馬と一緒にぶらりとぶらさげてきた。

境内を散策し、のんびりとまた駅に戻る。
ここの名物は「梅ヶ枝餅(うめがえもち)」なのだそうである。米と餅米でできた皮であんこがくるまれた饅頭だ。平べったいその餅は表面がこんがりと焼かれている。そもそも餅に梅の枝をつけて道真公に差し上げていたのが起源なのであるらしい。境内を抜ける鳥居をくぐってすぐのところの「甘木屋」なる餅屋をなんとなく選び、ここで1つ喰ってみることにする。焼きたてのやつをそのまま1つ、渡してもらう。アチアチ言いながら摘んで息子と2人で半分こ。

餅の中のあんは、店によってこしあん粒あんあるらしい。ここのは残念ながらこしあんだった(←私は粒あんが好み)。でも、薄いもちもちした皮にくるまれたさっぱり味のあんこは結構いける。ぺたっと平たく表面がこんがり焼かれているので食感が心地よくていくらでも食べられそうだ。

じゃ、電車に乗って天神に戻ろう。祈願成就のお守りも買ったことだし。

太宰府「甘木屋」の
梅ヶ枝餅

悪くはないんだけど……〜博多区「點心處COX-TOP」

天神に戻ってくると丁度お昼ご飯の頃合いだ。「イムズ」なるファッションビルの最上階には「COX-TOP」なる広東料理店があるらしい。マンゴプリンがメニューにあるらしい。東京にもある店だけど、東京でも行ったことがないのであった。

1900円ほどでオーダー式飲茶バイキングをやっている。40種弱の点心が注文式で食べ放題になるということだ。……そこまで腹は空いていない。ランチメニューの中から「芝海老とホタテのチリソース」がおかずについてくる”香港セット”を注文することにする。息子と分けて食べようと、好物の咸水角(揚げ餅餃子/ハムスイコク)も1皿追加、セットに杏仁豆腐がデザートとしてついてくるけれどもマンゴプリンも更に追加。

テーブルには大きなポット入りのジャスミンティー。ぐびぐび飲みながら料理を待つ。14階に位置する店は、窓も大きく取られていて福岡市内が一望できる。良い気分。
ほどなくやってきたセットはなかなかボリュームがあるものだった。メインのおかずに蟹焼売が3個、キャベツの千切りのサラダにザーサイ、とろみのついた卵のスープに御飯。そして咸水角は3個セット。

ん〜、普通、である。特段不味くはなく逆に美味しい部類だとは思うけど「おぉ〜いしいぃぃぃぃぃ!」となっちゃうほどには美味しくはない。焼売はプリプリだけどもうちょっと旨味があっても良いんじゃないかと思うし、スープはやたらととろみが強い割には薄味で飲んだ気がしない。キャベツときゅうり、プチトマトの入るサラダにはごま油の味のドレッシングがかかっているけどその量が多すぎて酸味で思わずむせてしまう。チリソース煮込みはホタテと海老がごろごろとしておりワンタンの皮の揚げたやつが混ぜ込んである。ほどよい酸味と甘味で美味しいけど、これなら自分でも作れるぞ、という感じ。うーん、ランチで1000円でこの量ならこのぐらいの味で妥当なのかしら。もうちっと美味しかったら嬉しいなぁ。

で、デザートもこれまたいまひとつだった。バットに固めてざくっと盛ったような杏仁豆腐は見た目はバッチリ美味しそうだったのにポクポクと固くてちとショック。"アーモンドゼリー"じゃなくて確かに"杏仁豆腐"なんだけど、肝心の杏仁の風味がこれまた乏しい。マンゴープリンも見た目はバッチリだったけど、「マンゴー、どこどこどこ!?」とその風味を探してしまうほどマンゴー風味の乏しいものだった。色もツヤも良いんだけどねぇ……。

時間は1時を過ぎた。昼寝を必要とする息子がそろそろ眠そうになってきたので、一旦ホテルに戻ってごろごろごろ。

博多区「點心處COX-TOP」にて
香港ランチ
マンゴプディング
咸水角
\1000
\480
\450

無人の博多ポートタワー

息子、疲れていたらしい。ホテルの部屋に戻ってから息子、4時間ほどぶっ通しで寝てしまったのであった。太宰府で散々駆けずり回っていたから仕方がない。私も午後いっぱい、のんびりホテルで過ごすことにする。香川のうどん旅行記などをつらつらと作成しながら。

本日、だんなの帰りは遅くなるということだ。ならばと午後5時30分、昼寝から漸く目覚めた息子を連れて「博多ポートタワー」に行ってみることにした。有名な「福岡タワー」はホークスタウン近くのシーサイドももちエリアにある。対して「博多ポートタワー」は博多駅から車で直進10分ほどの博多埠頭にあるのであった。どことなくレトロな印象のある、夜になると赤く輝く八角形の展望台である。ベイサイドということで、きっとクリスマスのイルミネーションキラキラなんだろーなー、とわくわくしながらバスに乗る。

バスに乗って10分ほど。到着した博多埠頭近辺は思いの外、人の気配が少なかった。ポートタワー脇の「ベイサイドプレイス」というショッピングモールにキラキラとクリスマス風明かりが灯っているけれど、人通りはほとんど無い。
とりあえず、とポートタワーに上ってみることにした。入場無料のポートタワー、ごく普通のエレベーターで地上70mの展望台に行けるようになっている。エレベーターホールには博多港などについてのパネル展示がぺらぺらとかかっているけど人は誰もいない。おそるおそるエレベーターに乗り、展望台を目指してみる。

ゆっくりゆっくり上っていったエレベーターが展望台に到着。周囲に向けて照らされている真っ赤なライトで視界が赤く染まる。人は……誰もいない。何だかちょっと恐くなる。赤くフィルターをかけたような窓からは、博多駅や天神方面が一望できる。床すれすれまでガラスで透けていて、高所恐怖症じゃないはずなのにぞくぞくしてきた。
理屈から言うと、展望台に人が沢山詰まっているほうが強度の面でよっぽど危ないと思うのだけど、誰もいなければいなかったで、何か自分が展望台の隅に立ったらその重さでタワーが倒れてしまうんじゃないか、なんて妙な錯覚が起こってくる。そんなことを考えたらもう一歩も動けなくなってしまった。息子は御機嫌に周囲をぐるぐると滑走しているけど。

いきなりエレベーターがチンと音を立てて開いた。階下からもう1組の家族連れがやってきたのだった。あちらも人のいなさに不安だったようで、お互い顔を見合わせてほっとしたようにお辞儀する。私と息子はその家族と一緒にそそくさとタワーを降りた。

隣接したショッピングエリア「ベイサイドプレイス」をちょっとぶらぶら。飲食店やゲームセンター、雑貨屋などが詰まっている。大きなクリスマスツリーが飾られているのを眺め、高さ8mあるという巨大な水槽を泳ぐ魚を見物。
ぷらぷらしていると揚げ物を売ってる屋台発見。なんとなく美味しそうで、ふらふらと引き寄せられてしまう。「○○コロッケ、××金賞受賞!」なんて怪しげな看板のかかっている屋台だ。怪しいけれど確かに美味しそうではあるのである。小腹がすいたので、串揚げを2つ貰ってみた。塩で揉まれた豚肉が揚げられたやつと、でかい鶏の唐揚げが2個。それぞれが長めの串にぷすっと刺さっている。息子と2人で串持ってぶらぶらしながら夜景鑑賞。冷めてはいるけどこのフライも唐揚げも旨かった。

風が吹き込まないベンチに座って串揚げ囓りながら『るるぶ』を捲る。なんでも毎晩夜8時半からここでレーザーショーが行われているらしい。多分その時間帯まで人はやってこないのだろう、そう思った。8時半までには時間がありすぎるし、今日はこれで戻ることにしよう。

寒くなってきたので7時すぎ、ちょっと早いかと思いながら帰りのバスに乗る。乗ったところでだんなから
「今終わったよー。ホテルに向かってるー。」
と携帯電話に連絡が入る。見事なタイミングだ。部屋で落ち合って、すぐにラーメン食べに行こう。

葱!葱!葱ばっか!〜博多区「ラーメン住吉亭」

家族揃って夜のラーメン。だんな、立食パーティーに出て色々喰ってきたらしいけど、ラーメンは別腹であるらしい。目指すは博多駅東側、山王公園そばにある「ラーメン住吉亭」だ。

バスの乗り継ぎに苦労しつつ繁華街を過ぎた「山王公園入口」なるバス停に到着。更にそこから5分ほど歩き、やっと小汚いラーメン屋に到着した。店の中といわず外までも、何となくこってり脂っこいオーラが漂う店だ。ドアを開けたとたんに漂うケダモノの香り。

カウンター席がずらりと15人分ほど並び、テーブル席は8人分ほど。カウンターの奥の席に座ると目の前がラーメンスープの大鍋だった。息子サイズの物体が簡単に茹でられてしまいそうなサイズの鍋がどかんどかんと4個並んでいる。そこから漂う濃厚なケダモノの香り。
私は普通のラーメン600円を、だんなはチャーシュー麺750円を注文。

「住吉亭」 鍋から白濁した豚骨スープがじゃぶじゃぶと注がれ、やや太めの麺がたぷんと入る。上にチャーシューが私のはぺらぺらと3枚ほど、だんなのは10枚ほどが並べられ、きくらげ少々。そして刻み葱がこれは手づかみでうりゃあぁぁぁぁぁっと乗せられる。もう、どんぶりの上は葱!どこから見ても葱!葱ばっか!言われなければ私のラーメンとだんなのチャーシュー麺は区別がつかない状況だ。この葱の多さがなんとも嬉しい。美味しそうだ。

骨の中からゼラチン成分が溶けきったようなとろみのある、素敵なスープ。濃厚すぎない程度に濃厚で、白濁加減は少なめだ。他と比較してやや太めと思われる麺はスープの絡み具合も意外にさっぱり。テーブルの上には紅生姜やからし高菜、胡麻、この店オリジナルであるらしい朝鮮人参入りの酢、なんてものが並んでいる。チャーシューは紙のごとくに薄いものがヒラヒラと、脂の層も良い感じのものが入っている。それほど味のついていないチャーシューだ。そして麺を喰ってもスープを飲んでもチャーシューを囓ってもまとわりついてくるのが大量の葱である。葱葱葱。葱好きの私とだんなにはとれも美味しく感じられる葱の量だ。

かなり良い具合の豚骨ラーメンだったんだけど……やっぱり「秀ちゃんラーメン」がダントツに美味しいんだよなぁ……。最初にそんな店に連れていかれてしまった自分、何だか不幸だ(いや、幸福なのかもしれないけれど)。

博多区「ラーメン住吉亭」にて
ラーメン
\600