8月11日(金) ワゴン飲茶と空港お風呂
現存する最古クラスのワゴン飲茶店〜「蓮香居」
香港滞在中の天気予報は連日雨マーク。
昨日のスコールを目の当たりにしてなるほどと思ってはいたものの、今日も朝からけっこうな雨だった。
止みますようにと祈りながら窓の外を見る朝5時前、めでたくいくらか止んできて、朝食のお出かけは傘要らずでなんとかなった。
けども、冷房のないトラムは基本、窓全開なわけで、車内はけっこうなレベルのびしょびしょぶり。
手持ちのタオルで拭きつつ気にせず座って、今日は上環、昨日よりももう少し奥側へと目指したのだった。なんか私たち、連日上環行ってるねと思いつつ。
伺ったのは、古き良きワゴン式の飲茶ならここ、とネットで見た「蓮香居」。
2階がメインフロア、3階は昼前にオープンして、どちらかと言えば3階は観光客メインのフロアなのであるらしく、2階に入れたらラッキーとか、なんとか(とネットで見た)。
ちなみに、ワゴンは2階→3階という順番で行くから、3階は残り物になる……とかなんとか(ともネットで見た)。
相席上等、空席に勝手に座れば良い、などと、事前に情報はあれこれ仕入れていたものの、なかなかそうは振る舞えないもので。
お目当ての2階についてきょろきょろしていたら「そこ座って良いよ」とばかりに店員のおっちゃんに指で示され、1人飯を楽しんでいたおっちゃんの向かいに腰掛けて。
最初に問われた言葉に、これはきっと"お茶は何にする?"と言われているのに違いない、と判断しただんなが普洱と言ってくれ、やってきたのは茶葉入りの蓋碗2つ。
で、目の前に陶器のボウルがやってきて、茶葉を洗いつつ、茶杯や碗をボウルの中でさぱさぱ洗う。箸やレンゲもね。
で、おっちゃんが、よしよしとばかりに蓋碗に湯を新たに注ぎ、だばだーと茶杯に注いだ後、再度蓋碗に湯を満たして去って行った。
蓋碗の場合も急須と同じく、"お湯を足してくれ"の合図は蓋をずらしておけば大丈夫。
『相棒』の右京さんのごとく、えらい上の方からだばだばだ〜とお湯を注いでくれるおっちゃんが居て、「おもしろい……」と私は毎度見惚れていた。
ちなみに茶葉はたっぷりめで、もう何煎でもいける感じ。
周囲に日本人は皆無(たぶん)、そもそも観光客もほぼいない。
女性客1割未満、男性客もそのほとんどが60歳以上かな……くらいの、ここはオヤジのパラダイス。
さて、同じく老舗の飲茶店であるところの「陸羽」でもさっぱり言葉は通じないわけだけど、この店でも、ワゴンを押すおばちゃんの言う料理名は9割方わかんない。
わかるのは「ハーガオ、シューマイ♪」(レードドミーミーみたいな抑揚で歌うように言いながらやってくる)くらいのもので。
でも、揚げ物ワゴンは見たまんまだし、平皿に蓋がかぶさってるのは多くは腸粉。
ステンレスの筒状のは蒸しご飯、大きな蒸籠は花巻や大きめ饅頭系……となんとなくは解ってくるし、他の人が貰ってるのを見て、「それください!」という感じで。
これくださいというと、テーブルに置かれた伝票にスタンプをぺたんと押してくれる。
小點心HK$23、中點心HK$28、大點心HK$32、特點心HK$35、頂點心HK$37、ですって。
で、「元16位毎茶茗」だそうだから、お茶代が1人HK$16必要なんだな?
お茶淹れるのをもたもたしてテーブルに盛大に零していたら(蓋碗のお尻にお茶が回ってしまうんだよ……)、お湯注ぎのおっちゃんが「苦手だったら洗杯用の器に茶杯置いて注げばいいよ」と所作で指南してくれた。おお……(感動)。
色々不慣れて申し訳ない……と思いつつ、次はもっとうまくできると思うので、めげずにいきます。これは楽しい。
ワゴン式飲茶は、食べたいものが食べられるとは限らないという難点はあるものの、揚げ物もけっこう温かな状態でやってくるし、知らない味と出会える楽しさはあるし、というかもう、純粋に楽しい。
いただいたのは、黄色い皮の焼売、柑橘の香りのする、湯葉で巻いた風な大きな肉団子。
春巻(3本セットをハサミでじゃきじゃき半分に切ってくれた)、蒸しご飯。
蒸しご飯、上に茶色い大きなものが乗っていて、「……ハンバーグ?」と思ったら巨大椎茸だった、その下にはぶつ切りの骨付き鶏。
椎茸!肉厚でジューシーで甘くておいしー!
巨大なおまんじゅう蒸籠の中には、茶色みが強い馬拉糕や花巻、肉まん風のと、あと、「これはソーセージ饅」と言われたのがおいしそうだったので、ください、と。
お願いしたら2個セットでテーブルにやってきた。
いや、1個でいいのよ……と思ったけど、2個で良かった。なんなら2個とも私が余裕で食べられた。
これ、"ソーセージ"言われたけど腸詰じゃん!?!?!?
おいっっっしいい!!!!!
おそらくは私の香港滞在中の最高のボルテージがここで記録されたに違いないというほどに喜ぶ私。
腸詰巻き饅頭、めっちゃめちゃおいしい。家宝にしたい。幸せ。
そしてついに「ハーガオシュウマイ♪」のワゴンが。
わーい蝦餃だー!と、浮き粉の五目餃子っぽいのもゲット。
蝦餃、小ぶりながら海老ぷりんぷりんでとても美味。
そろそろお腹もいっぱい……とレジに向かったところで、大根餅のワゴンがいて、「食べたかった……」ってなった。
大根餅のワゴンは鉄板がついていてその場で焼いてくれる仕様。かっこいいな……。
ちなみに支払いはクレジットカードも使える模様。現金残ってたから現金払いにしたけども。
飲茶を堪能 |
HK$252 |
そして再びトラムに乗って宿へ帰還。
荷造りは、ごく微量の余裕を残して、スーツケース大サイズ中サイズと折りコン1つで事足りた。
パンや蛋撻は3COINSの折りたたみワンショルBAGに入れて。
今回、衣類ケースや小物入れ等々、数ヶ月前に発売された3COINSのJTBコラボトラベルグッズを使いまくっていたのだけれど、ものすごく使い勝手が良かった。大勝利感半端ない。
折りコンは、アメックスカードの「手荷物無料宅配サービス」を目論んでのことだったのだけど、以前は段ボール系も送ってくれたのに、規約改定で「お荷物の種類:スーツケース、ゴルフバック」と制限がかかってしまっていて。
えええーと困惑しながら折りコンは空港から自宅まで気合いで持って帰ることになってしまったのだけれど、じゃあ次の旅行からはスーツケース増やすしか……?(どんだけお買い物する気なんだって感じだけども)。
ホテルから香港駅まではタクシーで1000円くらい。
そこから空港まではエアポート・エクスプレス(おおよそ10分に1本)で25分弱。荷物運ぶのらくちんだし、とても快適。
JALのカウンターが開く10:40を待ちかねるようにとっととチェックインして、でも帰国便は15:15発。
4時間半も何をするのかと言うと、今回はラウンジでだらだらするんです。
「國泰航空 頭等貴賓室」〜空港で貸し切り風呂に
今回、台湾から香港に飛んだのは、"一生何度もは来られないに違いない、キャセイ空港のファーストクラスラウンジに行ってみたいから"という理由が少なからずあったりした。
「だってねおゆきさん、香港のキャセイファーストクラスラウンジはお風呂がついているんですよ!」
とだんなが力説していて、「……お風呂?」と最初、私は首を傾げるばかりだったのだけれど。
ワンワールドフリークエント・フライヤーのエメラルド会員が利用できるファーストクラスラウンジは、着席オーダー制で料理がいただける「逸雅閣(The Haven restaurant)」や、貸し切りバスルーム「浴泉居(Cabanas)」といった素晴らしいサービスがあるのだそう。
繁忙期だとCabanasは順番制でけっこう待たないといけなかったりするらしいから早く行ってみようということになったのだった。
その前に、ラウンジ近くで「TINYさんのもの売ってる……!」とかわいい香港雑貨のお店に突撃して、最後の衝動買い。
TINYのアイスクリーム屋台と、手のひらサイズのペーパークラフトの燒味屋さん(これ)、小籠包柄のかわいいティータオル。
ペーパークラフトの「Hong Kong Story Series」はどれもめちゃめちゃ可愛かったのだけど思った以上にお値段がよかったので(1個2500円くらいする……)、大牌檔、トラムあたりと悩み悩んでこの1個にしておいた。
TINY C Ice Cream Bicycle FINGERART C Siu Mei Shop ZEST C Embroidered Dim Sum Basket Tea Towel By Zest of Asia, Blue |
HK$79 HK$128 HK$139 |
ともあれ、ファーストクラスラウンジ「The Wing」に到着して。
混んでいると困るからと速攻「Cabanas」を訪れてみたら、すんなり入れてしまった。
5つあるスタイリッシュなカバナでは、落ち着いたプライベート空間をお楽しみいただけます。全てのカバナは空調管理がされており、リフレッシュに快適なシャワー室、バスタブとデイベッドをご用意しています。電源やネットワーク接続ポートも完備しているため、ワーキングスペースとしてもご利用いただけます。
カバナではまさにファーストクラスのサービスをご体験ください。ご要望に応じアイロンがけサービスもご利用になれます。全てのカバナは、ラグジュアリーなアメニティー、バスローブ、ふかふかのタオルを備えています。
というカバナ。
利用時間は90分、基本的には一人で利用するためのもの(バスローブなども1人分しか置いていない。バスタオルは2枚あった)だけど、夫婦や恋人同士などで一緒に入る分には何も言われない感じ。
混雑しているときは、フードコートとかで渡される風のアラームを渡されるみたい。
"アイロンがけサービス"は、脱いだ服を室内のロッカーに入れ、壁のボタンを押すと裏から回収してくれる。
ものの15分ほどでだんなのパンツがきれいにプレスされて戻ってきた。
タオル類はJWマリオットに負けないくらいのふかふか手触りで、至れり尽くせり。
バスタブの外側には、ハンドシャワーとレインシャワー、打たせ湯的なシャワーの3つがついていて、バスタブからは扉やカーテンの境界がないままデイベッドに寝転がれるという、なんとも優美な設え。
惜しむらくは、化粧直しするにはやや照明が暗く(4段階に調節はできるのだけど、なお暗め)、あと、キャセイのラウンジあるあるだけれど過剰なまでに冷房効いていて寒いくらいというのが、ちょっと厳しかったかな……という。
アメニティはイギリスの「bamford(バンフォード)」。
ボディウォッシュ、シャンプー、コンディショナーはシャワー前とバスタブ脇に大きなボトルが1セットずつ、洗面台にはハンドウォッシュ、更にフェイスクレンジングとボディローション。歯ブラシ、麺棒、シャワーキャップ……と、ホテル並に色々あった。
さすがに90分は滞在しなかったけれど、満喫しました。
で、適度にお腹も空いたところで、着席レストラン「The Haven restaurant」に。
何かお飲みになりますかと言われ(これは特段メニューはなく)、シャンパンをいただいて、その後は普洱茶を持ってきてもらい。
アラカルトメニューはそう多くはないのだけれど、スープ1種類、メイン6種類、サイドにジャスミンライス、"Signature Noodles"としてワンタン麺と担々麺、そしてプラスしてブッフェ台、という感じ。
ブッフェコーナーはこのレストラン並びの「Atrium」コーナーにもあるのだけれど、品揃えは全く違ったものだった。
オーダーして頼んだのはこんな感じ
Double boiled pork and adenophora soup
Bamboo fungus, goji berry, dried mushroom and Yunnan ham
Traditional sweet and sour pork
Capsicum, onion amd pineapple
ブッフェ台からコールドミールやサラダを貰ってきて、「これはなんていうか、普通にレストランの食事だなあ……」と思いつつおいしくいただいて。
他にも温かいスープ(大蒜薯仔湯)や温かいおかずが数種類(意式茴香海鮮とか野菌大白菜とか)があったし、パンや巨大な塊から自分でカットするチーズなどもあったブッフェ台。
スープは豚肉とツリガネニンジン、キヌガサタケとクコの実、干し椎茸と雲南ハムという組み合わせの、とても薬膳的なもので、ちょっとびっくりした。
ふわりと乾物系の旨味と香りがして、いかにも身体に良さそうな。
"sweet and sour pork"は酢豚だね?と思ったのだけど、酢豚ってなんとなく"日本人ばかりが好む中華料理"な印象があって。
ほんとに酢豚?酸っぱ甘いスペアリブ的なものではなく?と思って説明を見たら"Capsicum, onion amd pineapple"の文字があって、パイナップルが入ってるなら酢豚ですわー、と。
そしてだんなは、Steamed chicken in lotus leaf (Lap cheong, red date and wood ear mushroom)と、ジャスミンライスを。
こちらのおかずも絶妙にしっかり中華で、お洒落で、ホテルダイニングで出されるような品と比べて遜色ないくらい。
おかずの量はいくらか軽めだったし、クリスピーチキンバーガー、クスクスとグリルドベジタブルといった洋風のメニューもあったりで。
デザートコーナーにあったのは、大好物の楊枝甘露にニューヨークチーズケーキ、レモンと芥子の実のパウンドケーキ。
面白い組み合わせだわと思いつつ、酸味がある系お菓子が好きな者としては全種類食べたくなるわけで……食べました。ぜんぶおいしかった。
食後は巨大なシングルソファ席(そのへんにいっぱい電源もある)でぐでぐでしつつ、日記書いたりうたた寝したり。
ドリンクカウンターで、シグネチャードリンクの"ジンジャーフォレスト"や、日替わりの健康ジュース(聞いたらりんごとケールですって)を貰いつつ、うっかりこの段でも甘いものを更に食べてしまいつつ。
オーダーしたらその場で作ってくれるジンジャーフォレストは、刻み生姜とりんごをグラスの中でごりごり叩き、更にたっぷりのミントを加えてごりごり叩き、シュウェップスのジンジャーエールを2種類?注ぐみたいなオリジナルドリンク。健康ジュースともども、ちゃんとおいしい。
どれも甘くておいしかったフルーツは、パイナップルにパパイヤにメロン、葡萄、という感じ?
皿に出来上がった状態でラップをかぶせて冷蔵ケースに並んでいたクレープは、甘酸っぱいレモンカードとラズベリーが包まれていて、脇には好みで添えられるホイップクリームまで準備があった。
まだ食べるのか……とだんなの呆れる視線を感じつつ、おいしいよ?と平らげれば、もう機内食なんで食べられないよね、という。
搭乗は14:45頃。
長いようでそうでもなかった、ラウンジ滞在、おおいに満喫いたしました……。たのしかった。
今回の旅行の旅程は本当に幸運尽くしで、出国が1日早かったら台風6号の影響をもろにくらっていたし、帰国が1日遅かったら、今度は台風7号の影響がいくらか出てきていたかもしれない……という感じで。
2つの台風の間を縫うように行って帰ってくる形になり、そして幸い、往路も復路もそれほどには揺れなかった。
機内食も勿論出たのだけれど、さすがに満腹で3割くらいしか食べられず。
豚と牛蒡の胡麻ソースご飯添え
鶏肉細切り葱油和え
干し豆腐のサラダ
大豆とひじきのサラダ
玉子焼き
フレッシュフルーツ
ハーゲンダッツ(クッキー&クリーム)
味噌汁
スカイタイム(ももとぶどう)
という感じの献立。
でもハーゲンダッツとフルーツはしっかり綺麗に食べておいた。
JALの機内食はとてもおいしい方だとは思うのだけども……申し訳ない。
定刻通り、20:30頃、羽田着、東京全然涼しくないなーと思いつつ.。
本当、気温も湿度も台湾も香港も東京もあんまり変わらない感じで、ただ、陽射しの強さだけは台湾が痛いくらいに刺さってきたなーというくらい……?
ピックアップした折りコンには、「この箱開けて調べたよ」の香港警察だか税関だか検疫だかのシールがついていた。
羽田の検疫でも「この箱の中には何が……?」と言われたのだけど、お茶と食材とお菓子とおもちゃなんです……全部自家消費用なんです……と笑うしかない。香港のチェックの人も困惑したのかもしれない、欲望まみれの折りコンの中身……。
何が美味しかった?という会話で、だんなも私も"麗晶軒の揚げ餃子"が筆頭にくるくらい、あれはすごい料理だったなあという、今回の思い出。
そしてだんなは流れるように「あと今大の魯肉飯」と。
私は夜市で食べた豚レバースープと及第粥が忘れられないかな……。海外でホルモン系料理ってなかなか勇気が要るのだけれど、これまで口にしなかったことを後悔するおいしさだった。
台湾も香港もまた是非行かなくちゃと思いつつ、来年は初めてのベトナムに行ってみようかと画策中。
どうあってもアジアの旅が好きな私たち。