3月21日(日) 松岡・まえば・赤坂など

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メニュー豊富でカレーも気になる〜「うどんバカ一代」

泊まった宿の一帯では、朝6時と夕方6時に、割と派手な音でチャイムが鳴り響くのであるらしい。
 
その音で目が覚めて「なんだぁ?」と時計を見るとちょうど6時で、でも外はまだかなり薄暗かった。
そろそろ太陽も出ているはずなのにおかしいなと窓の外を見ると、おそろしいほどの強風で、不思議な感じのどんよりとした曇り具合。「曇っている」というよりは「けぶっている」という風で、これはどうも「黄砂」が舞っているのであるらしい。今日は午後に入るくらいまで、ずっと大気が黄色く濁っているような感じだった。
 
そんな中、いそいそと出かけたのは、比較的朝早くから営業している高松市内のうどん屋さん「うどんバカ一代」。
 
「うどんバカ一代」の充実の揚げ物コーナー 大将が空手家ということで、その店名になったのだそう。愛称は「バカ一(バカイチ)」だ。
 
うどんはだし入り具入りの状態で渡され、揚げ物などのトッピングはセルフ。水もセルフ。
 
メニューは大変に豊富で、キムチ乗せうどんとか梅うどん、山かけうどん、カレーうどん(牛すじ煮込み入り!)などなど、これでもかと揚げ物カウンター上部の壁にメニューの紙が貼られている。加えて揚げ物もあれこれ種類があり、海苔巻きやら稲荷寿司やら、挙げ句にはカレーライスまで、本当に色々なものを朝も早くから食べることができるお店だ。
 
やってくるお客さんたち、老若男女(子供連れも)まんべんなくいて、普通に「大」サイズなどをトレイに乗せて、しかも揚げ物も数点盛って……という感じなのが非常に多い。みんな朝からパワフルだ。人のことは言えないけれども。
 
これが今日最初の食事ということですっかり空腹だった私は、ついつい「温玉肉ぶっかけうどん」の冷たいのを小で。いきなり最初の1杯から肉と卵を乗せてしまった。
息子は「釜バターうどん」の小(470円)という面白いメニューを、だんなは「まだまだ食べるし」と自制してかけうどんの小(190円)に、イイダコの天ぷらを添えて。
 
こちらは「バカ一」の温玉肉ぶっかけ 「空手家の大将が打ったうどん」という印象に違わない、温かいのも冷たいのも、「ピシッ」とした、折り目正しい風だったこのお店のうどん。私のうどんは、麺もだしもうっとりするほどにキーンと冷えていて、それがまた嬉しかった。
 
上にはどっさりの牛肉の甘辛煮が温泉卵と共に添えられている。別添の小皿には大根おろしとレモンが1切れも盛られてきた。刻み葱と揚げ物は、自分でばさーっとかけてきた。葱はいつでも大盛りの私。
 
最初は大根おろしとレモンを添えずにそのままいただき、途中からそれらを加えつついただいてみる。牛肉と卵のこっくりとした味に大根おろしとレモンのさっぱりとした感じが不思議と良く似合って、朝からぺろりと軽やかに平らげてしまった。うん、麺もおだしもちゃんと美味しいお店だ。市内、繁華街近くにこういう幸せなお店があるって、実に幸せなこと。
未知なる美味しさ、「バカ一」の釜バター
 
息子の注文した「釜バターうどん」は、釜あげうどんにバターを1かけ乗せ、生卵を落としたもの。上からは粗挽き黒胡椒が少量、パラリと。
 
いわば「バター醤油 卵かけ御飯」のうどん版で、うどんの熱で卵に僅か火が通り、「これはちょっと反則だろう!」という美味しさだった。
 
いいなぁ釜バターうどん。家で冷凍うどんで作ってみても美味しく食べられるかしら。

高松市「うどんバカ一代」にて
温玉肉ぶっかけうどん(冷・小)
470円

猫がいた、あったかいお店〜「山下うどん」

今日はお昼頃、関西に住む友人一家(=うどん仲間)と落ち合う約束をしている。落ち合う先は丸亀市方面なので、では今日はそちら側のエリアで食べ歩きましょうということで、車を西に走らせた。
 
まず行ってみたのは、坂出市の「山下うどん」。
 
坂出の「山下うどん」、厨房に鎮座する巨大釜! 店頭に「郵便局員休憩所」の札が下がっているこのお店、川沿いの風光明媚なところにある。
 
以前から『恐るべきさぬきうどん』で存在は知っていたけれど、訪れるのは今回が初めて。なんとも雰囲気のあるお店だった。
 
だんなもだんなで、「坂出の山下?どんな店だっけ……」と記憶を探るような顔をした後に、「ああ!郵便局員休憩所のお店か!」と謎めいた解釈をしている。そう、『恐るべき〜』(確か1巻)で、郵便局員休憩所の店って紹介されていたお店なのよね。
 
そっけない風(いずこのものかをリサイクルしたかのような)のテーブルと椅子が無造作に並び、厨房の奥にはどでかい釜がドドンと置かれて次々うどんが茹でられていく。うどんを小とか大とかサイズで頼むと、テボに入れた玉をその大釜でちゃっちゃとゆがいて丼に移し、渡してくれるのだった。だしと葱は自分でよそう。
坂出「山下うどん」の優しいうどん。懐かしい感じのだしの味。
 
基本的に、「温かいうどん+温かいだし」でいただくかけうどんのみがこのお店のうどんメニュー。
 
揚げ物や甘く煮た美味しそうな油揚げなど、合計10種類ばかりの添え物が置かれていて、名物は芝海老たっぷりのかき揚げらしい。ものすごく悩んだのだけれど、これから他のお店にも行く予定がたんまりあるし、と、揚げ物は止めておいた。
 
他の人のどんぶりに乗る実に巨大で実に美味しそうなかき揚げを目にして、食べなかった自分をちょっとだけ後悔……。
 
人なつこい猫♪ 茶色みが強い、醤油の味が若干強めの濃厚ないりこだしと、丸みを帯びた優しい味のうどんという組み合わせ。
 
窓から降り注ぐ陽光と、大釜からの熱で暖められる店内の暖かさがなんとも気持ちよかった。
 
しかもお店の中には猫までいた。
 
ゆるゆると、店の中と外を行き来していた猫は、白に黒のブチのある猫。たっぷり肉のついた体をしていて(うどん食べてるのかな……まさかね……)、このお店のうどんの印象と同じ、人なつこい子だった。
 
「こんにちは、うどん食べに来ましたよ」
と撫でに行ったら私の膝にスリスリ、腰にスリスリ、そこら中に顔をすりつけた後、玄関先で(いかにも人に踏まれてしまいそうな場所に)ゴロリと横になった。
 
うはー、可愛いなー。猫にもうどんにも癒されました。

坂出市「山下うどん」にて
うどん(小)
150円

あのコシもあのゲソ天も変わらず〜「松岡」

引き続き、この界隈の美味しいうどん屋さんを攻めましょうということで、次に目指したのは「宮武系」のお店、「松岡」。
 
「ひや」では歯をくいしばらないと噛みきれないほどの、やや太めのどっしりとした力強い麺。それに負けない力強いだし。そして味わい深い巨大なゲソ天……といった共通点がある「宮武系」。残念ながらその大元の「宮武」は2009年に惜しまれまくりながら閉店してしまった。
ゲソ天添えて、どっしりとした「松岡」のかけうどん。
 
「宮武系」は他にいくつかあるものの、「美味しかったなぁ」と記憶に強く残っているお店のひとつが、この「松岡」だ。
 
温かいのと冷たいのを1杯ずつもらって交換しながら食べたのだけど、腰の据わった"ムチマッチョ"な感じの麺は相変わらずの美味しさだった。存在感のあるだしの味も変わらず。
 
「ここはやっぱりゲソ天食べておかないと……」
と、私はゲソ天をトレイに乗せ、だんなはおでんコーナーから牛すじを1本皿にとっていた。それも半分こ。
 
ここは、揚げ物やおでんはセルフだけれど、だしも葱も厨房でよそわれて出てくるスタイル。
 
透明感のある、えぐみのない濃厚なだしの美味しさも変わらずで、息子は「このうどん美味しいね!」とばかり、すごい勢いで啜っていた。
息子が好きなお店は、「田村」「がもう」「松岡」だそうで、要するに黄金色の濃厚絶品いりこだしが味わえるお店が良いのであるらしい。わかりやすい。

綾川町「松岡」にて
かけうどん(小)
ゲソ天
230円
120円

さぬきうどんアイス、次回はこってりで

あまり時間をあけずに2店連続で食べてしまったので、ちょっとお腹いっぱいになっちゃったねとすぐ近くの「道の駅 滝宮」で一休み。
 
うどん巡りにおいて、「清潔なトイレのある場所」をチェックしておくのが、案外と重要なこと。
うどん屋さんにはトイレがないところも多いし(製麺所タイプのところだとなおさら)、あっても和式のところだったり、次々お客さんが来て使うから清潔とは言い難いところだったり。
 
うどんのだしに含まれる塩分のせいで喉が乾くし、ゆえにだしと共にお茶もけっこうな勢いで飲んでいくから、うどん巡りをしているとどうしてもトイレは近くなってしまう。だから「道の駅」の場所とか、大型スーパーの場所とかを確かめながら移動することが地味に重要だったりするのだった。
 
で、道の駅「滝宮」。ここは案外と大規模なところで、お土産物屋さんの他に、地元産の野菜や花を扱うコーナーもあった。大きめないりこの袋が、私たちの住む地元では考えられないくらいに安かったので思わず購入。
 
そして息子が「これ食べてみたい!」だそうで、「さぬきうどんアイス」なるものを1個買って皆で食べてみた。
 
うどんアイスは3種類あるのだそうで、売り場ではこんな感じに↓紹介されていた。

「さぬきうどんアイス」は3種類からお選び下さい
(アイスのツブツブはうどんです。だんだんと体温で柔らかくなります。いろんな食感をお楽しみ下さい。)
 
・さっぱりうどんアイス(一般向け)
アイスクリーム自体の甘さを大幅にカットし、だしのコクで甘みを出しています。嫌味なだし臭さを消して、だしの風味でバニラ特有のしつこい甘さが口に残らない甘さをおさえたサッパリ味。(バニラとあまり変わらず、後口に少しダシ風味)
 
・純こってり(チャレンジャー向け)
お客様の希望により作られた、アイスクリームよりもうどんだしの「いりこ」「かつお」風味を強調したアイスです。サッパリ味では満足できない方にオススメ。
 
・超こってり(チャレンジャー向け)
純こってり味に「いりこ」を混ぜ込んだアイスです。クセと風味がかなり強いのでご了承下さい。超こってり味以外は食べない方も結構おられます。
 
リピーターは、サッパリ、超こってり、純こってりの順で多いです。

一見普通のアイスクリーム、でも中からうどんが…… ここは挑戦者とならずに、普通に美味しそうな方から食べてみましょうと、選んだのは「さっぱりうどんアイス」。
 
確かに甘さはちょっと控えめで、でも「後味にいりこだしの風味が」というのは、そう言われるとそう思えなくもないけど、言われなければ気付かないで「ラクトアイスみたいなアイスだねー」とか言いながら食べてしまいそうな程度のもの。
 
それでも、アイスの中にはうどんの切れ端がちらちらと5切れくらい入っていて(もちろん凍ってるわけで)、非常に面白いアイスだった。なぜアイスの中にうどん。すごい発想だよねと皆で美味しく平らげてしまったので、今度来たら「超こってり」の挑戦者への道を歩んでみようかしら。

「道の駅 滝宮」にて
さぬきうどんアイス(さっぱり)
200円

初体験の味、金時豆の天ぷら〜「まえば」

友人と落ち合う予定の時刻まであと少し。
あと1軒くらい行けるかなと車を走らせたのは丸亀市の「なかむら」で、でも今日はあいにくの臨時休業。駐車場らしきところをみつけて車を止めようとしたら、交通整理担当らしき制服のおっちゃんに「今日は臨時休業なんですわー」と告げられた。あいやー、残念。
 
ならばと、落ち合う予定の「まえば」に向かったのだけれど、あいにく友人一家は高速道路の渋滞に巻き込まれてまだしばらく到着には時間がかかる様子。
 
では次の店で落ち合いましょうと、とりあえず「まえば」で1杯食べていくことにした。
次々とお客さんがやってくる「まえば」の店頭
 
御覧のとおり、親切きわまりないでっかい看板が掲げられているお店。店内も広々としていて、ちょっと座ってゆっくりできるのがありがたい。
 
以前、別の友人(=今回宿泊の宿の、若旦那)に「ここのだしが最高に美味しいんです!」とお勧めされて来たのが8年前。相変わらずの繁盛ぶりで、駐車場は常に満杯という状態だった。
 
ここはうどん玉を貰ったら自分でゆがき、トッピングとってだし(温かいののみ)注いで葱乗せてお会計、という完全セルフのお店。
 
限定個数の「半熟卵の磯部揚げ」が名物なのだけれど、限定個数ということで12時過ぎに訪れた今日は既に品切れだった。
「まえば」で小、そして揚げ物の王道、ちくわ天
 
私は揚げ物の王道のちくわ天を1本、だんなは「これ……タコのかき揚げかなぁ?」と、見慣れぬ大きなかき揚げをうどんの上にどどんと乗せて、お会計。
 
「これ、何の天ぷらですか?」
とだんなが"謎かき揚げ"を指してお店の人に聞いてみたところ、なんと金時豆の天ぷらなのだそう。
「甘い金時豆のかき揚げなんよー、最近香川で流行っとんのよー」
という返事があったのだそうだ。
 
金時豆!?甘いの!?と貰ってみたら、これが甘い。ちゃんと甘い。お正月の黒豆のように甘い。
 
甘く似た金時豆の汁気をとって、ざざっとまとめてぐわっと揚げたような(どんなだ)、そんな感じのかき揚げ。
「まえば」にて。乗っているのは金時豆の天ぷら!甘いの!
 
ただでさえ、うどんだしに天ぷらを入れると、その衣がやわやわとだしに溶けて甘さを感じる風になるのだけれど、これはもうしっかりと甘くて、でもその甘さがだしの塩気に案外と良く似合う。サクサクした衣の歯触りもまた違和感がない。
 
「うはー、豆だね。甘い豆だ!」
と、豆好きの私にはツボな品だった。
 
なんでも「金時豆の天ぷら」自体は香川では昔からあるメジャーな食べ物なのだそう。スーパーのお総菜コーナーなどで売られている身近な食べ物なのだそうだ。でもうどんのトッピングとしてはそれほど定番の品ではないのか、それとも単に私の目がスルーしていただけなのか、今回初めてその存在を知ったのだった。美味しいよ金時豆の天ぷら。
 
つい天ぷらに夢中になってしまったけれど、相変わらず、澄んだだしの味が冴えている「まえば」のうどん。だしが美味しいよー!と両手を突き上げて叫びたくなる、なんというか高揚感を感じるだしなのだ。そのだしに負けないうどんも、適度にコシがあって優しさもある心地よい口当たり。美味しいだしに美味しい天ぷら浸して食べるとまた旨い。甘い金時豆が浮いていて、これもまた旨い。
 
このお店、「谷川製麺所」と同じく、水用のコップがワンカップの空き容器。
「ワンカップだね」
「ワンカップだわ」
と、だんなとニヤニヤしてしまった。

丸亀市「まえば」にて
うどん(小)
ちくわ天
\200
 

うどんのような素麺のようなうどん〜「赤坂製麺所」

「赤坂製麺所」。ここもまた、ちょっとすごい佇まいのお店でした 友人一家と「まえば」で合流できず、「では○○か○○で落ち合いましょうか?」と提案してもらったお店の一つが「赤坂製麺所」。
 
私たちは全くのノーチェックのお店で、でも友人夫妻おすすめの店なら美味しくないはずがない、と、住所をカーナビセットしてその製麺所に向かってみた。「まえば」からは目と鼻の先、「陶(すえ)」というローカル線の駅近くにそのお店はあった。
 
なにしろこの友人夫婦、私たちが昨日訪れた、あの「がもう」で結婚式を挙げている(そして更に別のうどん屋さんで披露宴やって、"紅白うどんに入刀"したのだそう)。そんな2人が出会ったきっかけは「さぬきうどんメーリングリスト」。もう半端ない。半端なく半端ない「うどん人」なのだった。
 
で、めでたくこのお店の駐車場に入るところで、友人一家と無事合流。
川沿いに坂をちょっと下ったところにあるお店で、大変に赴きのある外観。お店の中から歌うような賑やかな声が聞こえてくるのは、このお店の名物(?)のひとつ、チヅコおばちゃんの声なのだそうだ。
「食べ方注文」をしっかり読みつつ列に並ぶ
 
お店には数人のお客が列を作っていて、入り口付近に貼られた「食べ方注文」を眺めながら自分の番を待つ。
 
このお店、前身はうどん屋さんではなくて「素麺打ち」のお店だったのだそう。その製法をうどん打ちにも使っているから、ちょっと麺が独特なのよと友人が教えてくれた。その友人は、チヅコおばちゃんに「あらぁ!良く来たねぇ!待ってたよー」と歓待されている。
 
冷たいのにお醤油かけたのが良いよ、いや、あったかいのも良いよ、とお勧めされて、だから両方もらってみた。
 
「赤坂製麺所」、お醤油かけただけの冷たいうどん。 2玉です、あったかいのと冷たいの1つずつ、あったかい方はだしで、冷たいのはお醤油で……と順番に伝えると、
「ぬ〜くいのな〜♪」
と、奥から小柄なおばちゃんがシャキシャキと出てきて、シャキシャキうどん用意して渡してくれる。
 
御覧のように、断面が丸っこくて若干細い、ツルリのっぺりとした独特なうどん。
 
ピヨーンと口元で伸びる感じの、表面がトゥルトゥルとした風にも感じられる、ちょっと他ではみない面白い食感のうどんだった。
 
「断面四角のピシッとしたうどん」とは対極の、やわやわとした外見と食感。でも「しまりがなくてダンゴになります」という風ではない、1本1本が綺麗にバラけた心地よい舌触りをしている。
「赤坂製麺所」で、あったかいうどん+だし。麺が独特だ!
 
ドシッとした強いコシ、「ひやだと噛み切るのも大変〜」みたいな方向のうどんと比べると、"つまらない"という評価を貰っちゃうのかもしれないけど、なんだか良いです。もうこのお店全体の感じが、良いです。
 
「冷たいうどん+醤油」「あったかいうどん+だし」でいただいたのだけれど、温かい方のがより「素麺」を彷彿とさせる食感だった。
 
かけだしは、醤油の色が強めの、ぶっかけ用のだしのように濃厚めなもの。
 
だしはかけられた状態で渡されるけど、醤油は自分でかけるので、「あ、もっと醤油あった方が良かったわー」などと、もう一度店の中に醤油をかけに行ったりした。
 
友人一家との再会を喜びつつ、子供たちはさっそく携帯ゲームに興じていたりして。

綾川町「赤坂製麺所」にて
冷たいうどん+生醤油
200円

葱は前菜〜「長田in香の香」

次のお店に行きましょう!と、「どこに行こうか」と意気込むものの、そろそろ製麺所などは店じまいの時間帯。
 
一般店に行きましょうかと丸亀市の「明水亭」に車を走らせてみると、今日はあいにくの休業だった。友人のガイドブックには日曜は休業ではない、と書かれていたものが、いつの間にか変更になっていたらしい。私のガイドブック(私のは2010-2011年版)を改めて開くと、「日曜休業」と書かれていた。車酔いしやすいから車内では極力文字を見ないようにしていたこともあって見逃してました……スミマセン。
 
ましてやこの連休は日曜が休日で月曜が振り替えなので、「今日は日曜扱いなのか、休日扱いなのか」でそれぞれのお店の営業も違っていたりして、なかなか大変。
 
あそこなら大丈夫、絶対やってます!ということで、車をそのまま同じ方角に走らせて、善通寺市の「長田in香の香」を目指してみた。
店頭には30人くらいの行列ができていて、数十分待っての入店。せっかく6人いることだし、と、たらいうどんを食べてきた。
 
「長田」は以前からあるお店(←10年前に来てました)。「釜あげが名物」「だしはとっくりに入ってテーブルにやってくる」「テーブルにはポットに入った大量の葱」といったスタイルはそのままに、善通寺市にも「長田」ができた。かつて「長田」でだし担当だったおばちゃんが独立して?とかなんとかいうのは、ちらっと聞いた話。
 
12玉入る「たらい(大)」もあるけれど、さすがに我が家はそこまでお腹に入らないということで、注文は6玉入り(大3杯相当)の「たらい(小)」で。
 
うどんが茹であがってくるまでの間、テーブルにやってきただしを蕎麦猪口に注ぎ、卓上の葱をぶわっとそのだしの中に入れて、で、葱を食べつつ待つ。だしの甘じょっぱさが葱の辛さと似合って、「勝手に前菜用意して食べてます」状態。そんな感じのお客が多いからか、卓上の葱容器はどの席もちょびっとになっていて、「ねぎくださーい」と足してもらってはまた食べる(で、また容器が空近くになる)。
 
「長田in香の香り」にて。たらいうどんですよー、たっぷりですよー 一般的に、さぬきうどんで「温かいうどん」というのは、一度水でもみ洗いして締めてから1人分まとめて「玉」にしたものをゆがいて温めたもの。
 
「釜あげ」は、茹で上がったそのまんまの麺で、水にはさらさない。
だからなんとも優しい口当たり。表面が水吸ってたぷたぷと柔らかな食感で、中はシュッとしたコシが感じられて、やわやわくにゅくにゅツルツル、うまーうまーという「喉ごしの気持ちよさ」を感じるのが釜あげである……という感じ。
 
長い長い麺をたぐるようにしてつけつゆに浸して啜る「たらいうどん」、たいそう楽しかった。子供たちもけっこうな勢いで食べていて、「あら、これだったら大でもいけたかしら」なんて思えてしまった。
 
席に着いてからも割と長かった待ち時間、友人夫妻にあれこれうどん絡みのお話を聞いていた。それがもう、面白いものばかり。
 
私「最盛期ってどのくらい食べてました?うどん巡りで」
友「うーん、一日二十数件とか……午前中だけで軽く2桁」
私「うーわー……」
 
友「ある時ね、"ここ美味しいのに1玉食べて終わらせて次の店いかなあかんなんて嫌だわ"ってなってね」
私「うん」
友「一回"がもう"で、"がもう"だけをお腹一杯食べよって事になって」
友「大・大・小って食べたわー。もう、すんごい満足」
私「……1人で?」
友「うん、1人で」
友「大・大・小を2人でそれぞれ食べたの」
友「麺が1玉200gとして、大大小で5玉、1kgでしょ。だしが1玉あたり200ccだとしたら、それで1リットルで……"がもうのうどんだけで2kg体重増えたわ俺ら!"ってことにね」
 
目の前のたらいうどんが霞んでしまいそうな話を記憶に残しつつ、蕎麦猪口に残っただしに更に葱入れて葱ごとだしを啜っておしまい。
美味しうございました。

善通寺市「長田in香の香」にて
たらい(小)
1000円

フラれ続けて……

ここで、次の目的地はお互い違うところだったので、友人たちとはお別れ。
 
我が家は「今日の最後は"大円"でぶっかけ食べるぞー!」と一路高松への道をひた走る。「大円」は夕方遅くまでやっている一般店、様々な種類の「ぶっかけ」が味わえる。
 
あと1玉くらい食べられる余裕は胃袋にあるし、なんて素敵な夕御飯!と見覚えのあるお店に向かってみたところ、お店は既に暗くなり、店頭にはぺらっと1枚の貼り紙が。
 
「うどん売り切れにつき閉店しました」
がーーーーーーん。
 
そっか、大円も玉切れで閉店するんだ……(←失礼な←いや、一般店だから、そういうところの余裕はあるのかなって……)としょんぼりしながら、宿のある港の方向に移動して、地鶏の天ぷらが美味しいらしい「麦蔵」というお店を目指してみる。手元のガイドブックには「午後に一度店じまいして夕方からまた営業」といった案内があったのだけれど、日祝の営業時間は10〜15時だよんと、貼り紙が店頭に……。ますますしょんぼり……。
 
こうなってくると「何が何でもうどん食べたい」という気持ちと「でも半端に美味しくないところには行きたくない」という気持ちがせめぎ合ってしまい、でも夕方遅めの時間帯、しかも日曜日、しかも今日は休日、という条件が重なっている事を思うとだんだん絶望的になってくる。
 
あそこ!あそこならやってます!と、また遙か空港の方まで南下して、「谷川製麺所」の道中にある「もり家」を目指してみたら……店頭にはかなりの人数の行列ができていた。気温は夕方からぐんぐん下がってきていて、外に立っていると体が震えてくるほど。風も強い。
 
この気温の中で30分並ぶとかは不可能だわ……と、そうして波乱の本日最後のうどん屋さん巡りは残念な結果に終わったのだった。
 
で、結局、「最後にうどん1杯食べて宿に戻って、お風呂入ったらビール飲みながらつまもうね」とあらかじめ買っておいたスーパーのお総菜(パスタのサラダとか唐揚げのミニパックとかねぎとろ巻きとか)は車に既に積まれていたので、あと少し何か欲しいねと、宿へ向かう途中で見つけた「吉野家」で牛丼を購入。
 
もう何しろ肌寒くて、急いで宿に戻って大浴場で体の芯から温まった後、暖房つけた部屋で乾杯した。
いいの、ここでさらっと食べておいて、明日は朝からまたアクセル全開よ。